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本編6
70 王族の歴史と宿命4
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アンドルside
トッペルゲンガー
世の中には自分と同じ姿の人が自分を含めて3人いるらしい。
そして自分以外の2人を自分が見てしまうと自分は死んでしまうとか……
僕はそのトッペルゲンガーと言われる自分以外の同じ姿である2人を目の前で眺めつつ何故か今一緒にお茶をしている……。
先ほど大きな木の上で出会ったのは僕ではなくて、ちゃんと人間で名前は「アン」という女性の方だった。
アンと出会った時はお互いがびっくりしたけれど、アンは直ぐに何かを察して僕を大きな木の幹にある家に招いてくれた。
そして今、その隣にいるのが「アンディ」
木の幹には木の扉があってアンに招かれるままに中に入ると、小さくても温かい雰囲気の部屋が広がっていた。
そこには短い髪の人がもう1人いて、それがアンディだった。
僕が部屋に招かれた時は丁度クッキーを焼いていたらしく、
「アンおばあちゃん!!木の実のクッキーが焼けたからお茶にしよう!!って!!えっ!!君は僕?」
と言って僕と同じ反応をして驚いていた。
そしてアンディは見えないけれど何と男性でびっくりした。
僕とほぼ同じ姿なのにそう思ったんだから、きっと僕の事も女性と間違えてしまうだろうと思っていたら案の定
「えっ!!アンドルって男の子だったの??絶対女の子だと思ったのに!!」
とアンとアンディから言われてしまった。ははは……
3人ともプラチナブロンドで緑の瞳も同じだし、少し痩せててシュッとしているのも似ている。
違うと言えば、髪の長さ位だ。
アンが1番長くて腰の位置迄ウエーブがかった髪がある。そしてアンディは耳が半分位隠れる程の長さしか無い。
ちなみに僕は肩につくかつかないかの長さだ。この長さは寒い時は暖かいし、暑い日にはゴムで縛れば涼しいから気に入っている長さなんだ。手入れもしやすいし。
「急にお2人のお茶にご一緒させて貰い有難うございます。でも僕は今の状況がよく分かってなくて……僕の話を聞いて貰えませんか?」
「そんな事勿論よ!!それに随分と2人っきりでの生活をしていたから、新しい子が来てくれて本当に嬉しいわ!!貴方はきっと私達の子孫だとは思うけれど、どんな人物なのか知りたいし。ねぇ?アンディ?」
「そうだね。アンドルば僕達の子孫なのは分かっているけど……ちなみに僕からみるとアンは祖母なんだよ。だからアンおばあちゃんって普段は呼んでいるんだ」
「えっ!!アンとアンディは祖母と孫の関係なの?!今の見た目じゃあ……僕も含めて3人とも同じ位の年齢に見えてしまうからびっくりです!!」
「ふふっ有難う。でも私はね2人の子供を産んでからすぐにエドっていう元婚約者の呪いによって殺されてしまったから、生きている時にはアンディと会えなかったのよね……」
そう言って少し遠い目をしながらアンは伝えてくれた。自分が呪いによって殺されたなんてとんでも無い事だと思うのだけれど、「随分昔の御伽話よ」と言ってアンは笑っている。
アン……は多分、あの複製本に出てくる物語の登場人物なんだと確信した。
と、言う事はこの2人はやっぱり僕のご先祖様達なんだろう。
見た目もこんなによく似ているせいか、何の証拠も無いけれどこの答えがスッと僕の心に収まってしっくりいった。
だから僕は素直に僕の生い立ちから……王族の婚約者がいる事や、王族から頂いた複製本の中に魔法陣が書いてあり、その魔法陣に吸い込まれて気づいたらこの場所にいた事、直前でエディという黒猫も一緒に来た筈なのに居なかった事等を全て話してしまった。
アンとアンディの2人はそんな不思議な話にも真剣に耳を傾けてくれて、僕が話し終わった後は一緒に今の状況の整理をしてくれた。
「私はね、最初アンドルを見た時に私達と同じ姿だし、てっきり呪い死んでここに来たのかと思っていたけれど違うみたいね……王族から貰った本の魔法陣が影響しているとは……」
アンは魔法陣が気になっている様だ。アンディも僕の状況を整理しながらもアンディ自身の生きていた頃の話を少しずつ聞かせてくれる。
「僕も生きている時は……王族の王女から結婚の打診が何度もあったんだよ。だけどおかしいんだ。王女が僕の侯爵家にお嫁に来てくれるんじゃなくて僕が王女の婿として王族に入って欲しいってさ。それに隣国の嫁いで行ったアンおばあちゃんの話は僕の家では可哀想なアンおばあちゃんとして話を聞いていたから王族の事が嫌いだったんだよ」
2人の話からすると……あの複製本の存在や魔法陣の事はご存じ無いらしい。
そして2人とも王族から求婚された経験があってアンの時にエドの呪いで亡くなってしまったとしたら、その孫にあたるアンディも呪い殺されたのだろうか……じゃあ僕は?
「あの……アンディも呪い殺されたのですか?こんな事を聞いたら不謹慎かもしれませんが、お2人はどんな呪いで亡くなってしまったのか教えて貰えませんか?」
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