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「ええっ!!それは大変だったね……そうかトーイは私が作ったポーションを持っていたのか……とにかく良かった。それにしても公爵の騎士か……あそこの公爵は代替わりしたんだが、自分の騎士達を制御できてないんだろうか……」
帰り道、俺は先日トーイと酔っ払いに絡まれてしまった事を伝えた。
ニコル先生は俺の話を聞きながら怒ったり、悲しんだり、新しく代替わりした若い公爵の事を心配していた。
先日の酔っ払いの男達も本当に怖かったし実際俺が弱い事が分かった。そんな自分が情けなくて強くなりたい。
「そういえば、エネが薬剤師試験に合格したら私がご飯を御馳走してあげようと言ったのは覚えているかな?」
「はい!!試験に合格したらニコル先生が手料理を振る舞ってくれるって……いいんでしょうか?」
「勿論だよ!私が喜んで約束したのだからね!今週の土日の夜どちらかでどうだろうか?」
「あっ先生、その事なんですが、俺土日はトーイとワンスター薬局で働き始めると伝えましたけど、月末が締めなんです。今月はもう直ぐ月末になるので、少しですが働いたお給金が出ます。それで……先生には試験迄お世話になったお礼と、家にお招き頂けるので何かプレゼントを用意したいと思ってて……あのお金がないので大した物は渡せないのですが……だから来月迄、御馳走してくれるのは待って貰えないでしょうか?」
「…………」
……ちょっと月末だから俺の生活費もギリギリで厳しいから、やっぱ先生にこんな事を言って延期にして貰おうなんて駄目だったかな……先生の家に招いて貰えるなんて初めての事だし……どうしよう……
と思っていたら抱き締められてしまった。ええっ?
「エネ……こんなに痩せてるじゃないか……生活費も切り詰めて、本当に食べているのか私は心配になるんだよ。それなのに私へのお礼迄考えてくれるなんて、家に招く事が逆にエネの気を遣わしてしまったね……分かった。ご飯は来月の日曜日の夜にしようか。エネのアルバイトも終わって気楽だろうしね」
「はい、それなら大丈夫です。先生こそ俺なんかの為に気を遣わせちゃってすみません」
「良いんだよ。じゃあ今日はそこでパンでも買ってあげようね。生徒の健康管理も先生の役目の一つだと思っているからね」
そう言って帰り道にあるパン屋さんで大量のパンを購入して俺に渡してくれた。
「先生、良いんですか?それにこんなに食べれませんよ!!」
「エネ、今日中に食べきれない分のパンは冷凍庫に冷やしておけば味は落ちるけど、また出して食べれるよ。だからお腹が減った時はそうしなさいね」
先生は今日だけじゃなく、数日先の事迄考えてくれてたんだ……トーイは金持ちだろうし、モニカとミーシャも俺みたいにお金を切り詰めて生活なんてしてないんだろうな。
多分俺だけ心配されてしまった。
でも、今はとても有難い。俺ももうすぐアルバイトでお給金が出たら自分の生活にも余裕が出てくるから筈だから、それまではお言葉に甘えよう。
「先生有難うございます。心配させて申し訳ありません……お言葉に甘えます。俺もバイトで生活に余裕が出てきたらきっと先生にお返しができたらいいなと思っています」
「エネ……君は本当に良い子だねぇー。とりあえず栄養をしっかり取りなから、アルバイト頑張ってね!!応援しているからね!!」
そう言って先生はまたニコニコして帰っていった。
パン迄買って貰って、有難いなあ。
よし、今日は1人パンパーティーだ!!お腹いっぱいまで思いっきり食べて寝よう!!
そう思って本当にお腹が苦しくなるまで食べて寝たのは先生には内緒だ。
帰り道、俺は先日トーイと酔っ払いに絡まれてしまった事を伝えた。
ニコル先生は俺の話を聞きながら怒ったり、悲しんだり、新しく代替わりした若い公爵の事を心配していた。
先日の酔っ払いの男達も本当に怖かったし実際俺が弱い事が分かった。そんな自分が情けなくて強くなりたい。
「そういえば、エネが薬剤師試験に合格したら私がご飯を御馳走してあげようと言ったのは覚えているかな?」
「はい!!試験に合格したらニコル先生が手料理を振る舞ってくれるって……いいんでしょうか?」
「勿論だよ!私が喜んで約束したのだからね!今週の土日の夜どちらかでどうだろうか?」
「あっ先生、その事なんですが、俺土日はトーイとワンスター薬局で働き始めると伝えましたけど、月末が締めなんです。今月はもう直ぐ月末になるので、少しですが働いたお給金が出ます。それで……先生には試験迄お世話になったお礼と、家にお招き頂けるので何かプレゼントを用意したいと思ってて……あのお金がないので大した物は渡せないのですが……だから来月迄、御馳走してくれるのは待って貰えないでしょうか?」
「…………」
……ちょっと月末だから俺の生活費もギリギリで厳しいから、やっぱ先生にこんな事を言って延期にして貰おうなんて駄目だったかな……先生の家に招いて貰えるなんて初めての事だし……どうしよう……
と思っていたら抱き締められてしまった。ええっ?
「エネ……こんなに痩せてるじゃないか……生活費も切り詰めて、本当に食べているのか私は心配になるんだよ。それなのに私へのお礼迄考えてくれるなんて、家に招く事が逆にエネの気を遣わしてしまったね……分かった。ご飯は来月の日曜日の夜にしようか。エネのアルバイトも終わって気楽だろうしね」
「はい、それなら大丈夫です。先生こそ俺なんかの為に気を遣わせちゃってすみません」
「良いんだよ。じゃあ今日はそこでパンでも買ってあげようね。生徒の健康管理も先生の役目の一つだと思っているからね」
そう言って帰り道にあるパン屋さんで大量のパンを購入して俺に渡してくれた。
「先生、良いんですか?それにこんなに食べれませんよ!!」
「エネ、今日中に食べきれない分のパンは冷凍庫に冷やしておけば味は落ちるけど、また出して食べれるよ。だからお腹が減った時はそうしなさいね」
先生は今日だけじゃなく、数日先の事迄考えてくれてたんだ……トーイは金持ちだろうし、モニカとミーシャも俺みたいにお金を切り詰めて生活なんてしてないんだろうな。
多分俺だけ心配されてしまった。
でも、今はとても有難い。俺ももうすぐアルバイトでお給金が出たら自分の生活にも余裕が出てくるから筈だから、それまではお言葉に甘えよう。
「先生有難うございます。心配させて申し訳ありません……お言葉に甘えます。俺もバイトで生活に余裕が出てきたらきっと先生にお返しができたらいいなと思っています」
「エネ……君は本当に良い子だねぇー。とりあえず栄養をしっかり取りなから、アルバイト頑張ってね!!応援しているからね!!」
そう言って先生はまたニコニコして帰っていった。
パン迄買って貰って、有難いなあ。
よし、今日は1人パンパーティーだ!!お腹いっぱいまで思いっきり食べて寝よう!!
そう思って本当にお腹が苦しくなるまで食べて寝たのは先生には内緒だ。
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