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しおりを挟む「へっ?」
今までの事をリーアスが謝罪をしてくれて、俺の心が少しずつ暖かくなって来たのに最後の他の奴に取られるくらいなら離れるんじゃなかったってどういう事だ?
「リーアス、俺が他の人に取られるってどういう事?」
するとトーイが口に手を当てて笑いを堪えて言った。
「ふふっエネ、リーアスさんは俺とエネの事を恋人同士だと思っているみたいだよ」
「ええっ?なっ何故?」
「えっそうじゃないのか?
特別な日になるって……エネがトーイさんを家に呼んだんだろう?
恋人として家に招いたんじゃなかったのか?
俺はそれを出来るなら阻止したいという下心もあって……エネとトーイさんを警護しながらエネの家迄ついて来たんだが、2人が幸せなら邪魔をしてはいけないとも思っていたんだ。だから歩きながらずっと葛藤していたんだが……」
あっそうだ。トーイがさっきリーアスの誤解を助長させるような事を言っていたんだ。だからリーアスはそのままの言葉を受け取ったんだ。
「リーアス、違うよ。俺とトーイは今日薬剤師試験に合格したんだ。そのお祝いに一緒に食事をしたんだよ。それで、トーイの家の薬局でも働く事になって、俺の家を教えるついでに今日は俺の家迄トーイに送って貰う途中、酔っ払いの男達に絡まれてしまったんだよ」
「じゃあエネは……恋人とかはまだいない?」
「あのねー……なんでそうなるのかなぁ。毎日勉強に集中していて、そんな暇なんかなかったよ」
リーアスはモテるから知らないんだろう……世の中には告白もされない人々がいる事を。
俺もその1人だし。
本当は恋人を作ろうとしても出来ないのに、恋人がいない事を勉強のせいにしておいた。
俺とは正反対のモテる男を目の前にして、俺の謎のプライドが発動してしまったが、そのくらいは許して欲しい。
「なん……だ。そうか。はははっそうなのか!!はははっ俺って本当にエネに間違った事してたわ。でも、もう間違わない!!エネ!!これからは積極的に話しかけるから宜しく!!」
急にリーアスのテンションがめちゃくちゃ上がった。
よく分からないけど、俺と関わらない事が間違っていた事に気づいて、これからはまた元通りになったって事みたいだ。
嬉しい……けど、リーアスの独断に随分振り回されたなぁ。
「リーアス、理由も分かったしもう許すよ。
でも、リーアスに話しかけるなって言われて俺だって悲しかったし、とても辛かったんだぞ。
それに随分と振り回されて悩んでたんだ!!
そのお返しはいつかして貰うからなっ!
だけど……俺の事を考えてくれてたんだよな……改めてこちらこそ宜しくね」
「ああ!!」
リーアスが嬉しそうに俺をぎゅっと抱きしめてくれた。この感触……何だか懐かしいな。本当に昔に戻ったみたいだ。
「ちょっと、僕がいる事忘れてません?リーアスさん、エネと色々あったみたいですけど、解決したみたいですね。それが僕にとって良かったかどうかは分かりませんけどね」
トーイがそんな事をブツブツ言って半目で俺達を見ていたので、すぐにリーアスの身体を離した。
「巡り巡って俺とリーアスの誤解を解いてくれてたのはトーイだったみたいだ。ありがとう」
「ふふふっそうかも知れないね。
別に無理して誤解を解く必要はなかったんだけどなぁ。
ほらっ嘘から出た真実って言うじゃないか?
あーあ……残念な気もするけど、エネが狙われやすいっていうのは本当だから、今は見守ってくれる人が多い方がいいと思うんだよね。これはこれで今の所は良かったと思っておくよ」
トーイはそう言って、リーアスにワンスター薬局の支店で俺とトーイが働く事になると教えていた。
2人がさっき迄は険悪な雰囲気だったのに、お互い言いたい事を言ってスッキリしたのか、名前のさん付けもやめようとなった。
そして協力関係のように情報交換をし始めていた。
「そうか、成る程。トーイの家がワンスター薬局をやっているのは何かあった時の情報収集は特に助かるよ。俺もまだ騎士団候補生だが、逆にトーイが俺に協力して欲しい事があれば微力ながら助ける」
「リーアスが微力だなんてとんでも無いよ。騎士団候補生が力になってくれたら俺も助かる事が今後出てくると思う」
何だかリーアスとトーイの間に友情が芽生えた様な気がする……俺とリーアスだって今日は久しぶりに会話が成立したのに、まさかリーアスとトーイの2人が仲良くなるとは思わなかったな。
色々と話している内に俺の家に着いてしまった。
リーアスが別れ際に
「エネ、今まで本当ごめんな。
それと、エネとトーイは薬剤師試験の合格おめでとう!
ミネラおばさんが知ったら喜ぶだろうね。
おばさんを安心させる事ができてエネは本当に頑張ったんだな。偉いよ!
トーイとワンスター薬局の支店で働き始めたら、なるべく顔を出すから!」
「うん。リーアスありがとう。それとリーアスとトーイ、夜遅くに俺の家迄送ってくれてありがとう。2人共これから自分の家に帰らせてごめんね」
「俺が住んでる騎士団候補生の宿舎とトーイの家が近いから一緒に帰るよ。トーイは思ったより良い奴だったし、しかもとても賢いんだな。トーイこれから宜しくな」
「リーアス、此方こそ宜しくね。僕にとってもリーアスは思ったよりずっと良い奴だったよ。
エネ、今日は色々あったね。本当に2人の特別な1日になったみたいだよ。ふふふっ」
それから3人でお互いの顔を見つめながら、笑い合って解散した。
自分の部屋に着いても今日という1日に色んな事がありずぎて、頭の中で走馬灯の様に今日の出来事の場面が次々思い出された。
とにかく今日はリーアスと誤解が解けて、また、前みたいな付き合いに戻ったんだ。嬉しい!
昨日までの自分はリーアスと元の関係に戻るなんて考えてもいなかった。
それと、学校がない次の土日にはトーイのお店で働く事になったんだ。トーイと一緒だし、楽しみだなぁ。
明日が待ち遠しくて寝るって、なんて幸せなんだろうと思いながらすぐ深い眠りに落ちた。
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