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〜王子side7〜
103エドワード王子の反抗期1
しおりを挟む……父上が呪いが解けた嬉しさの勢いで本に書いてある呪文を唱えるものだから、私はだらけきった猫の姿のまま人間の姿に戻ってしまうし大変な目に遭ってしまった。
流石に自由にやっていた猫の私がそのまま人間の姿に戻ったのだ。今までの行いが全部アンドルに知られてしまったと思った……流石に腹を括ったが、今の所アンドルはまだこの状況が理解できないながらも、逆に私を心配してくれていた。やっぱり私のアンドルだ。
しかしアンドルは私がエディだったと告白すれば白目を剥くし、アンドルに今までの経緯を説明している時には久しぶりに無事を確認できた筈の私に父上は終始冷たい目線を送り続けてきた。
ふぅー父上。折角何年か振りにお会いできたのにこの仕打ちは無いんじゃないか。エドマイヤ叔父様がアンドルに伝えてくれと言ったそうじゃないかっ「エドワードがやってくれた」とな。ちゃんとアンドルの話を聞いてましたか父上?。
それに1番辛かったのはアンドルが部屋を退出した後だ。
私は全裸だった為急いで文官達にどう説明するか父上と話し合った結果、陛下である父上の服を借りる訳にもいかず、父上のマントを借りる事になってしまった。
全裸にマント……最悪じゃないか。これでは私が変態になってしまう。父上は私が人間に戻った時どういう状況になるか知っていたんだから服を用意して欲しかった。
それでも理事長室の部屋に戻ってきた文官達には父上から上手に説明して下さり、文官達からも私の帰還を喜んで王宮へと戻ったのだが、
「エドワード、私だってお前が元の姿に戻る確信はなかったのだから仕方が無いだろう?
だから先に伝えたじゃないか!!「今から呪文を唱えさせて貰う」とな。何でそこで元の身体に戻れるかもと考えなかったのか?
お前は歴代の王族達の様に外見だけは立派に成長したが根底にあるアンドルに対してのおかしいその性格は全く治らんな。
全く……アンドルの上に乗ってアホな顔を晒して……他の文官達が居なかったから良かったもののあの顔は王族として非常に不味い顔だったんだぞ!!」
帰ってから早々父上からの説教が始まった。
「いや父上、何年も会えなかった私が無事だったんですよ。少しは労ってくれても……感動の再会はないのですか?」
王宮に戻ってきた早々流石に説教はないんじゃないかと遠回しに反論して見たものの……逆に父上はため息を吐かれてしまった。
「……そういう事をお前自身が言う所が情けない」
「…………」
……そんな事言われてもだな、私もこの何年間それなりに必死で生きてきたんだ。アンドルのお陰で結構楽しかった事もあったけれども。
「しかしエドワード、先に怒ってしまって悪かった。私もエドワードが無事だった事は本当に嬉しく思っている。お前の婚約者であるアンドルは優しい子だな」
「父上、私もこうして父上と無事再会できました事を心より嬉しく思っております。侯爵家での生活はアンドルがずっと私を支えてくれておりましたので、安全に過ごす事ができました」
再会した早々説教をした父上だったが、それでも私が無事戻って来た事はとても喜んでいる事が分かった。
改めて父上をよく見てみれば……疲れていたと思っていたが、年齢からくる自然な外見の衰えで……仕方が無いが父上も老けた。
それはそうか。よく考えてみればエドワルドお爺様が呪いの研究をする為に早々に父上に国王の座を譲ってからというもの、長きに渡って国王として執政をし続けてきたんだ。
そんな父上が私に大事な話があるという。
「エドワードにとっては良い話ではなく、悪い話が2つある。1つは今、次期国王の地位となる王太子争いが第一王子のエドライと第二王子のエドッセイとの間で起こっている真っ最中だ。
王室典範では直系兄弟がいる場合、議決権のある家と貴族院の貴族勢力の6割の支持があれば王太子になれる為、争いに発展しなければ次期王太子は長男だが、次男でも……お前も支持を集める力があれば直系なら王太子になる事は可能なのだよ。
そしてその争いに現国王は関与していけない事になっているので私自身何もできない」
「そうですか分かりました」
「エドワード!!そんなあっさりと……お前も既に巻き込まれているのだぞ!!少しは当事者意識を持ちなさいっ!!」
次期王太子の件は侯爵家で生活していた時も学校でもその噂話は聞いていたから兄上様達の争い自体は私も知っていた。
私自身はその争いに加わるのも、巻き込まれるのもごめんだから、もし人間の姿に戻る事があれば早々に中立の立場を表明しようと既に考えはまとめてある。
「私は国王に興味ないので、直ぐに兄上様達と話し合い中立の立場を表明します」
「なんだもう決めていたのか……まあそれが自分の意思なら良い。それともう1つ、アンドルの侯爵家があれだけあった莫大な借金を完済してしまったんだ」
「なっ?!」
ーーーーー
明日も投稿予定です。
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