【完結】幼馴染みが今日もうるさい

18〜ニコルside〜出て行って欲しい

しかし薬剤学部を希望した可愛い生徒達ではあるが、その生徒の中に俺を結婚相手として狙いを定めて、薬学に興味がないのに薬剤学部を専攻し、勉強も真剣に取り組まない生徒がたまに入ってくる事がある。


勉強が進んでないから、これでは受験資格が与えられないと言うと、「先生～後で分からない事があるので教えて下さ～い」と言う。仕方がないので2人になって教える時間を設けると「先生の事が好きなんです」と言ってくる。

そういう生徒には猛烈に腹が立ち、次の授業からは俺から積極的にコミュニケーションは取らないし、途中経過の模擬試験で成績が悪ければ「薬剤学部の単位はあげられない」と言って教室から出て行って貰う事にした。

勿論、そんな子でも模擬試験の成績さえ良ければ勉強に励んで貰いたいが、俺目当ての子は全員と言っていい程成績が悪い。

確かに俺は見た目で損した事はないし、貴族で教授もしているから、世間では相当な優良物件ってとこなんだろう。

俺を誑かそうとする人はそれなりに外見もよく、俺と同じ様にチヤホヤされて生きて来たのか自分に自信がある人が多い。

だから勉強に力を入れなくても条件の良い相手さえ見つけられれば楽に生きられるんだろうね。

別の標的を見つけて頑張ってくれたまえ。

そんな事を繰り返していたら、薬剤学部は他の先生達から厳しいと言われる様になっていった。

しかし、俺が防衛学園の先生になってからの薬剤師試験の合格率が飛躍的に上がった為、最終的には実績を評価されて厳しいのは致し方なしと結論づけたようだ。

そうだよっ！厳しくしないと合格出来ないよ！

それにしても家族からは相変わらず「良い人いないのか？」とか「結婚は？」とか言ってくるが、家族の方から女性を紹介してくる訳ではないので、俺の意見を尊重してくれるんだろう。

有難い事に俺の一族は、政略結婚などする必要がない一族だ。

1人1人が自立していて、最悪一文無しでこの国を出たとしても、知識と能力でどこでもやっていける人が多いと思う。まあ、今の所一文無しで国を出る予定もないし、俺の一族は裕福だけど。

逆にそんな俺の一族に入り込みたいと思っている家は多くあり、俺宛のお見合い写真やパーティーの招待状などが沢山届いているらしい。
余りにも多くの手紙が届くから、両親や兄の夫婦には殆困らせているのは分かっている……でも俺のせいじゃないからね。

それでも両親や兄が強く結婚を勧めないのは、やはり俺の一族に入り込んで何か企む人がいるから。

俺がその様な間違った相手を選ぶよりは結婚しない方がまだマシと言う訳か。

それと俺への愛かなぁ。俺が望まない結婚には反対してくれるらしい。


さてと、今年の薬剤学部の試験に挑戦してくれる子はどんな生徒がやってくるのだろう……と考えていたら再挑戦組の2人と、初挑戦組の2人だった。

再挑戦組の2人は去年の進路相談で今年の試験に対する並々ならぬ意気込みを感じていたので、俺も全力で応援して合格させてやりたい。

初挑戦のミーシャはたまに集中力がなくなる事があるが、父のような薬剤師になりたいと思い、学びに来たとの事だった。

もう1人のエネは、家が薬局をやっている訳でもなく、家族や親戚に医療従事者もいないという。
1人親で育ててくれた母に薬剤師の資格があれば少しは楽をさせてあげられると思って薬剤師試験に挑戦したいという……

エネは男性だが、万人受けする猫の獣人だった。
その猫の獣人の中でも飛び抜けてチヤホヤされて生きて来ただろうと思った。何故かって、彼を見たら10人中10人が可愛いと言うだろうなという外見をしているから。

美人と言われる俺とはまた違った魅力のある見た目だ。好みによっては俺より彼の方が美人という人もいるんだろう……と思った。

彼は俺が講義をしている最中でも庇護欲がそそられるぴょこぴょこした猫耳と大きな瞳でキラキラと俺をみている。

そんなエネを見た時、「はあーー」とまた溜息がでてしまう。
また俺目当てで、俺をどうにか落として楽に生きてやろうとする奴がやって来た。

お涙頂戴の話までつけて、自分に興味を惹かせようと頑張っているが、申し訳ないけどイライラするだけなんだけどな。

もう本当に面倒くさい……

頼むから、真面目に学ぶ為の教室に入って来ないで欲しい。