【完結】王子様の婚約者になった僕の話

うらひと

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本編9

101質問

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「あの黒猫の悪魔がいなくなったなんて!!これはもう兄上と僕は結ばれる運命じゃ無いですか!!」

「なっ、エディが居なくなるだけでなんでそうなるんだい?」

 僕はアンジュにそう反論したが、アンジュは全く気に留めない。

「だってもう王族にはお金を完済したんだし、後は王子と婚約破棄するだけでしょう?だから僕にとって最後の難関はあのエディだったんです。あいつはいつも僕を目の敵にしやがって」

 アンジュは話しながらもエディを思い出しているのかプンプンと怒っている。

「それなんだけどさ、まだ僕は王子との婚約の破棄は考えていないんだ。アンジュも父上から聞いているだろう?
   今僕が婚約破棄をしたら侯爵家が第一、第二王子の勢力争いに巻き込まれてしまう。だからエドワード王子の婚約者として再開された王子妃教育にも積極的に参加しているんだよ」


「むぅ……それは分かってますけど……」


「アンジュも勉強や貴族の会合を頑張っているって父上がまた褒めていたよ。お互いがんばろうね。じゃあ王宮に行ってきます」


 僕はそう言ってアンジュの頭をポンポンしてから王宮からの迎えの馬車に乗り込む。今日は休日なので朝から王宮で王子妃教育があり、それが終わったらエドワード王子とのお茶会の予定になっているから。


 アンジュはまだ僕との事を考えてくれているみたい。
 だけどもう少し落ち着いたら言おう。
 正直僕はアンジュの事をそういう目では見れずに可愛い弟として、また侯爵家の跡取りとして今後の付き合いを考えている。

 僕が将来王族になったとしても、王族にならなかったとしても侯爵家は大切に思っているし、侯爵家の未来を考えたらアンジュは僕と恋愛している場合じゃない。

   僕がアンジュのパートナーになったら自分の後継者は親戚からの養子を取ればいいと言っていたけど、僕が子供を作るか分からない以上アンジュには子供を作って欲しいとも思っている。

 そんな事を考えながら王宮に着くと、王子には会わずにすぐに王子妃教育が始まる。この教育は家でサックのお父さんである家庭教師から少しだけ学んだ程度だったのでほぼやっていなかったと言っていい。

 実はエドワード王子のいない間、王子妃教育は全く行われていなかった。僕も貴族学校へ入学する所だったし、今から考えるとエドワード王子が亡くなる事態も考えての事だったのかもしれないな。

 しかし王子は戻ってきた。しかも呪いも解いて王子自身も立派に成長されて。だから僕は婚約者としての教育を再開した訳なんだけど、今まで教育をしていなかったツケが回ってしまい、特に覚える事が沢山あってツラい……。

 王子妃教育の指導者は王子の侍従長自らが先生になって厳しい教育を施してくれる。

    「王子妃教育が遅れていますので、どうしても厳しくなります」
 
    と、初日に言われていたから覚悟を決めていたけれど想像以上の厳しさだったので我慢強い方だと思っていた僕でもツラい。

    でも侍従長は昔から王子だけじゃなく僕の事も大変気に入って下さっていて、今回の教育も僕とは対照的に何故だかとても楽しそうに張り切っていた。だから余計にツラいのかも……。


「アンドル様、今日はここまでです。大変良く頑張りましたね」

「先生、今日もご指導頂き有難う御座いました」


    それでも今日も何とか侍従長からお褒めの言葉を頂く事ができて終了した。


「ふうーーーっ」

「待たせたなアンドル。今日も王子妃教育は大変だったろう?私の侍従長は中々やり手でな」

 先にお茶会の席についていた僕の所に今日の勉学が終了した王子がやって来た。
   王子も僕と同じ時間に家庭教師をつけて学校教育は勿論、帝王学や隣国の情勢なども勉強に励んでいる


「いえ、そんなに待ってなかったですよ。王子もお疲れ様です」


「ああ、王子としての教育がまだまだだから頑張らないといけないんだよ。でも今日はアンドルも同じ時間に教育を受けていると思えば張り切ってやれたよ。やっている内容こそ違うが勉友がいるのは励みになって良いな」

「ふふっそうですね」

 王子のお顔もお疲れではあるけれど、嬉しそうに僕に微笑んでいた。王子のアルカイックスマイルは何年経った今でも健在だった。それどころか凛々しくなられて、昔よりかなり道に入っている。

「アンドルの侯爵家がもし王太子の権力争いに巻き込まれそうになったら私に伝えて欲しい。私はこの争いに加わるつもりはないし、兄上達には中立であるアンドルの侯爵家は巻き込まないと了承を得ているから」

「お気遣いありがとうございます」

 そうなんだ。王子は自分の遅れた勉強に加えて、王子なりに自分の息のかかった家の者達を守ろうと必死になって立ち回っている。

 そんな王子は本当にエディだったんだろうか……エディの最後はダラーンと身体を伸ばし切って僕にお腹をカキカキさせていたんだぞ。

「あの……王子にプライベートな事で質問したい事がありますが宜しいでしょうか……?」

「ん、何だ?アンドルの質問なら答えられる事はずべて答えるよ」

 本当に王子は僕に優しいな。小さな頃からずっと僕を見つめる優しい眼差しは……変わらない。

「エディの時の事を覚えてますか……?僕の家でずっと一緒に生活をしていた頃の記憶等は覚えているのでしょうか?


「……ああ……全部……覚えているよ」


 覚えているんだ!!じゃ、じゃあ僕と毎日キスをしたりち、乳首を……チュッチュしたりした事はどんな気持ちでいたんだろう……聞くのが怖い……でも聞きたい!!


「では……僕とま、毎日キスしたり、色々な所をペロペロ舐めたのは?」



「…………」



ーーーーーーー
明日も投稿予定です。

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