【完結】幼馴染みが今日もうるさい

うらひと

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9〜リーアスside〜王都へ

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「エネだけが危険なのか?同じく王都に行く俺は心配要らないのか?いいけどさ。
父さんが息子の俺よりエネの方を心配するなんてな。
エネの事は大切な幼馴染みだし、勿論守るよ。一緒に学校に通うんだからどうせ毎日一緒にいるだろ!」

「リーアス、身体も随分大きくなったね。
お前は私と同じ騎士になれる能力があると思っているから、誰かに無理矢理何かをされる危険は少ないだろう。
それに王都騎士団の人達にも、私の息子を宜しく伝えておくからあんまり心配していない。
一方エネは、身体も大きくなく力も弱い。魔力は大きいが戦いには向いていないから、もし誰かがエネを襲ったらやられてしまう。
そういう心配をしているから、リーアス、守ってやれよ」

「うん、分かったよ。父さん」

こうしてエネと一緒に王都に行く事になった。
王都行きの乗合い馬車にエネと一緒に乗せて貰った。ちょっと窮屈で身体を寄せ合ったが、いつの間にか俺の身体は大きくなっていて、エネとの体格差が随分ついてしまったと思った。
エネも大きくはなったが余り筋肉はつかずに程よい筋肉でしなやかな身体に成長していた。

「昔は体格なんて殆ど変わらなかったのに、エネとは随分変わってしまったな」

そう言うとエネはちょっとムッとしたのか耳をピンと張って俺を睨んだ。

「こ、これから伸びるんだ!!俺の成長期はまだ来ていない。そのうちリーアスを抜かす予定だから、今の内に負け狼の遠吠えでもしてればいいさ」

とはちゃめちゃな強がりを言ったので笑いを堪えきれず「プハッ」と吹き出したら、余計ムッとされた。

ああ……可愛いな。

王都に行く途中にエネとは恋愛の話もした。

2人で小さな田舎街に住んでいたから、ほぼ全員の顔と名前も知っているような環境で暮らしていた。
だから俺もエネも誰かと比べる対象がいなかったので、2人共王都の可愛い子や美人に憧れを抱いていたのだ。

だから、俺もエネも王都に行ったらお互いに可愛い恋人を作ってダブルデートっていうのをやってみようぜっ!なんて呑気な事を言い合っていた。

こんな2人ののほほんとした生活が王都で一変するなんてこの時は思わなかったのだ。

王都学園に入ると、身体測定や能力測定をして自分の希望と能力にあった学部に入る事になる。
俺は多分騎士団候補生になるだろうと、レオナルド父さんからも言われていたが、実際にその通りになった。

エネの方はやはり回復に重点をおいた学部を選考する事になり、一緒に学ぶ機会は殆ど無さそうだと話し合った。
それでもエネと一緒の学校にいるというだけで心強く、お互い頑張ろうと誓い合って別々の校舎に別れる。

俺は騎士団候補生が集まる校舎に移動した。
騎士団候補生になると、騎士団候補生専用の宿舎になり、騎士団候補生達と衣食住を共にするようになる。
集まった人達を見ると、同じく騎士団候補生になった奴らも、俺と同じ様な体格で立派な身体をしている。

騎士団候補生を指導するのは、王都騎士団の団長がやってくれるらしい。
ガロン団長はレオナルド父さんのと同級生で「君がリーアス君だね!レオから息子の事を宜しくとお手紙を貰ったよ」と緊張していた俺を気遣ってくれたのが嬉しかった。

他の騎士団候補生も、話ししみると父親や親戚が王都騎士団に所属している者が多い。
獣人の種族や遺伝も関係するのだろう。
候補生の人達に、俺もレオナルド父さんが田舎に派遣されている形で、今でも王都騎士団に所属している事を伝えると、俺にも仲間意識を感じてくれたようだった。

「騎士となると、お互いの命を預け合う事もあるから、出来るだけ騎士同士は仲良くして信頼関係を築いくといいよ」

とレオナルド父さんから教えて貰っていたので、この仲間の中で上手くやっていかなければいけない。
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