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初老の男性side
5怪我の手当て
しおりを挟む私の家に馬車が到着し、ハオランを起こそうとしたが息は荒く意識は朦朧としている様だった。
暑い訳じゃないのに汗をかいていたので額に手を当てて見ると熱が高い!!
娼館から出た時からフラフラしていたのは痩せて体力がないと思っていたが、何処か病気か怪我をしているかも知れない……
もっと抱き上げて馬車から降りようとした時、ハオランの服から血が滲んでいた。
ローブの様な服だったので服を少し開けると、彼のペニスから血が流れていてグチュグチュになっていた。
「こんな怪我をして我慢していたのか?!」
そうだ。ハオランにとってこんな事は日常茶飯事だったのだ。ずっと古くて狭いあの娼館の部屋で生きてきたのだ。
先ほど訪れた娼館で初めて彼を見た時を思い出すだけで、胸がぎゅっと締め付けられるように苦しくなり涙が出てきてしまう。
「旦那様お帰りなさいませ。あっお客様ですか?そのお方は?」
馬車から出ようとする私を出迎えにやってきた筆頭侍従のリーに素早く指示をする。
「ハオランだ!!ここにいる。見つかったんだ!!彼は怪我をしているから至急医師を呼んで診て欲しい」
私のこの15年間を知っているリーはハオランの名を言った瞬間、目を見開いて驚愕し彼の方をマジマジと見つめていた。
「ええっ!!旦那様!!それは真でございますか!!と、とにかく怪我をされているならすぐ医師の手配を致します。部屋に運ぶのは他の侍従も呼んで参りましょう!!」
そう言って驚いていたのも束の間、直ぐに冷静になったリーは他の侍従を呼び寄せ、手際よく医師の手配や部屋の用意をし彼を素早く運んだ。
お抱えの医師は直ぐにやって来たので彼がいる部屋に招いた。そこで、筆頭侍従のリーと医師と私だけの3人にさせて、出会った時の彼の様子を伝えた。
それを聞いてから医師と一緒に彼の身体を観察するが、身体は痩せほそり、やはりいくつもの火傷の痕や切り傷、打ち身で消えなくなった肌の変色が身体の至る処に散らばっていた。
そしてペニスからは血は止まっていたが、化膿して腫れていた。それよりも1番驚いたのは彼の後方の穴だった。男娼は性行為をする時、ここを使うのは知っていたが彼の穴も拡張されている様子で医師のチェンも言葉を失っていた。
改めてハオランの身体を確認するとそれはそれは惨たらしい状態で、ずっと黙って医師の観察を見守っていた筆頭侍従のリーも涙を抑えきれずに泣いていた。
「今日は止血と傷の手当てをしましたが……発熱があるので休息が大事です。無理に起こさないで下さい。清拭は毎日して身体を清潔に保つ事と、これが、痛み止めと化膿止めの薬ですので起きたら飲ませてください。私も毎日様子を見に来ますからね。ハオラン様もですが……ウェイ様も精神的にお疲れでしょうからお大事になさって下さい」
「ああ、ありがとう。この事は内密にしておいてくれ。いや、ハオランが発見された事は後日改めて公表するつもりだ。だが、ハオランのこの身体の状態は内密にしておきたいんだ」
「勿論です」
「分かってます」
「ありがとう2人共宜しくな。特にリーにはハオランの身体が良くなる迄は身の回りのお世話を頼みたい。身体が良くなったら王に謁見申請をするつもりだ」
「畏まりました。喜んでハオラン様のお世話をさせて頂きます」
「頼むぞ。今日はこの部屋で私も寝るから」
その日の夜は汗をかいているハオランに冷たい水で絞ったタオルを使い、何度も優しく拭いてあげた。
そうするとハオランも気持ちよさそうにして息も落ち着いてきたようだ。
状態が安定したと思った時、私はお酒を用意して2つの器に注いだ。
「私達の子供がとうとう帰って来たぞ!!イーラン、ずっとハオランを死なせずに見守ってくれていたんだな。ありがとう。私はいつも君の側に早く行きたいと願っていたが……撤回だ。
必ずハオランを幸せにしてみせるから!!それまでは私もハオランも君の近くには近寄らせない様にイーラン、これからも頼む」
天国にいるイーランにそう願って、ハオランの寝顔を眺めながら涙を流してお酒を飲んだ。
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