【完結】王子様の婚約者になった僕の話

うらひと

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〜王子side〜6

97エドワード王子の油断2※

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(貴方は僕の気持ちを知りながらずるい人だなぁ………行ってらっしゃい。また僕の所にも来て下さいね)

(ああ、また明日会いに来る)

(僕はいつでも王子をお待ちしてますからね)

(……っく……こんな罪作りな私を愛してくれて有難う……)


 小さなアンドルはいつの間にかとても大人になっていた。

 私がずっと怪我をしている為に、アンドルは1人でシャワーを浴びている……だからその時にもしかしたら……というか、確実に1人で大人の階段を登ったと確信している。

 出来る事ならアンドルの初めての精通に立ち合いたかったのに……残念だ。あーあ。

 その頃からアンドルは急に大人びてしまってパンツも少し余裕のある空間にさせてしまったんだ。

 私は一旦パンツから出てアンドルが寝返りをうつのを待った。そしてアンドルが寝返りをし、横向きの姿勢になった状態を見計らって、今度はアンドルのお尻の側から再度パンツに潜り込んで行く。


(コンコンッこんばんは……今日も貴方の健康をチェックしにやって来ました。どうかここを開けてくれませんか?)


   私がそう言うと、閉じられている向こう側から返事が聞こえてくる。


(まっまた貴方はここに来たんですか?しつこいですよ。正直迷惑なんです。お引き取り下さい)

(ええ。私はしつこいですよ。これからも根気良く伺い続けますし……今日も少しだけお時間を下さい)

(もう……今日だけですよ)

(今日だけというお約束はできませんがありがとう。…………後ろのアンドルさん)

  ペロペロペロペロペロペロ……

(えっそんなすぐにっ!!あっあう……)

 私は舌を使い後ろのアンドルを育てている。
 こちらは小さなアンドルと違ってまだ幼さが残っており、固く閉じられていた蕾だった。
 固い蕾だが、ペロペロと刺激を与えている内に少しずつぼぐれていっているようだ。

 そう……私が小さなアンドルに不貞を疑われてでも気になってしまう子はこの子……後ろのアンドルの事だ。

   呪いの件で初めてこの子の蕾を調べた時、痛々しく赤く腫れ上がったそこに胸が苦しくなった。
   それ以来、常に健康を確認しないと心配で仕方がなくなっしまい、今は少々強引に毎日健康状態をチェックさせて貰っている。
   これからは成長を促しつつ……いつか固く閉じられている蕾を開かせてあげたい。

(今日も綺麗なピンク色の蕾だった。異常なし)

(ふっふう……)

(明日も必ず来るからね)

(もう毎日来ないで下さい迷惑です)

(ダメだ。病気や怪我等の異常は早期発見、早期治療が大切なんだよ。分かってくれ)

(ええ?!……もうっ……仕方がないなぁ)

 最初こそ私の話を全く聞いてくれなかった後ろのアンドルだったが、根気よく毎日接している内に少しずつ会話が出来る様になってきた。

 でも君は知らない。エドの世界で私が意識のない君を出来る限り確認した事をね。
 あの時は他の黒猫達もシーツで隠しながら大きなアンドルの足を開けたり曲げたりしてくれて、本当に確認がしやすかった。
 今は私1人なので中々そうはいかないが、それでも仲を深める為に本来のステップを着実に踏んでいる事を嬉しく思う。

 私はまたパンツから出て、大きなアンドルの腕の中に戻ってアンドルを起こす時間まで一眠りした。

 次の日の朝は勿論アンドルにキスをして起こしてあげる。

「んあ……ディ……ふああっねむっ……おはよう……」

 私のキスで一日が始まるアンドルは毎日張り切って学校生活を送っている。いつもの日常が戻ったのだ。



ーーーーー




 そんなある日……また学校に名誉理事長である私の父上……国王陛下が学校へやってきて、アンドルを呼び出した。


 アンドル自身も呪いの出来事があってからずっと父上と会える機会を模索していたが、やはり成人していないアンドルから陛下に謁見する事は難しかったのだ。
   だからようやく実現できて良かったと思う。
   そして私の事も誰にも見えないので、アンドルは理事長室にも一緒連れて来てくれた……父上とお会いするのは久しぶりだな。


「アンドル久しいな。学生生活は変わりないか?」

「国王陛下におかれましては、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。私は変わりなく充実した学生生活を送らせて頂いております。陛下が私の事を気に掛けて下さり大変嬉しく思っております」

 久しぶりにお会いした父上も慢性的に疲れてはいるがそれなりに元気そうだ。アンドルを見ても一見表情は変わらないが、無い時間をやっと調整出来たのかあの表情は嬉しそうにしているな。


「そうか……それは何よりだ。実は今回呼び出したのはいくつか質問したい事があったんだよ。昔……留学前のエドワードから渡した筈の本の事なんだが、変わった事が無かったか……?」


 やはり父上はその質問の為にアンドルを呼び出したのだな。
 多分だが……王家にある原本にも何らかの変化があったのに気がついたのだろう。





ーーーーーーー
次は8月6日投稿の予定です。
宜しくお願い致します。
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