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本編7
76話は尽きない
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アンドルside
それからも僕はお茶をしながらアンとアンディにこの世界で生活していく上で色々な事を教えて貰った。
「それでね、私は他に誰かいないか探そうと思って同じ方向に歩き続けてみるんだけど、疲れてヘタり込んだまま寝てしまうの。そして朝になるとこの木の家に戻っているのよ。身体も疲れてないしね……アンディが来る迄にはこの世界の仕組みとか試す事は全て試した感じね」
2人は初対面の僕に対しても心を許して沢山話してくれるけれど、特にアンの方はそうれはもう喋りに喋ってくれた。
それをアンディは「ずっとアンは僕と2人だけだったから聞いてやってね」と僕にコソっと伝えてくれて優しくアンを見守っている。
外見はほぼ同じでも性格は3人がそれぞれ違っていて、特に男の子より女の子の方がお喋りさんに出来ているのかもしれないと思った。
「はあーー!!久しぶりに沢山喋ってとっても楽しかったわ!!あっ、ごめんなさいね!!
アンディと2人でいる時が楽しくない訳じゃないの!!だけどずっと2人だと話す必要が無ないくらいお互いの事を知ってるじゃない?
だからアンドルが来てくれて本当に嬉しいわ!!
でも私喋り過ぎて疲れちゃったからお先に休ませて貰うわね。貴方達は男性同士だからまだ積もる話はごゆっくりどうぞ!!」
アンはそう言いながら欠伸をして笑顔で自分の寝室に行ってしまった。僕とアンディはアンがさっさと寝室に向かってしまったのを呆気に思いながらお互い顔を見合わせて笑い合ってしまった。
「アンってお喋りだったんだね……僕は王族から頂いた複製本の中でしかアンの存在を知らなかったから、アンはもっと儚げな感じだと思っていたけれど元気で明るい子だったのには驚いたよ」
アンが去った後の部屋では聞き手に回っていた僕とアンディだけが残された部屋で静かな時間が流れている。
「そうだね……僕もアンおばあちゃんと一緒に暮らす様になってからこんなに明るくて元気な子だったなんて知らなかったよ。ふふっ僕達もそろそろ寝よっか?僕の寝室を案内するよ」
「いいのかい?アンディありがとう」
アンディに連れられて部屋を案内されると2人分のベッドがあった。
「アンの部屋も2人分のベッドがあって、いつもはどちらかの部屋で2人で寝ているんだ。でも今日は男同士のアンドルと僕とで寝よう」
「そうなんだ……2人っきりしかいないと寂しいもんね……」
隣同士のベッドに入り、そこからも2人で色々と話してしまう。
「アンドル、その魔法陣でここに来たって言う黒猫のエディだっけ? エディは本当に何処に行っちゃったんだろうね……どんな黒猫なのかも教えてくれる?」
「アンディも僕の協力をしてくれてありがとう!!じゃあもっと詳しく話すね!!」
エディの事は勿論僕の婚約者のエドワードの事も沢山アンディに話をしてしまった。僕が話す度にアンディは表情豊かに笑ったり悲しんだりしてくれてアンディは聞き上手かも知れない。
きっとアンディは普段からアンと2人っきりでこうして聞き役に回る事が多いのだろうな。
ーーーーーー
……ゴゴ……ゴトッ………
「んあ………あれ?」
ゴトッという部屋の外からの鈍い音で僕は起きた。
薄暗い部屋の中でぼんやりと木目の天井が目に飛び込んできて、ああ……そっか……僕はアンディの部屋で一緒に寝たんだっけ。
この部屋でもアンディと2人で話すのが楽しくて話している内に気づいたら僕は寝ちゃったみたいだ。
隣にはアンディがいて……ってあれ?
隣のベッドにはいない。何処か行ったのかな……さっき部屋の外でゴトッて音もしていたもんね……お手洗いにでも行ったのかな……
………ガチャッ………ガチャリ
ドアの音だ。アンディが帰ってきたんだ。
「……アンディー?」
「アンドル?起こしちゃったかい?ごめんね。静かに動いていたつもりだったんだけどね。まだ夜だから寝てて良いよ」
薄暗い部屋のドアの音がしてアンディが戻って来て優しい声で返事をしてくれたので安心した。
「うん、有難う」
そう言って僕は何の動揺も見せない様にしたまま、またベッドの中に潜ったけど……今僕が見た物が信じられなくて身体が震えていた。
えっ……今の人は誰??
今見たアンディは顔は僕と同じ顔のアンディだったけど顔にはひび割れがあるように見えたし、髪の毛は白と黒のマダラ模様になっていて、アンディの面影が変わっている!!なのにアンディとして僕と普通にお話ししてた。
今、この部屋にいるアンディは一体何があったの!!
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