【完結】王子様の婚約者になった僕の話

うらひと

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本編7

84エディside6

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「アンディ……なにか今日の貴方はおかしいわ……。いつもならドアも開けっぱなしにしてお互いの部屋を行き来し合って一緒に過ごしていたじゃない?
 アンドルの探していた黒猫のエディがやっと見つかったのよ!!
 アンドルの側にエディを連れて行ったっていいでしょう?
 …………そういえば、私ったらこんなに騒いでいるのにアンドルはまだ起きてないの?ねぇ?ちょっとだけ心配だから寝ているアンドルにちょっと会わせてくれない?」


「ニャンニャン」
(おいアンディ、お前いい加減にしろよ。アンドルは無事なのか答えろ)


「…………眠いんだ。ごめんなさい」


 アンディは黙ったままジッと考えていたが、一言だけアンに伝えると少しだけ開けていたドアを閉めようとしていた。それに気がついたのであろう後ろに控えていた黒猫の1匹が身体を張ってドアの隙間に挟まれにいった。

「ニャンッ」
(お前、何閉めようとしてんだ)っと挟まれにいった黒猫はアンディに伝えるが、


「……閉めるから。僕寝ていなくてイライラしているんだ。悪いけど黒猫を追いだすよ」


 ドンッ!!
「ギャウーーーー!!」

「きゃあーーー!!アンディ!!貴方何て事をするのよ!!」


 ドアが閉められない様に身体を張ってくれた黒猫は何とアンディに足蹴りされて後ろに吹っ飛ばされた。
 それを見ていたアンはまさかアンディが猫を蹴り飛ばすなんて信じられないといった様子で固まってしまっている。


 それでもアンディがまたドアを閉めようとすれば別の黒猫が身体を張ってまた隙間に挟まれにいった。


(エドワード!!アンドルが心配だ!!皆がドアが閉まらない様にしているからその隙間から部屋に入ろう!!黒猫の中でも身体の小さい私やエドワードならきっとあの隙間から部屋に入れる筈だ!!)


(エドマイヤ叔父様分かりました!!)


 アンディがまたドアの隙間に挟まれた黒猫に向かって足蹴りしていく。
 すると黒猫は吹っ飛ばされるが、他の黒猫が空かさず自らの身体を犠牲にしてドアの隙間に挟まれに行っていた。

 最初は1匹だけ挟まれにいったのも今では2匹同時に挟まりにいっていて、アンディは少し息を切らしながら蹴り続けている。


(ご先祖の皆さん、本当にありがとうございます。必ずアンドルの無事を確認してきますから!!)


 私は黒猫達に向かって決意の表明をしてからアンの抱っこから飛び出しアンディの顔目がけて飛んだ!!びっくりしていたアンディだったが、そのままアンディの顔を引っ掻いて頭に飛び移り部屋に入ってやった。


 私以外にも最初は全く入れなかったドアの隙間から比較的小さな黒猫が入って来れて、その中にはエドマイヤ叔父様もいる。
 今はその小さな黒猫数匹でアンディに立ち向かっていて、エドマイヤ叔父様は内側のドアについているチェーンの鍵を何とか解錠しようとしているみたいだ。


 とにかく私はアンドルの無事を確認しなければ!!


 この部屋はシンプルで小さな部屋ながら2つのベッドがあり、窓から外の様子も見える様になっていた。
 その2つのベッドの内、1つのベッドにはシーツで全体を覆っていて、寝ている人間がいるように盛り上がっているのできっとそこにアンドルがいるんだな!!

 ようやくアンドルと会えると思ったら居ても立っても居られずに飛びに飛んでアンドルのいるベッド迄飛び乗ってから頭迄すっぽり覆ったシーツをめくってみた。


「ニャンニャン?」
(アンドル?アンドル?私だよ?エディだよ?)


 寝ていたと思っていたアンドルは半目が開いていたので、私は嬉しくなって久しぶりにドキドキしながら声をかけたのだが、全くの無反応のままアンドルは半目だけは開いている……目を開けたまま寝ているのか?それにしても身動き1つもしないとは何かおかしい。


「ニャンニャン!!」
(アンドル!!アンドル!!おいっ!!どうしたんだ?しっかりしろっ!!)

 大きく鳴き叫んだが全く微動だにしないアンドルに強い違和感を覚えて、アンドルの口に近づき息をしているのか確認する。

「ニャン……」
(息はしている……)

 一瞬アンドルが死んでいるのではと思って、私の息も止まるかと思ってしまったが呼吸を確認できたのでひとまずホッとした。
 しかしアンドルの様子がおかしいのには変わりない。
 どこか病気なのかとシーツをもっと捲ってみると、何故かアンドルは全裸になっていてベッドの下にはクシャクシャになった服が落ちていた。


 何だこの状況は……。


 アンドルはアンディと同じ部屋で寝ていたと先程のアンディとアンとの会話で聞いているが、何故アンドルは服を脱いでベッドで寝ている?
 アンディの方も良く見たら簡単な服を羽織っている感じで一生懸命隙間に挟まっていく黒猫を蹴りつづけながら、部屋に侵入してきた小さな黒猫達がアンディに立ち向かっているのでそれを振り払っている所だった。


「ニャンニャン」
(おい、アンドル!!何があったんだ?お願いだから私を見て)




ーーーーーーーー
次の投稿は6月26日の予定です。
宜しくお願い致します。
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