【完結】王子様の婚約者になった僕の話

うらひと

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番外編3

猫の呪いリターン?1

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すみません。
前の番外編を投稿した時に完全完結とお知らせしたにも関わらず、なんか思い付いてしまいまた書いてしまいました。

約1万2千文字、3話で完結です。

誤字脱字多分ございます。御免なさい。


[あらすじ]


エドワード国王陛下がアンドル王妃と共に安定した国の舵取りをしている頃のお話です。

登場人物

・アンドル
(主人公、エドワード国王の配偶者でこの国の王妃、男性、エドワードを信頼しており一生忠誠を誓っている)
・エドワード
(愛称はエディ。国王。昔からずっとアンドルが大好き)
・デニー
(護衛。エドワードとアンドルの学生時代の同級生で特にアンドルとは仲の良い友達)
・侍従長
(エドワードとアンドルの身の回りの世話を引き受けている侍従のトップ)


ーーー


エドワード国王陛下は今日もこの国の安定と発展の為に一生懸命仕事をしている。

そんな国王陛下は僕の夫で、僕は国王陛下の負担が少しでも減らせる様にサポートをしているが……。


僕は一体どうしちゃったっていうんだ……。



自分の部屋の時計を確認すると時刻は夜の10時を回った頃だった。


今の状況を整理しないといけない。


今日は午後から少し身体が熱っていて咳が出始めていたんだ。


それを侍従長にや護衛達にも指摘されたと思ったら、仕事中だったエドワード国王陛下までも僕の執務室まですっ飛んで来て額を合わせて確認し、「大変だ!!直ちに医者を呼べ!!」と僕を診察させた。


診察の結果は風邪の引き始めだった。


ただ風邪は万病の元となるのでゆっくり休んで下さいと、直ぐに自分の部屋のベッドまで運ばれてしまった。


ベッドに横になると思ったより身体が楽になった事に驚いて僕は体調が悪かったんだってその時やっと気がついたんだ。

それからそのまま眠ってしまったけれど、途中寝苦しくて起きた時に水差しの水と冷たいタオルを交換して貰って、その時に解熱剤も飲んだんだっけ。

それからは今日は早い時間から寝ていたせいか中々眠る事ができなくて熱もあってかボーーッとしながら天井をみていた。

するとその天井がどんどん広がっていく様な感覚に陥って不思議だった。

熱が出るとこんな感覚にも陥るのかと何だか楽しくなってきたと思ったら、急に目が冴えてきて身体のダルさがなくなったんだ。

あれっ僕治ったかな?

そんな事を思って起き上がったら、目の前にはベッドの上で僕の着ていたパジャマが散らかっていて……僕の手足は短くて肉球があった。


「ニャアーー!!」
(えっ嘘でしょっどうなっちゃったの僕!!)


うえっニャアしか言えない!!


これは多分猫なのか……とりあえず僕の机に小さめの手鏡があった筈だから自分の姿を確認しに行かないと……。

そろ~と自分のベッドから落ちると痛くもなかった。それからちょっと飛んでみると驚くほど高く飛べたのでそのまま机の上までジャンプできた。

机の引き出しをカリカリしながら開ければ、鏡が見えたのでそのまま覗き込んでみる。


そこにはプラチナブロンドの少し長めの毛の体毛と緑色の瞳のなんだがゴージャスな猫がいた。


「ニャア!!」
(僕っ!!が猫!!)


鏡に映っている猫は「ニャア!!」と言って此方を見つめている。
やっぱりこの猫は僕なんだ!!


一体僕はどうなってしまったんだ!!呪いにでも掛かってしまったのだろうか……


呪い……呪いだってっ!!

まさかっエディが羽の生えた黒猫になった王族の呪いが僕にも!!

もしかして僕も王族でも直系の家族になってしまったからその影響なのか……。

と、とにかくエディに助けを求めた方がいい!!エディならきっと解決策が見つかる筈だ!!


コンコンッ

「夜分失礼します。アンドル様?寝ていらっしゃいますか?国王まで風邪をうつしてはいけませんので変わりに様子を見に来ました」


静かな声で部屋に入って来たのは父親と一緒に王族の護衛を務めている僕の学生時代の同級生で友達のデニーだ。

丁度知った顔の人間が来てくれたので、凄くホッとしたのと同時に僕の現状を何とか知って貰おうと試みる。


「ニャンニャン!!ニャンニャン!!」
(デニー!!良いところに来てくれたよ!!僕が寝ていたら突然猫になってしまったんだ!!至急エドワード国王に連絡して欲しいんだ!!)


デニーの目の前に飛びこんでニャンニャンと叫んで見たら驚くと思っていたのに、全く予想外の反応が帰ってきた。というか反応が全く無い。
デニーは猫の僕の姿には全く気づかず声も聞こえていないみたいだった。


「あれっアンドル様?ベッドに服だけ……汗をかいてシャワーでも浴びに行ったか……?」


デニーは僕の事なんか存在してないかの様に振る舞い、独り言をブツブツ言いながら僕の部屋のシャワー室まで覗いて「倒れたりはしてないか」と確認している。


「ニャンニャン」
(デニーは今の僕の存在に全く気づいていない……?そんなっまさかっ!!)


これは大変な事になってしまった。
だけどこの状況はエディの黒猫の呪いに非常に良く似ている。
エディが黒猫から人間に戻った時、義父様の前国王とエディから詳しく教えて貰った事があったので幾分が落ち着いていられるのは今の僕にとって強みだ。

だから今の僕は何もかも分からない中でもまだ冷静でいられる。


とにかく何とかしてエディに助けを求めなければならない。


「アンドル様~?アンドル様~?居ないか。体調が悪いまま何処に行ったんだ?ちょっと他の人に聞いてみるか……」

そんな事を言いつつデニーは僕のベッドにあったパジャマを片付けて新しいパジャマを準備してから部屋のドアから出ようとしていた。


「ニャア!!」
(待ってー!!僕も一緒に部屋から出たいんだ!!)


デニーがドアを開けたタイミングで僕も何とかドアの隙間から滑り込んで自分の部屋から出た。デニーはそのまま廊下を歩いて行きながら他の侍従達等に「アンドル様を見てないか?」と聞いている。

何とか部屋から出たは良いけど……今度はエディの部屋にどうやって入れば良いのやら。

そう考えている最中にも使用人やら護衛が僕の近くを通っているのに僕の事は全く気づいていない状態で歩いていく。


やっぱりエディが黒猫になっていた時と同じ状況だ!!


僕は何も分からないままとにかく助けを求めてエディの寝室に急いだ。

寝室に行くと勿論護衛が2人部屋の前に待機しており、とても猫の僕がエディの部屋に入れる状況じゃない。


困ったな……。


しかし猫の僕を認識しない護衛達は僕が彷徨いていても捕まえたり追い払ったりしない事は良かった。僕がエディの部屋に入るには誰かがやって来るか、エディが部屋から出る時に部屋のドアが開く時しかない。

仕方がないけど僕は護衛達の近くでじっとドアが開くのを待った。


すると廊下の向こうから侍従の1人がお酒やお水を乗せたカートを引いてやって来て、ドア前で待機している護衛達に毒味をして貰っている。
その後疑われる物は入っていない事を確認した護衛達はドアの前から退いた。


侍従がエディの寝室のドアを叩くとドアが開き、ドアからエディの顔だけが覗き込んだ。

「国王様、お飲み物です」

「ああ、後は私がやるから下がっていいぞ」

「承知致しました。ではおやすみなさいませ」


エディは一言そう侍従に告げると自ら侍従が持って来たカートを受け取り、「ドアを閉めておいてくれ」と護衛達にドアを閉めさせようとしていた。

不味い!!早くあのドアの隙間からエディの部屋に入ろう!!

護衛達がドアを閉める間一髪で何とか飛び込むと、転がりながらエディの寝室に入る事ができた。転がって落ちても猫の姿だからなのかそんなに痛みは感じない。

でもやっとエディの寝室まで入る事が出来たんだ!!

これで僕の姿をエディに知って貰えたら、エディが助けてくれるかも知れない。

ようやく希望の光が差して来た所でエディのベッドの上では声が聞こえてきた。
エディが誰かと喋っている声だ。


「好きだよ」


えっ……これはエディの声。

エディが他の誰かに好きと……言っているのか……?

いつもなら僕の寝室かエディの寝室で2人で寝ているから、てっきりエディは僕の事だけを愛してくれていると思っていたのに。


「おやっ?そんなに恥ずかしがって本当に可愛いね。アンドルがいない時はいつもしているじゃないか」


やはり僕以外の誰かとベッドの上にいて話している。


「こらっ抵抗するんじゃない。服を脱がせられないだろう?」


「ニャア……」
(エディが僕以外と……)


ショックだった。
僕はエディからの愛を一心に受けていると勝手に自惚れていただけだった。

床からエディのいるベッドを見上げると、確かにエディの隣には人がいる気配があって、毛布の中でエディはその人を抱き締めている。

あまりの衝撃に頭が真っ白になっていると、ベッドが少しずつギシ……ギシ……ギシ…ギシと揺れだし始めてその誰かの上にエディが乗って腰を振っている様だった。


「ニャ……ニャァ……」
(そんな……僕の知らない所でエディが他の誰かとそういう行為をしていただなんて)

でもエディは確かに凄く性欲が強かった。仕事の合間に僕を抱き締めてくれると、硬くなった下半身が僕を直撃する事があるんだもの。
それは僕だけに対してだからだとエディは言っていたのに。

それに僕だってエディの強い性欲には出来るだけ受け止めているつもりだった。

しかし……国王だし自分の欲を発散する為には僕以外のそういう人がいたとしても仕方がなかったのかもしれない。

僕はそんな当たり前の事をすっかり頭から抜けていたんだ。

エディはそんな僕に対して大切にしてくれたからこそ、他にそういう相手がいた事を内緒にしていたのかも。

でも本当にエディは僕だけを愛してくれていると信じていたんだ。

ただ僕がこんな姿にさえならなければずっとエディは僕に隠せていただろうし僕は幸せでいられた。
だからこれは僕が悪い。
勝手にエディのプライベートを覗いたのだから……。


でもなんかモヤモヤする……僕が熱があって1日一緒に寝られなかったからって、すぐ別の相手と性行為をするなんて酷いじゃないか!!
しかも僕がいない時はいつもしているだって?僕に隠して2人で楽しんでいたというのかっ!!


ベッドがギシギシと揺れ動いているのを目の前で見せられると、流石に今度は怒りが沸々と沸き上がってくる。
猫の僕は頭で考えるよりも先に身体が動き、エディが腰を振っているベッドの上に飛び乗った!!


「ニャンニャンニャンニャン!!」
(エディ!!酷いじゃないか!!僕が、僕がエディの相手になれない日は他の相手と性行為をするなんて!!そんなにエディは我慢できないのかっ!!って!!えっ?ええっー!!」


溢れてくる涙も拭けないまま自分が猫になった事を忘れて叫んだ時、エディの腕の中に収まっているのは僕も良く知った顔だったので驚いてしまった。


「グッ……アンドルイクゥーー!!」


その時タイミング的に良いのか悪いのか、絶頂を迎えて惚けた顔のエディとベッドに飛び乗った僕と目が合ってしまった。





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