醜い孤児で奴隷の男娼だったけど、引き取られた先で蝶よ花よと愛されまくる話

うらひと

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ウェイの家

12怒鳴り声

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お父様は王様の元側近だけど、最近のお父様はなんだかんだと王族の親族として仕事があるらしく、ここ数日は俺だけに時間を使っていたせいで今は忙しくて日中あまり家に居なくなった。

それでも一緒に朝ご飯が食べられる時は必ず食べて、何故か俺と毎日一緒に寝ていて、夜中気づくと隣にはお父様が寝ていてびっくりする時がある。


あとウェイ家のお抱え医師と言っていたチェン先生は宮廷医師で忙しいと思うのに、俺の事を最優先に考えてくれているらしく、午後になるとこの家まで来て俺の診察をしてくれる。
そのお陰もあって火傷の痕は残っているけど、俺の身体の傷が綺麗になってきた。


今日もチェン先生が家に来る前に「ハオラン様がお元気そうなので少しお散歩をしましょう」とリー様に誘われて2人で歩いている。


リー様はずっと俺の歩幅に合わせてゆっくり歩いて下さっているけれど、リー様って今は侍従だけど本当は国1番の剣士だったんだよな……


そんな凄い人が俺につきっきりで寄り添ってくれるのは嬉しいけれど何故剣士を辞めちゃったんだろうか……散歩している時に疑問に思っていた事を質問してみた。


「リー様は国1番の剣士だったのに、何故今はウェイ家の侍従になったのですか?」


するとリー様は驚いて俺の顔をみて考えていたが、暫く経ってからこう答えた。


「……そうですねぇ。王の側近を辞めてからもウェイ様をずっとお支えしたかったのと、いつかハオラン様をお世話する為に準備をしていたのですよ」


と俺に向かって真剣な表情で言ってくれた。


お父様をお支えしたかったのはわかるけれど、見つかるか分からない俺をお世話する為だなんてそんな馬鹿なと笑ってしまうような冗談なのに、冗談と言わせない雰囲気に呑まれてしまって何故かそれ以上何も言えなくなってしまった。

無言のまま2人で歩く。
散歩といっても家の庭の中だけど……この庭がとにかく広くてびっくりした。

お父様の家自体がまず大きくて庭まで気にしていなかったけれど散歩をする様になってから分かった。
家の前には沢山の竹林があって川も流れているから森だと思っていたら庭だったのだ。

そしてちゃんと散歩コースみたいな道がある……。
凄い……どれだけ広い庭なんだろ……この家の庭の境界線がいまいち分からない。

俺がお父様の家に来た時は気づいた時には部屋で寝ていて、ずっとベッドの上で生活しているようなものだったから部屋の外なんかみてなかったのだ。

リー様と一緒に森の様な庭をてくてく歩く。

そよ風が吹いていて竹林がサラサラと音を鳴らしていた。

少し前まではそんな音も感じてなかったのに、こんなに美しい音色があるんだと今は感じる事が多くなって何故か涙が出てくるようになった。

そうするとリー様がそんな俺を見て直ぐに抱き上げて家に戻ろうとするので「どこも痛くないです」と一生懸命説明する事が続いている。

今日も歩きながら川のせせらぎに耳を傾けていると、家の方から大きな怒鳴り合う声が響いてきた。

「!!!!」
「!…!!…」
「…!!…」

怒鳴り声は聞き取れないけど、大きな声がずっと聞こえる。

この家に引き取られてからと言うもの、家の皆さんが皆穏やかでこんな怒鳴り合う声を聞いたのは初めてだった。

リー様も怒鳴り合う声に気付いた瞬間、素早く剣を取り出したのでびっくりした。
リー様は剣の達人とは聞いていたけれど、剣を構える姿を見たのは初めてだ。

「ハオラン様、私から絶対に離れないで下さい」

いつものリー様とは思えない低い声でそう言って俺の身体をもっと自分に寄せてから家の方を睨んでいる。

すると、怒鳴り合いながら何人かが庭の方にやってきた。


「おい!!邪魔だそこをどけーー!!」
         「やめてくれ!!」
「ふざけるなぁ!!」
          「ふざけていないっ!!」
「何で隠していたんだ!!」
           「違う隠してなんかない!!まだ元気になっていないんだ!!」
「お前ら、みんなまとめて処刑されたくなかったらどけーーい!」
           
怒鳴り合いの中でお父様の声が聞こえて、目を凝らすと何人かの中にお父様とチェン先生の姿が見えた。

凄く言い争っていて、その集団がこっちに向かって近づいて来ている。

間髪を入れずリー様が「ハオラン様は私の背後に隠れて」と俺を守る様にしてから剣を近づいてくる集団に向かって構えるので、何も出来ない俺はリー様の指示通りにリー様の身体に出来るだけ隠れた。

とうとう怒鳴り合う集団がリー様めがけてやって来て、それをお父様とチェン先生がその間に入って止めていた。


「おいリー!!そこの後ろにいる者を出せ!!」
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