87 / 124
本編7
87エディside9
しおりを挟む(おい!!アンにずっとごめんと謝るなら、先にアンやアンドルだけでも解放してやったらどうだ?
アンやアンディやアンドルがいる侯爵家は何にも悪い事をしてないし、とんだとばっちりじゃないか?)
「…………」
とアンディを羽交い締めにしている黒猫達の中の1匹がそう言うと、他の黒猫も(そうだ!!そうだ!!)と言いはじめていた。それを聞いていたエドマイヤ叔父様は諭す様にエドに伝え始めた。
(アンディ……じゃない。もうエドで良いか?エド、どうなんだ?アンを解放してやれよ。
この小さな黒猫の体の私を見ろ!!私は黒猫の呪いにかかった時に川にいたんだ。だから直ぐ流されて死んでしまったんだよ。私にはエドの様に婚約者も居なかったし、誰かを好きになる幸せも感じる事の無いまま、誰に看取られる事も無く死んだんだよ……私だってエドを恨んでいる。
なあ……王族だけが強力な力を使用できた……王族の宝だった魔石は今何処にある?)
えっ?もしかしてエドマイヤ叔父さんはエドが呪いに使った魔石を探していたのか?あの魔石の事は強力なエドの呪いがかけられた魔石としか認識していなかったが、あれは王族の宝だったのか……。
ではもし魔石が見つかればエド以外の王族も使用できるという訳なのか……ああクソッこんな時にはもっと王族の歴史について調べておけば良かったとつくづく思う。
私に長年付き添ってくれた侍従長のお陰で一般的な知識はあるが、王族の深い部分は流石に王族の者自ら積極的にならないと知識は得られなかったな。
私の生活はアンドル中心に回っていたし、黒猫になってもアンドルを守ってあげられると意気込んでいたのに結局は一周回ってアンドルを危険に晒してしまった。
しかし後悔は後からでもできる。
とにかく今はアンドルだ!!
ここにいるアンドルはまだ意識がないんだぞ!!
(エド、頼む!!アンドルはどうなってしまったんだ?何故意識が戻らないんだ?教えてくれ!!)
アンドルの横から私はアンディの姿をしたエドを見た。先ほどまでは悪巧みをしていそうなアンディの顔だったが、今は少し悩んでいる様子で目を瞑ったり、顔を横に振ったり、たまにうずくまって泣いてしまったアンを悲しそうに見つめたりしていたが、1つため息を吐いてアンドルの方を見た。
「……確かにアンやアンディ、そしてそこにいるアンドルには悪い事をした。私は王族の宝だった魔石に私の命を込めて呪いを発動した。小さな黒猫の言う通りその魔石は王族が使用すると強力な力を発動できるから、私はアンとその姿で生まれてくる侯爵家の子孫の命を魔石に縛りつけてエネルギーに変え、そのエネルギーを使って兄の子孫直系を呪ったんだ」
(んなっ!!)
「アンとここでずっと暮らすにはもっとエネルギーが必要だった時、アンディの存在を感じてまた命を縛ってエネルギーを蓄える事に成功したんだ。しかし、魂だけは奪えなかったが私が記憶のアンディの姿を貰えたのだから結果オーライだったんだよ。だが……それから暫くアンやアンディと同じ姿をした子供は侯爵家では生まれなくなってしまったんだ。
今から考えるとアンディの魂が侯爵家伝統の髪色や瞳を持つ者を生まれない様にしていたかも知れないなぁ……」
エドは1人言の様に呟きながら黒猫達やマスターに話していた。
もうアンにはバレてしまったから観念でもしたのだろうか?アンは相変わらず泣いていたが、声はもう出ていなかったのでアンディの姿をしたエドの話には耳を傾けているのだろう、アンディの話の段階で少し驚いた表情をしてエドの方を見て何かを言いたげだったが結局何も言わずにエドの話を聞いていた。
「そうしていると侯爵家から貰っていたエネルギーが貰えなくてそろそろこのまま私も朽ちていくのだろうと私も考えていた処だったんだ。そうしたらとうとうアンドルがこの場所にやって来たんだ。だからエネルギーを貰っちゃったんだよ。
彼は可愛い顔をしている割には体力も精神力も鍛えていたから膨大なエネルギーでね、最初は少しのつもりだったんだけど、必死に抵抗するから沢山貰っちゃったんだよ。ちょっと取りすぎちゃったかもしれないけど抵抗するから仕方がなかったんだ」
アンディの姿をしたエドは不可抗力と言わんばかりに残念そうな顔をしているのが逆に腹がたって来た。
(それでアンドルの命を縛ったんだな!!!だが、何故アンドルは今裸なんだ?別に服を脱ぐ必要はなかっただろう?アンやアンディの時だって服は脱いでなかった筈だ……まさかお前アンドルを!!)
考えたくはなかったがアンドルの今の様子とアンディの簡易的に羽織っただけの服を見れば2人の間で何かありましたと疑って下さいといっている様なものだ。
それもアンドルは合意じゃない無理矢理だ!!
ただ……もしかしてそれはアンドルの意識が無い時に行われた事なら……アンドルにとってはその方が気がつかないままで……知らないままの方が良いかも知れない。
「ああ……そうだよ」
(なっ!!)
ーーーーーーーーーーー
次の投稿は7月16日の予定です。
宜しくお願い致します。
20
お気に入りに追加
715
あなたにおすすめの小説
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる