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〜王子side〜6
98エドワード王子の油断3
しおりを挟むそれにしても父上はこの学校の名誉理事長を良い事に何の手続き無しで貴族子息と会える様にしているのは上手くできた学校システムだ。
「えっ何故それを……?」
陛下の質問にアンドルは驚いていた。陛下はアンドルの反応を見ると直ぐに「皆すまないが、私の息子の婚約者と大事な話がしたいから暫く席を外して欲しい」と言い、理事長室にいた20人ほどいる側近やら文官を一旦退出させて防音呪文を唱えた。
「アンドル、王族が所有している原本の魔法陣が消えてしまったんだよ。アンドルが持っているのは複製本だが、何でも良いから知っている事があれば教えて欲しい。それに、君の飼っている黒猫は元気か?」
陛下が全てのお側付きを退出させた事と、防音呪文を陛下自身が唱えた事でアンドルの方もこれは只事ではないと感じとったようだ。緊張しながらアンドルは話し始めた。
「はい……黒猫は一時怪我をしていましたが、今は元気になりました。
エドワード王子から頂いた本を通して私の身に起こった事があります。今でも現実とは思えない話なのですが……自分でもおかしな出来事で上手く説明できるか分かりませんが……聞いていただけますか?」
「ああ……決して笑ったり、作り話だとは思わない。全ての話を聞かせて貰いたい」
父上とアンドルはお互い真剣な表情で見つめ合い、アンドルは一つ頷いてから、魔法陣に吸い込まれた出来事を話し始めた。
途中、元王族の名前が出てくると陛下も目を見開いたり、少し身を乗り出す仕草があったもののずっと冷静に聞いていたのに、アンドルが
「エドマイヤ様と言う若い元王族の方から「エドワードがやってくれた」と国王に伝えて欲しいと頼まれました」
と言うと、何と突然、父上は嗚咽を漏らしながら泣き出してしまった!!
私でも父上が一目を憚らずに泣いているのを見るのは初めての事だったから、アンドルもびっくりしてオロオロしているのは当然だ。
「あのっ!!申し訳ありません。何か気に触る様な事をお伝えしてしまいました!!」
「アンドルのせいじゃないから全然良いんだ。そうか……グフゥッ……エドマイヤは成人前に行方不明になったから、一般には名があまり知られていないが私の弟なんだよ。アンドルから見てエドマイヤはどうだったか?」
「ええっ!!陛下の弟様……そうとは知らず大変失礼致しました。エドマイヤ様はエドワード王子に感謝していて、ずっと嬉しそうに笑っていたのが印象に残っています」
アンドルが父上にそう伝えると、父上は泣いているのに笑っているという……嬉し泣きの状態のままアンドルに語り掛けていた。
「そうか……そうか……本当にエドワードは良くやってくれたんだな!!して、その黒猫は学校にも連れて来ているのか?
アンドル、私はね、その黒猫が侯爵家以外の人間には姿が見えないのを知っているんだよ。何処にいる?」
おっと父上……呪いが解かれた事が分かってアンドルにそれを言うのか……。
父上、私は此処にいるよ。今アンドルの膝の上でお腹を出しているんだ。こうするとアンドルが私のお腹を優しく掻いてくれるんだよ。
「ゴロゴロ……」
(んっアンドル、あーそこそこっ……いいんっ……最高の掻き具合だ)
「ええっ!!まさか陛下がその事を知っていらっしゃるなんてとても驚きました!!はい、黒猫はこの部屋でくつろいでおります」
アンドルは自分の膝の上で身体を伸ばしている私のお腹をカキカキしながらそう答えている。
「そうか、元気そうでよかった。実は本の原本が此処にある。この本の1番最後に呪文があってな。それを今から唱えさせて貰う」
何だ?アンドルの家にある複製本にはそんな呪文は書いて無かったが……私の呪いでも解いてくれるのか……?だったら良いけどな。
「ゴロ……」
(ああ……気持ちいい……最高……)
フワァッ……アンドルのカキカキが気持ちよくて眠くなってきた……このまま寝落ちしたら次に気づいた時にはアンドルの部屋か。
父上にお会い出来た事は大変嬉しいが、正直この姿のままでは何も出来ないんだ。父上またね。
父上は本を見ながら何やら呪文を唱え始めた。すると何故か私の身体が光りだして、気がづいた時にはアンドルが「うわあ!!」と言いながら私の身体を落とさない様に必死になっている所だった。
「えっ?」
「えっ?」
一瞬時が止まったかと思った。
ーーーーーーー
明日も投稿予定です。
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