【完結済】憧れの隊長が変態だっただけの話

うらひと

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今気づいた風に装って隊長を見た…隊長は気持ち良さそうな惚けた顔をしていたが、目を合わせた途端、吃驚し、ゆさゆさ身体を動かしていたのに時が止まったかの様に動かなくなった。

「たっ隊長…これはどういう?」

「レ、レーン…これは…違うんだ…いや…違わない…俺は…すまない…すまないで済む問題じゃないのも分かっている…」

冷静に話しているつもりでも、隊長の声が震えていたのが分かった…それがとても辛い…そして謝られたのはもっと辛かった。


「隊長…俺にした事を謝るって言う事は悪い事したと思っているんですよね…御令嬢とも縁談の話が進んでいるとか…それなのに俺と」

「レーンちっ違う!!大貴族の令嬢の事だろう?令嬢の父親に気に入られてしまったんだが、縁談は何度も断っていた。そのうち令嬢が相引きを重ねていた想いの人との子供をご懐妊してな、父親の方はカンカンだったが、そのまま想いの人と結婚したよ」

「えっ?そうなんですか?」

「ああ…だから縁談もないし、付き合っている人もいない…それに俺は前からレーンの事が好きだったんだ。こんな時に言うのも信用してくれないと思うが…」

「テオドール隊長…知らなかった」

「レーン…レーンを初めて見た時は街中でパトロールをしていた時だった。華奢でフワフワの明るい茶髪に、緑色の大きな瞳をキラキラさせながらこっちを見ていて、こんな可愛い女の子がいるんだと思ったよ」

「隊長…俺を…女の子だと思っていたんですか?」

「ああ…パン屋で働いていて、俺達騎士が巡回すると必ず顔を出して見つめてくれるから、俺や一緒に回っている騎士達の間で可愛いと評判のパン屋の娘だったよ」

隊長…俺が街中でいつも見ていたの知っていたんだ…

「俺、街で巡回しているテオドール隊長に憧れて騎士になろうと決めたんです!」

「そうか…せっかく俺に憧れていたのに俺がレーンに無体な事をするような奴で…すまなかった…」

「隊長…もしかして俺だけに特訓も…俺と…するのが目的だったんですか?」

「違うっ!!決してそうじゃなかった!!
最初に新米騎士として見た時はあの可愛いパン屋の娘が騎士の服装をしていて、何かの間違いかと思ったんだ。
でもレーンが男だと分かってもレーンの事をどんどん好きになっていった。
レーンは…新米騎士達が舐め回す様な目でレーンを見ているのを気がつかないのか?
同じ時間にシャワーを浴びたら必ず襲われる。
だから襲われても逃げられる様にレーン自身の体力強化が必要だった。
シャワーの時間もずらせるだろうしな…
それなのに俺がレーンを無理矢理組み敷いてしまったのだから、何も守れていなかったよ…すまない…レーン」
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