80 / 124
本編7
80エディside2
しおりを挟む下にいる黒猫達と天井近くにいる黒猫達は話しながら天井に登って行くが戻って来ている黒猫もいる……。
(ドアの上は私達黒猫が数人入れるかどうかの広さだ)
(真っ暗で何もない!!何かあると思って期待していたんだが拍子抜けだ)
(真っ暗なだけで何にもないしかなり狭い!!私達が……いやっこっちにもほんの少しだけ食糧があるぞ!!飲み物も!!)
天井に登った黒猫からは色々な情報を貰えるが上は狭いし行き止まりなのか直ぐに戻って他の登りたい黒猫に譲ってくれている。
とうとう私も順番が来て天井の上に登ってみたら、確かに真っ暗で狭いしかなり寒い!!ここは一体何なんだ!!
この狭い場所を取り敢えずドンドン叩いてみたら、一箇所だけ壁がズレた様な気がして、更にその場所をドンドンとしてみたら何と壁が開いて光が急に差し込んで来て眩しくそのまま壁の向こう側に落ちてしまった。
ドタドタ……ベタン
猫なのに上手く落ちる事が出来ずにベタンと身体全体に衝撃が走ってしまった。
いたたた……ふう……何とか大丈夫だが……何だ此処は??
(此処は何処なんだ?)
(エドワード大丈夫か?)
(おい、こんな場所に部屋があったのか!!)
私の後ろで控えていた黒猫達が興奮しながら続々と登って来ている。
私も身体は少し痛かったが、怪我もない様なのでこの部屋を見渡してみると小さなキッチンの様だった。そして私が天井から登って来た場所はえっ?
登って来た所……確かにそこは寒くて暗くて狭く食糧が少しあった場所だったが冷蔵庫だったのか!!
という事は此処には誰かが住んでいる場所!!
ここはエドの住処なのか?
まさか黒猫達の酒場の貯蔵庫とこの部屋の冷蔵庫が繋がっているとは……しかし繋がったのも最近の話かも知れない。
黒猫達だって自分達の呪いの為にこの世界を十分に調べていた筈だから、急に繋がるなんて事はないだろう。
やはり、アンドルや私がこの世界にやって来た事や、もしかしてエドの呪いの力が弱まったせいなのかもしれない。
すると遠くで「ドンドン……アンディ、アンドルー私のドアを開けてちょうだい」
と小さな声が聞こえた。
何!!アンドルだと!!
私のアンドルの事を知っている人物が此処にいるのか!!!
冷蔵庫からまだ続々とこの部屋までやって来て驚いている黒猫達の中にも今の声を聞こえた者達がいたので、一緒に声がする方のドアに向かっていくと、ドアは鍵がかけられていて、その鍵は直ぐに見つかった。
「ニャーニャー」
(貴方はどなたですか?アンドルを知っているのですか?)
ドンドンと叩かれているドア越しで話してみた。
「えっ猫?アンディかアンドルは猫の真似なんかしてないで、此処を開けてちょうだい!!開かないのよ!!外側から鍵をかけるなんて酷いわ」
ドア越しから何処かのお嬢さんみたいな声がいた。
そして私の声は猫の鳴き声にしか聞こえない人だ。そして彼女の話の内容からアンドルの事を知っていて、部屋に閉じ込められているといった所か……
(おいエドワード!!彼女はアンドルの事を知っているみたいだぞ。仮に彼女が誰かに閉じ込められる様な事をしていたといても何かヒントがある筈だからドアを開けようぜ)
(エドマイヤ叔父様!!)
いつの間にか小さな子猫のエドマイヤ叔父様が私の隣にいてドアの鍵を掴んでいた。
叔父様は子猫の顔なりに真剣な顔つきで、この状況を打開しようと彼なりに必死に足掻いているんだろう。
(そうですね!!ドアを開けでみましょう!!それにしても誰が彼女を閉じ込めたのでしょうね……)
(それもドアの向こうの彼女に聞いてみようぜ)
そう言ったエドマイヤ叔父様は子猫なのにも関わらず器用に鍵を持ち、ドアノブの上にまた器用に乗ってドアの鍵を上手く解錠しようとしていた。
(エドマイヤ叔父様って凄い!!)
黒猫になってから多少は人間みたいな動きが出来ない訳じゃなかったが、エドマイヤ叔父様の動きはほぼ人間だ。いや、身体が小さい分人間より細かい動きができるのかもしれない。
きっと死んで子猫になってからも日々鍛錬を続けていたとかそんな動きだ。
…… やっていたのだろうな。
流石は王族……父上の弟だ。
私はそんな叔父様に……子猫なのに子猫の身体を使いこなしていたエドマイヤ叔父様の動きには感動すら覚えてしまった。
暫くするとガチャガチャ、ガチャリッっと解錠の音がして、
内側からバンッ勢いよくドアが開くと同時にエドマイヤ叔父様をそれを避けて飛び降りた。
「はあー!!やっと出して貰えたわ!!って…………わわわわ……ななな……」
ドアの向こうから出て来た彼女は目の前にいる沢山の黒猫達をみて本当に目が飛び出ですんじゃないかと思う程目を見開いて驚き、声が出せない様だった。
そしてそんな彼女を見た時、私は彼女を見て1番に思った事!!それは……
20
お気に入りに追加
715
あなたにおすすめの小説
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる