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13〜リーアスside〜後悔
しおりを挟むエネを助ける寸前に、男が今度はエネの左頬を殴った。
エネは手も足も出ずに力が入らないのか身体がダランとしてしまっている。
男のエネに対する行為に、怒りで我を忘れそうになりながら、力一杯男を殴ってやったら吹っ飛んだ。
エネまで飛ばされないように咄嗟に支える。
こんな場所にエネがいたら駄目なのに!!
騎士に対する怒りもあったが、エネも危機意識が足りないじゃないかと怒りに任せて怒ってしまった。
するとそこには頬が腫れて涙でぐしゃぐしゃになったエネの顔があった。
その可哀想な顔を見ると今苦しんでたエネに対して追い討ちをかけてしまったと辛くなり、もう少し優しく言えば良かったと後悔してしまう。
「離してくれる?」と言うので心配しながら離すと、エネともう1人犬の獣人が抱き締め合ったのに驚いた。
誰だ!!
犬の獣人はトーイと言って同じ学生だった。
そういえばエネと一緒にいる所を見た事があったかも知れない。エネと回復系の勉強をしているのだろう…エネの身体を手際良く手当てをしている。
2人はとても仲が良く、エネもトーイには気を許して身体を預けている事にビックリする。
エネのの手当てが終わると、エネが泣いてしまったのをトーイが優しく慰めていた。
その2人の姿に猛烈に嫉妬した。
エネの隣にいるのは俺の筈じゃないのか!!
この場所で2人でいると言う事は、2人は恋人同士になったという事なんだろうか……
クソックソッ!!俺は今まで何やっていたんだ!!
俺はエネから離れている間、エネはずっと1人だと思っていたのか!!
エネが俺の事を特別だと思ってくれているとでも思っていたか!!
自分で自分を責め立てる。
それと同時に俺がエネの事をどんなに好きだったが、幼馴染みとしてではなく、恋愛の意味で好きだった事に気づいた。
俺は馬鹿野郎だ!!今更はっきりと認識するなんて!!
トーイさんがエネの家まで送っていくというので一度は断られたが強引に付いて行った。
トーイさんとエネは「今日が特別な日になる予定だった」とはっきり言われた。
ショックで胸が苦しくなるが、トーイさんはエネの事を大切に思っているのは行動からもよく分かった。
騎士のような強い男達に力では負けるかも知れないが、今日のようなイレギュラーな出来事がなければ、よっぽど上手く立ち回れそうな人物と感じた。
エネは良い人を選んだんだなぁ……
俺はやっと今迄の行動をエネに謝罪した。
エネを守ると意気込んで俺がやった事は騎士団候補生から遠ざけただけだった。
いつもエネの側にいて、エネに寄り添ってあげていたのはトーイさんだった。
エネが信頼するのも分かる。
……後悔しても遅すぎたんだ……と好きと気づいた途端、失恋したと思っていたら、2人が恋人同士だと思ったのは俺の勘違いだった!!
エネとトーイはずっと勉強していて、あの難関と言われる薬剤師試験に合格したんだという……それで食事に行っていただけだったのだ。
トーイが俺に対して勘違いさせるような言動をわざと言っていた事が分かったが、それよりも恋人同士じゃなかった喜びの方が大きくて、何とも思わなかった。
エネには本当に申し訳ない事をしてしまった。
これからは絶対間違わないし、幼馴染みのアドバンテージが消えたとしても、運良く俺に与えられたチャンスを逃しはしない。
今度こそ近くにいて、エネを離してやらないんだからな!!!!
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