【完結】王子様の婚約者になった僕の話

うらひと

文字の大きさ
上 下
104 / 124
〜王子side7〜

103エドワード王子の反抗期1

しおりを挟む
 
 ……父上が呪いが解けた嬉しさの勢いで本に書いてある呪文を唱えるものだから、私はだらけきった猫の姿のまま人間の姿に戻ってしまうし大変な目に遭ってしまった。

   流石に自由にやっていた猫の私がそのまま人間の姿に戻ったのだ。今までの行いが全部アンドルに知られてしまったと思った……流石に腹を括ったが、今の所アンドルはまだこの状況が理解できないながらも、逆に私を心配してくれていた。やっぱり私のアンドルだ。


 しかしアンドルは私がエディだったと告白すれば白目を剥くし、アンドルに今までの経緯を説明している時には久しぶりに無事を確認できた筈の私に父上は終始冷たい目線を送り続けてきた。


 ふぅー父上。折角何年か振りにお会いできたのにこの仕打ちは無いんじゃないか。エドマイヤ叔父様がアンドルに伝えてくれと言ったそうじゃないかっ「エドワードがやってくれた」とな。ちゃんとアンドルの話を聞いてましたか父上?。


 それに1番辛かったのはアンドルが部屋を退出した後だ。

 私は全裸だった為急いで文官達にどう説明するか父上と話し合った結果、陛下である父上の服を借りる訳にもいかず、父上のマントを借りる事になってしまった。

 全裸にマント……最悪じゃないか。これでは私が変態になってしまう。父上は私が人間に戻った時どういう状況になるか知っていたんだから服を用意して欲しかった。


 それでも理事長室の部屋に戻ってきた文官達には父上から上手に説明して下さり、文官達からも私の帰還を喜んで王宮へと戻ったのだが、

「エドワード、私だってお前が元の姿に戻る確信はなかったのだから仕方が無いだろう?
  だから先に伝えたじゃないか!!「今から呪文を唱えさせて貰う」とな。何でそこで元の身体に戻れるかもと考えなかったのか?
    お前は歴代の王族達の様に外見だけは立派に成長したが根底にあるアンドルに対してのおかしいその性格は全く治らんな。
   全く……アンドルの上に乗ってアホな顔を晒して……他の文官達が居なかったから良かったもののあの顔は王族として非常に不味い顔だったんだぞ!!」


 帰ってから早々父上からの説教が始まった。

「いや父上、何年も会えなかった私が無事だったんですよ。少しは労ってくれても……感動の再会はないのですか?」


   王宮に戻ってきた早々流石に説教はないんじゃないかと遠回しに反論して見たものの……逆に父上はため息を吐かれてしまった。


「……そういう事をお前自身が言う所が情けない」


「…………」


   ……そんな事言われてもだな、私もこの何年間それなりに必死で生きてきたんだ。アンドルのお陰で結構楽しかった事もあったけれども。


「しかしエドワード、先に怒ってしまって悪かった。私もエドワードが無事だった事は本当に嬉しく思っている。お前の婚約者であるアンドルは優しい子だな」


「父上、私もこうして父上と無事再会できました事を心より嬉しく思っております。侯爵家での生活はアンドルがずっと私を支えてくれておりましたので、安全に過ごす事ができました」


 再会した早々説教をした父上だったが、それでも私が無事戻って来た事はとても喜んでいる事が分かった。
    改めて父上をよく見てみれば……疲れていたと思っていたが、年齢からくる自然な外見の衰えで……仕方が無いが父上も老けた。


 それはそうか。よく考えてみればエドワルドお爺様が呪いの研究をする為に早々に父上に国王の座を譲ってからというもの、長きに渡って国王として執政をし続けてきたんだ。

 そんな父上が私に大事な話があるという。


「エドワードにとっては良い話ではなく、悪い話が2つある。1つは今、次期国王の地位となる王太子争いが第一王子のエドライと第二王子のエドッセイとの間で起こっている真っ最中だ。
 王室典範では直系兄弟がいる場合、議決権のある家と貴族院の貴族勢力の6割の支持があれば王太子になれる為、争いに発展しなければ次期王太子は長男だが、次男でも……お前も支持を集める力があれば直系なら王太子になる事は可能なのだよ。
   そしてその争いに現国王は関与していけない事になっているので私自身何もできない」

「そうですか分かりました」


「エドワード!!そんなあっさりと……お前も既に巻き込まれているのだぞ!!少しは当事者意識を持ちなさいっ!!」


 次期王太子の件は侯爵家で生活していた時も学校でもその噂話は聞いていたから兄上様達の争い自体は私も知っていた。
   私自身はその争いに加わるのも、巻き込まれるのもごめんだから、もし人間の姿に戻る事があれば早々に中立の立場を表明しようと既に考えはまとめてある。



「私は国王に興味ないので、直ぐに兄上様達と話し合い中立の立場を表明します」

「なんだもう決めていたのか……まあそれが自分の意思なら良い。それともう1つ、アンドルの侯爵家があれだけあった莫大な借金を完済してしまったんだ」


「なっ?!」



ーーーーー
明日も投稿予定です。

しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

【完結】『ルカ』

瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。 倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。 クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。 そんなある日、クロを知る青年が現れ……? 貴族の青年×記憶喪失の青年です。 ※自サイトでも掲載しています。 2021年6月28日 本編完結

【完結】オーロラ魔法士と第3王子

N2O
BL
全16話 ※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。 ※2023.11.18 文章を整えました。 辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。 「なんで、僕?」 一人狼第3王子×黒髪美人魔法士 設定はふんわりです。 小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。 嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。 感想聞かせていただけると大変嬉しいです。 表紙絵 ⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...