【完結】王子様の婚約者になった僕の話

うらひと

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本編9

103僕の気持ち

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 王子はそのまま僕の唇に角度を変えながら何度もキスをしてくれたので僕もそのまま身を任せていたら、今度は僕の唇の表面をペロペロしてくる。これはエディ!!

 王子がエディの真似をしてくれているんだ!!エディの小さい舌みたいに王子の舌先だけを使って僕の唇を高速ペロペロしている!!
   少しだけ目を開けて王子を見ると、ひゃわわわ……そこにはもの凄く真剣に高速ペロペロをやっている王子がいて、見てはいけない物を見てしまった……ごめんなさい王子、僕の為にエディの真似をしてくれた王子が信じられない程変態に見えてしまい申し訳なくなる。


「お、王子、はあはあ……エディの真似の……ペロペロは流石に恥ずかしくて」


「あっアンドル嫌だったか?ついアンドルの事が大好きだった猫の本能が出てきてしまうんだ。ああ猫め。全部猫のせいなんだ。許しておくれ」


    そうか……さっき見た変態もエディだった猫の本能が出てきたせいだったんだ……王子がまさかこんなに猫の後遺症で苦しんでいただなんで……少しでも王子の心が軽くなる様に、せめて僕は努めて明るい態度でいよう。


「そんなっエディも僕の事が好きだったなんてとても嬉しいですよ」


 そう言うと王子と密着していた為、生理現象で勃ち上がった王子の下半身が緩く当たってしまったので気を遣って下半身だけ少し離れておいた。
 すると王子はむしろ一旦離れた僕の下半身を自分に密着させて恥ずかしがる事もなく硬い物をグリグリと当ててくる。


「おっ王子っ」


「これが猫の本能と私自身の素直な気持ちだよ。いつもアンドルと一緒にいたいし、アンドルと生涯を共にしたいと思っている」


「王子……僕も小さい時より王子に忠誠を誓っておりますし、ずっとお慕いしております」


「アンドル……好きだ」


「!!!」


 突然ストレートに愛の告白をしてくれたエドワード王子。


 昔から事ある毎に王子から告白はされてきた。

 でもそれは王子にとって僕は政略結婚の相手なんだから責務や義務として仲良くしていかなければならないからだと思っていた。
    だから僕も今までは一歩引いて冷静に受け止めていたけれど、今日はその言葉を聞いた途端突然僕の中で衝撃が走り、今になってようやく………僕は王子の気持ちを素直に受け止める事ができて、心から嬉しい気持ちが湧き起こってきた。


「エドワード王子……僕も……好きです」

「………そうか」


 そう言って照れていた王子は最後にまたぎゅっと抱き締めて、興奮が収まらないのかゆっくりグゥッと2、3回下半身を押し付けてから、名残惜しそうに身体を離して僕を馬車迄見送ってくれた。

 王子の顔は真っ赤になっていて、僕自身も顔に熱がこもっているのが分かっていたから2人とも顔が真っ赤っ赤だったと思う。

  馬車まで見送る時の王子は下半身の盛り上がりを隠す為に前屈みになりながら歩いていたので、僕は「王子大丈夫ですか?」と心配しながら一緒になって前屈みで歩いた。

 実は僕自身の下半身も少しだけ勃ち上がっていたのでそれを隠す為だったけど、きっと王宮の護衛達にはバレバレだったと思う。抱き締め合ってキスをしていた2人が前屈みで歩くヘンテコな格好は隠れていた護衛達はきっと笑っていたに違いない。


 馬車に乗って帰る途中も先程迄エドワード王子と抱き締め合ってキスをしていた事を考えてしまいポーーーッとなってしまった。

    それに王子も僕の事を好きだと言って、僕も王子に好きですと言ってしまったんだ!!うわーーうわーー!!僕は何て恥ずかしい事をやってしまったんだ!!思い出すだけで顔が赤くなってしまう!!

 それでも貴族の一員としての自分は冷静に判断していかなくてはならない。僕が王子の婚約者で両思いでもどうにもならない事がこの先無いとも限らないのだから。


 そう冷静に考えても王子はかなりの努力家だと思う。だって呪いで猫の姿になり誰にもエドワード王子だって分かって貰えずに何年も過ごしていただなんて、とんでもなく強靭な精神力じゃないとできないよ。それは同じ呪いにかかった事のある陛下にも言える事だけど。


    そして王子の苦しみは未だに続いているんだ。誰にも理解されずに猫の本能を引きずりながら生活していたなんて……せめて1番エディの事を知っている僕が少しでも助けてあげられたら良いのに。
    何か王子にしてあげられる事がないだろうか……。


 これからの王子は兄弟の中でも難しい立場に立たされて行くだろうとは思う。だけどこの先、王子がもし危機に晒される事があるならば、僕も侯爵家の力を借りながら王子を出来る限り支えてあげたいんだ。


ーーーーーー
次の投稿は8月13日の予定です。
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