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〜王子side7〜
106エドワード王子の反抗期4
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侍従長はずっと宰相の元で働いていた。宰相の方も息子は私の側近だった事もあり、私の息がかかっている者だからと安心して受け入れて下さったらしい。
確かに兄上様達どちらかの息のかかった者を受け入れると中立を保っている宰相自身も色々な憶測をされそうだからな。
「今の所、ざっくり言いますと第一王子のエドライ様の勢力2に対して第二王子エドッセイ様の勢力は4です。第二王子が優勢です。
そしてエドワード王子と周辺にいる中立の立場を表明している勢力は1です。残りの3はその他です。国王陛下直属に近いか、まだ決めかねている所でしょう」
「そうか……このまま順調に行けばエドッセイ兄上に決まる可能性が高いな。正直国内の争い事自体長引くと国全体が疲弊してしまうから反対なんだよ。早く解決して平和になってくれたら良いのだが。早期解決の為に第二王子の勢力に私が加担しても良いと思うが侍従長としてはどう思う?」
「……今は何とも。しかし中立と宣言しているエドワード王子を引き入れたいと実はどちらの兄様も強く思っていますよ。中立勢力1は小さな数字ですが大粒が揃っております。この国の中枢に入っている宰相、騎士団長、そして今や大きな影響力のあるアンドル様の侯爵家が入ってますからね」
「うむ……」
そうなんだよな。王宮内でも発言力がある宰相や騎士団長が影響力があるのは当たり前だが、アンドルのいる侯爵家は世間では国に借金を返済している最中という事でずっと慎ましやかな侯爵家のイメージだった。
しかしお金を完済した今、実は事業に成功して莫大な利益を生み出している家だった事がようやく認知される様になった。
これはアンドルの父上の策略の1つだったと思う。
行動を共にしていた弟のアンジュも計算高く、親子共々お金の臭いを嗅ぎつけた悪い貴族が擦り寄って来ない様にずっと慎ましやかに節約生活を続けていた成果だ。
そして慎ましく生活していた時期に親身に寄り添ってくれていた貴族達には現在、新規事業の共同開発や取引を積極的に行っており一緒に潤いだした。
そこでようやく世間が気づいたのだが、もうその時には大きな影響力のある貴族の一つとなっていた。
正直アンドルの侯爵家が兄上達のうち、一方を支持する表明をしたら実は同じ動きをする貴族は沢山いるんじゃないか?
「侍従長、場合によっては兄上様達とも話し合う時が来るだろう。その時には侍従長も頼りにしている。私も側近達と話し合いを重ねて今後の行動を決めていくから」
私の側近はたまたま宰相と騎士団長の息子達だから互いの意見はその家の代表する意見と一緒も同じ。
そして侍従長は宰相とも仲が良く、アンドルとも親密とあればこの大きな3家と私はずっと親密な会議を行っていると言っていい。
そしてこの難しい局面を一丸となって乗り越えようとしている所だ。
「畏まりました。今後はアンドル様との交流を積極的に増やす予定でございます。次の王子妃教育の後も2人でのお茶会を設けてありますので、王子も今やるべき事をこなして下さいね」
「それは本当かっ!!中々アンドルと2人きりになれる時間が無かったから励みになるよ」
そうして休日になり、勉学後のアンドルとお茶会の待ち合わせ場所へ行くと先に教育を終えたアンドルがお茶を飲んで待っていた。
やはり学生としての勉強に加え、王子妃教育までしているアンドルの顔は疲れていたが、私を見た途端朗らかな表情をしてくれる。好きだ。
話す内容はお互いの勉強の事や、次期王太子争いの話が中心だか、不意に何かを思い出したアンドルは私に質問したい事があると言ってエディだった時の記憶が残っているか聞いてきた。
くっ……冷静なアンドルからとうとうその質問を受ける時が来たか。
いつか聞かれるかもしれないと思っていたのでそれに関する答えを用意はしているが……自分の額に汗が流れ落ちる。
これらの返答によっては将来私自身の 【生きるか死ぬか】が決まる事は分かっている。
あれは……エディは私にとって一度目の青春時代だった。しかしあのアンドルライフは流石に自由過ぎたか。
あらかじめ用意しておいた答え……全て呪いと猫のせいにしておいたら、アンドルは意外にもそれを信じてくれたぞ……その時、汗が吹き出すと共に全身の緊張が解き放たれた。
おお……黒猫の神様よ……私は救われました。
やはりアンドルは エディの私がいやらしい事を考えて行動していたのでは無いかと疑っていたらしい。
そうだよアンドル。
私はずっといやらしい事しか考えていないよ。
それにしても猫の力は絶大だな。よしっ私は誰が何と言おうが黒猫神を信じよう。アンドルで何かあれば大抵の事は猫の力で救われそうだ。そして私が救われる度に私は黒猫神を信じるぞ。
そして猫頼りに人間の姿でアンドルを抱き締める事に成功する。全部猫だ。黒猫神のお陰だ。ありがとう御座います。黒猫神よ、ずっと貴方様を信じ続けます。
アンドルは嫌がらない所かそのまま私の胸元の匂いを嗅いている姿が堪らなく愛おしくなり、そのままキスまでしてしまった。
おお……今度は散々クマで練習した成果が今現れた。
私がエディの真似をすればする程アンドルは懐かしんでくれるし喜んでくれていた。ふふっだから私も真剣にそれに応える。
エディだった時はこんな事もしていたねと、エディを真似てペロペロペロペロとアンドルの唇を舐め続ける。するといつも可愛くて整っているアンドルの顔がゆがんだ。
おいっ黒猫神よ、話が違うじゃないか。
ーーーーーーーー
明日も投稿予定です。
確かに兄上様達どちらかの息のかかった者を受け入れると中立を保っている宰相自身も色々な憶測をされそうだからな。
「今の所、ざっくり言いますと第一王子のエドライ様の勢力2に対して第二王子エドッセイ様の勢力は4です。第二王子が優勢です。
そしてエドワード王子と周辺にいる中立の立場を表明している勢力は1です。残りの3はその他です。国王陛下直属に近いか、まだ決めかねている所でしょう」
「そうか……このまま順調に行けばエドッセイ兄上に決まる可能性が高いな。正直国内の争い事自体長引くと国全体が疲弊してしまうから反対なんだよ。早く解決して平和になってくれたら良いのだが。早期解決の為に第二王子の勢力に私が加担しても良いと思うが侍従長としてはどう思う?」
「……今は何とも。しかし中立と宣言しているエドワード王子を引き入れたいと実はどちらの兄様も強く思っていますよ。中立勢力1は小さな数字ですが大粒が揃っております。この国の中枢に入っている宰相、騎士団長、そして今や大きな影響力のあるアンドル様の侯爵家が入ってますからね」
「うむ……」
そうなんだよな。王宮内でも発言力がある宰相や騎士団長が影響力があるのは当たり前だが、アンドルのいる侯爵家は世間では国に借金を返済している最中という事でずっと慎ましやかな侯爵家のイメージだった。
しかしお金を完済した今、実は事業に成功して莫大な利益を生み出している家だった事がようやく認知される様になった。
これはアンドルの父上の策略の1つだったと思う。
行動を共にしていた弟のアンジュも計算高く、親子共々お金の臭いを嗅ぎつけた悪い貴族が擦り寄って来ない様にずっと慎ましやかに節約生活を続けていた成果だ。
そして慎ましく生活していた時期に親身に寄り添ってくれていた貴族達には現在、新規事業の共同開発や取引を積極的に行っており一緒に潤いだした。
そこでようやく世間が気づいたのだが、もうその時には大きな影響力のある貴族の一つとなっていた。
正直アンドルの侯爵家が兄上達のうち、一方を支持する表明をしたら実は同じ動きをする貴族は沢山いるんじゃないか?
「侍従長、場合によっては兄上様達とも話し合う時が来るだろう。その時には侍従長も頼りにしている。私も側近達と話し合いを重ねて今後の行動を決めていくから」
私の側近はたまたま宰相と騎士団長の息子達だから互いの意見はその家の代表する意見と一緒も同じ。
そして侍従長は宰相とも仲が良く、アンドルとも親密とあればこの大きな3家と私はずっと親密な会議を行っていると言っていい。
そしてこの難しい局面を一丸となって乗り越えようとしている所だ。
「畏まりました。今後はアンドル様との交流を積極的に増やす予定でございます。次の王子妃教育の後も2人でのお茶会を設けてありますので、王子も今やるべき事をこなして下さいね」
「それは本当かっ!!中々アンドルと2人きりになれる時間が無かったから励みになるよ」
そうして休日になり、勉学後のアンドルとお茶会の待ち合わせ場所へ行くと先に教育を終えたアンドルがお茶を飲んで待っていた。
やはり学生としての勉強に加え、王子妃教育までしているアンドルの顔は疲れていたが、私を見た途端朗らかな表情をしてくれる。好きだ。
話す内容はお互いの勉強の事や、次期王太子争いの話が中心だか、不意に何かを思い出したアンドルは私に質問したい事があると言ってエディだった時の記憶が残っているか聞いてきた。
くっ……冷静なアンドルからとうとうその質問を受ける時が来たか。
いつか聞かれるかもしれないと思っていたのでそれに関する答えを用意はしているが……自分の額に汗が流れ落ちる。
これらの返答によっては将来私自身の 【生きるか死ぬか】が決まる事は分かっている。
あれは……エディは私にとって一度目の青春時代だった。しかしあのアンドルライフは流石に自由過ぎたか。
あらかじめ用意しておいた答え……全て呪いと猫のせいにしておいたら、アンドルは意外にもそれを信じてくれたぞ……その時、汗が吹き出すと共に全身の緊張が解き放たれた。
おお……黒猫の神様よ……私は救われました。
やはりアンドルは エディの私がいやらしい事を考えて行動していたのでは無いかと疑っていたらしい。
そうだよアンドル。
私はずっといやらしい事しか考えていないよ。
それにしても猫の力は絶大だな。よしっ私は誰が何と言おうが黒猫神を信じよう。アンドルで何かあれば大抵の事は猫の力で救われそうだ。そして私が救われる度に私は黒猫神を信じるぞ。
そして猫頼りに人間の姿でアンドルを抱き締める事に成功する。全部猫だ。黒猫神のお陰だ。ありがとう御座います。黒猫神よ、ずっと貴方様を信じ続けます。
アンドルは嫌がらない所かそのまま私の胸元の匂いを嗅いている姿が堪らなく愛おしくなり、そのままキスまでしてしまった。
おお……今度は散々クマで練習した成果が今現れた。
私がエディの真似をすればする程アンドルは懐かしんでくれるし喜んでくれていた。ふふっだから私も真剣にそれに応える。
エディだった時はこんな事もしていたねと、エディを真似てペロペロペロペロとアンドルの唇を舐め続ける。するといつも可愛くて整っているアンドルの顔がゆがんだ。
おいっ黒猫神よ、話が違うじゃないか。
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明日も投稿予定です。
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