83 / 124
本編7
83エディside5
しおりを挟む「ニャンニャン!!」
(アンドルーー!!無事だったか……!!)
「うん?……アンおばあちゃんどうしたの……?僕寝ていたのに……」
久しぶりにアンドルと会えた気がしてニャンニャンと叫んだのに、アンドルは私の方にはまだ気がづかなくて眠そうな声でそう言った。
ドアは少しだけ開けてくれているが、それ以上は内側からチェーンも掛かっているのでそれ以上は開けられない様になっている。
「どうしたもこうしたも無いのよ!!あれっ貴方アンディよ……ね……?
何故昨日まであんなに短かった髪が1日でそんなに伸びるのかしら?最初アンドルかと思っちゃったじゃないの!!
そんな事よりも!!アンドルはいる??
黒猫のエディ達がアンドルに会いに来たのよ!!アンドルはきっと喜ぶと思うわ!!早く会わせてあげましょう!!」
「ニャンニャン」
(アンディ?……アンドルじゃなくてアンディなのか……)
良く見てみるとアンディはアンドルよりは少し髪が短くて耳の下程の長さだった。
それにしてもアンディと言う人物はアンドルと瓜二つだ。
アンも瓜二つだと思ったがそれよりも年も若くて似ているかもしれない。
しかしこのアンディが私の考察では……エドかもしれないと思っていたんだが……。
「ねえアンディ!!アンドルが探していたエディが見つかったのよ!!ここを開けてちょうだい。何故今日はドアに鍵を掛けているの?それに私の部屋のドアも外からも鍵が掛かっていたのよ?この黒猫さん達に助けてもらったから良かったけれど。
だから貴方達2人が心配になっちゃったの!!
アンドルはいるの?ちょっと部屋に入らせてくれない?」
アンはドアの隙間に向かって捲し立てる様に話している所をみるとお喋りな人らしいな。
それでもアンディはドアを開けようとはしてくれず、眠そうな雰囲気の声で返事をしている。
「ごめんアンおばあちゃん、僕もアンドルも昨日はお喋りし過ぎちゃってようやく寝ついて眠いんだ。アンドルもやっとさっき寝た所でさ……アンドルを今起こすのは悪くて明日まで待ってくれる?」
眠い感じのままアンディはそう言い返していた。じゃあせめてアンドルの側に私だけでも行かせて欲しいのだが……。
「まあ!!私が自分の部屋に戻ってからも2人で話していたのね!!確かにやっと眠ったアンドルを起こすのは可哀想かしら……でもエディがここにいるのよ!!エディいる??エディはどの黒猫なのかしら?」
アンが私を呼んでいたので「ニャー」と言って1番彼女に近づいた。
こういう時は他の黒猫は呼ばれた人を優先してくれる。
抜け駆けしないて一歩引いてくれる所はしっかりと統率が取れていた。
「アンディ、この子がエディみたいなのよ。きっとアンドルに会いたがっているわ。アンドルもエディを探していたんだしこの子だけでも部屋に入れてあげましょうよ」
そう言ったアンは足元にいた私を抱き寄せてアンディに見せつけた。なのでアンディの顔を間近でみる事になってしまったが……なんだ……?このアンディという人物は??
アンドルと瓜二つなのに全然綺麗でも可愛いとも感じない自分自身にとても驚く。
おかしい。
アンにはあんなに綺麗だの可愛いだの感じていた筈なのに、アンよりアンドルに似ているアンディを見ても全くときめかなかった。
そして良く見れば眠そうにしていると思ったアンディの表情は苦虫をすり潰した様な……そんな表情をしていたのに今更気付かされる。
「ニャンニャン」
(なあ……お前……アンとアンドルに瓜二つだけどさ、お前って何なんだ?)
意外と冷静だった私は「ニャーニャー語」でアンディにそう話しかけてみた。
私には何か……根拠は無いがアンディは侯爵家の人間では無いと確信していた。
私はまだ短い人生だが、生きて来た中でずっと疑問に思っていたんだ。
何故私はアンドルの事がこんなにも好きなのか。
ただの惚気で馬鹿馬鹿しい話かもしれない。
最初に会った時から私の一目惚れでアンドルの存在の全てが愛おしく感じ、陛下からの命令でそのままアンドルは私の婚約者になったので自分の人生は最高じゃないかと単純に喜んでいた。
というのにアンドルは陛下の命令で他の王族との交流を持つ機会は全く無かった。
父上である陛下にその事を聞いてみた時は「アンドルの容姿はとても美しく王族に大変好まれる容姿だから万が一他の王族にも狙われない様にだ」と言っていたが……。
もしかしたら呪いのせいで侯爵家の血統とアンドルやアンの容姿が呪いを解除できると直系王族の生存本能が恋焦がれる様に訴えていたのではないか?
それを陛下は知っていたんだ。
私の予想が正しければ、陛下もアンドルを見ればときめいたのかもしれない。
そして2人の兄上も……しかし、陛下は息子達の中で1番呪いに掛かる可能性が高い私にどうにかしてアンドルを婚約者にしたんだ。
勝手な考察だが、私の考えが正しければこの目の前にいるアンディはアンドルと瓜二つなのに全く胸が高鳴らない事が頷ける。
私の本能がときめかないアンディは侯爵家の人間ではない。
何がどうなったのかは分からないが、侯爵家の人間の容姿になりすましてここで生活していた人物だ。
そんな事を何故……?
それは勿論アンと2人で生活する為に。
もうここまで考えがまとまると、目の前の人物がやっぱりエドとしか考えられない。
「ニャンニャン?」
(貴方は……エドですね?貴方のお兄様は人間のまま「ニャーニャー語」が聞き取れてましたから、弟の貴方も聞き取れますよね?)
そう言うとアンディは一瞬だけ目を見開いたので、やっぱりお前はエドか……という確信があった。しかしアンディは私の事は無視してアンと話しだす。
「君がエディかい?可愛いね。だけどアンおばあちゃん、本当に今日は疲れているんだ。このまま休ませておくれよ」
困った顔をさせて眉毛を八の字にさせながら、かなりあざとくアンに伝えていた。
一度アンディがエドだと認識になってしまうとそのあざとさが王族のルーツ……というか、先程アンを見てからの黒猫達のあざとさと似ていて妙に感心してしまった。しかしアンにとっては普段のアンディではなかったようだ。
21
お気に入りに追加
715
あなたにおすすめの小説
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる