100 / 124
本編9
100王子の快進撃
しおりを挟むこの話は王家でも直系しか知らない呪いという事で、僕が誓約魔法に同意の上でお話しされた。だからこれは僕も一切話せ無い事だけど、いくら王族内のいざこざであっても確かに王族が呪いにかかっている事が知られていたら国中がパニックになっていた筈だ。
エドワード王子まで呪いにかかっており、もう驚き過ぎて言葉にならない事がいっぱいだった。
とりあえず理解が追いつかないまま一通りの話を聞き、その日エドワード王子は陛下と共に王宮へ帰って行った。
それからの王子はかなりの快進撃だった。
留学から帰って来た事になっているエドワード王子は王宮でも家庭教師をつけて真剣に勉学に取り組み、僕の通っている学校の授業に追いついている上、学校での成績も優秀で王子の評判がうなぎ登りなんだ。
急に留学から戻ってきた王子はそれはモテた。優秀で見た目も麗しく立ち振る舞いも優雅な王子。
婚約者の僕がいても王子の心を射止めてしまえば必ずチャンスがあるとみた女子どころか男子生徒までもがキャーキャー言って王子と話すチャンスを虎視眈々と狙っているのが近くにいる僕でも分かった程だもの。
それでも王子は側近を常につけて特定の生徒と2人っきりにならない様に細心の注意を払っているし、僕に配慮してくれて一緒に行動する事も多いから難攻不落だったと噂になっているらしい。
丁度その頃王宮では第一王子と第二王子が貴族達も巻き込んでの次期王太子の座をかけて勢力争いをしていた時期だから、余計に勢力争いとは無縁の平和なエドワード王子の人気が上がったんだと思う。
ちなみに我が侯爵家はその勢力争いには加わっておらず中立だ。奇しくも第三王子であるエドワード王子の婚約者である僕のおかげで勢力争いに巻き込まれずに済んでいるそうだ。
エドワード王子は元々第一王子とも第二王子ともとても仲が良い。だから誰が次期国王になっても国王に忠誠を誓うと早々に宣言したので僕の侯爵家はそれに便乗する事にしたんだ。
そしてたまたま同学年だったと言うだけでエドワード王子の側近になった息子達がいる宰相と騎士団長の2つの家も王家自体にに忠誠を誓っているとの事で中立を通している。
だからエドワード王子は今の所争いから離れたうまいポジションに付いていて、今現在侯爵家はエドワード王子の存在のお陰で貴族のゴタゴタから護られていると言っていい。
王子はたまたま周りの取り巻きにも恵まれているし、本人も優秀だから立ち回りが上手なんだよね。
それにしても未だにエディとの日々を思い出してしまう………エディがエドワード王子だったなんて今だに信じられない……でも記憶を遡ると王子が突然居なくなった時期とエディと初めて会った時からの状況は考えたら全部辻褄が合うもんな。
僕はエディの事が大好きでいつも一緒に生活していた。
それこそ朝の剣術の練習から学校も一緒だったし、寝る時もずっとだったから、今こうして1人でランニングをした後は剣術の練習をしたり、馬の世話をしていると寂しさが募ってくるな。
だけど ………不思議な事も沢山あった。エディは最初から僕の唇をペロペロしてきたり、一緒にシャワーを浴びようとしたり……毎日僕の乳首をチュウチュウしようとして……。
ずっとエディの遊びだと思っていたけれど、あっあのエディの行動をエドワード王子として当てはめると……エドワード王子って僕の身体を舐めまくってたぞ。
時には僕のパンツの中まで忍び込んでジタバタしてた事もあったけど……あの時はいくら寝相が悪くてもどうしたら僕のパンツに入ったか不思議で仕方がなかったけれど……。
子猫だったからどんな行動も可愛いと思っていたのに、エドワード王子だったと思ったら急におかしな気持ちになってくる。
それに、僕の身体を全部エディに見られてしまっていたから今更ながら恥ずかしい!!
「うわぁ……」
自分でもエディとの出来事を思い出すだけで顔が赤くなったり、青くなったり、急に空気を沢山吸い込みたくなったり、息を止めて苦しくなってみたり……落ち着いていられなくなってくる。
「兄上何か顔色が悪いですけど大丈夫ですか?あれぇー?最近悪魔の使いは一緒にいなくなったんですね。あんなにベッタリくっついていたのに」
「ああ、アンジュッ久しぶりだね!!」
アンジュが久しぶりに声をかけてくれた。
アンジュとエディは何故か仲が悪くてアンジュが近づくだけでいつもケンカになっていたけれど、エディが大怪我でグッタリしてからはアンジュなりに気を遣って、エディを興奮させない様に僕に声は掛けずにいてくれていたんだ。
今僕に声をかけたのもエディがいないのを確認してから、わざとらしい言い回しで話しかけてきたのだろう。
それにアンジュも侯爵家の後継者として家庭教師からの勉強に励んだり、父上と貴族の会合に出席したりして忙しくはしているから最近はあまり顔を合わせる機会がなかったものな。
「ん?エディの事かい?実はもう僕は飼ってないんだよ」
「はっ??それは本当ですか?兄上があんなに大好きに思っていた悪魔をですか……?」
流石にアンジュは驚いていた。僕が大切に育てていたエディだもの。そういう反応になっちゃうのもわかる。
「そうなんだよ。もうエディは僕に飼われるのをやめて父上のマルコみたいに何処かに帰っていったよ。沢山探したけれど見つからなかったんだ。寂しいけれど……」
マルコも実は……陛下が呪いによって黒猫になった姿だったと陛下と王子から説明を受けていた。だけどそれも王家の呪いに関係する話は誰にも言ってはいけない約束をしたので言えないんだ。
僕が寂しそうな素振りを見せていると、それとは逆にアンジュは嬉々としてはしゃいでいた。
ーーーーーーー
明日も投稿予定です。
12
お気に入りに追加
715
あなたにおすすめの小説
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる