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本編6
69エディside
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ーーーーーー
エディside
「ニャー?」
(ここは……夜?)
気がつくと一面薄暗い場所だった。
身体は黒猫のまんまか……もしかして私が元の姿に戻るヒントがあるかも知れないと思っていたがそんな都合良くは無かったな。
魔法陣が真っ黒な渦に変わってアンドルを取り込み始めた時、アンドルは私を離して助けようとしてくれた。
「エディだけは助かって!!ミルク飲んで元気に過ごすんだよ!!」
「ニャーニャー!!」
(何言っているんだアンドル!!私達はいつも一緒だろう?勝手に決めるな!!)
そう思っている内にアンドルの身体がどんどん魔法陣に吸い込まれていくのが見えるが、私は突然の出来事に理解が及ばずどうすれば良いかとパニックになっていると、アンドルが急に何か諦めた顔をして私に言った。
「エディ……元気で……」
「ニャー!!」
(アンドル!!諦めるなー!!)
そう思って咄嗟に落ちていた哺乳瓶ミルクを咥えて私もアンドルを吸い込んでく魔法陣に飛び込んだんだが……
辺りを見回してもアンドルは居ない。
こう言っちゃ何だが、この姿の私はペットとしてアンドルにとても愛されているから、アンドルが私を置いて何処かに行く事はまず無いだろう。
そう考察するとアンドルと私は離れ離れになってしまったと考えるのが妥当だ。
間に合ったと思ったんだがここにあるのはミルクだけ……。
必死になって哺乳瓶のミルクを咥えたから人工の乳首は私の牙で少し穴が開いてしまったけれど、ちゃんと飲めそうだ。
遠い異国の地では「腹が減っては戦は出来ぬ」と言う言葉があるくらいだし、お腹が減っているのは気持ちも沈んでしまうからとりあえずミルクを飲もう。
チュウチュウチュウチュウ……
ぷはっ
私は倒れていた場所で座り直してミルクを飲んだ。
アンドルはいつも抱き締めてミルクを飲ませてくれるが、本当は1人でも人間の様に座って飲むことが出来る。
だがアンドルに抱き締められながら飲ませてくれる多幸感には何よりも変え難く、アンドルが飲ませてくれなきゃ1人では飲めない可愛い黒猫のフリして今に至る訳だ。
「ニャーー」
(ふぅーーー美味しかった)
この姿になってから私も随分と性格が図太くなったと感じる。
そもそもアンドル以外の事に関してなら余程の事がない限りパニックになった事もなく冷静に対処できるのだが、どうしてもアンドルに対しては自分の気持ちが全面に溢れ出てしまって、冷静さに欠けてしまうのはやはり私の反省点ではあるな。
お腹が満たされると、薄暗い周りの景色も随分と落ち着いて見渡せる様になった。
すると、向こうの方に明かりがついた一軒家が見える。
どうやらそこ以外には家は見当たらないから、あの家に今の状況が分かるヒントがあるかも知れないな。
「ニャーー」
(あの家に行ってみるか……)
そう独り言を呟いて猫のまま歩き出した。
その一軒家の近くに着くと、外からでも家の中では騒がしくしていて、話声や歌を歌っている様な陽気な声まで声が漏れ出ていた。
(何かの酒場か……?)
そのまま入口近く迄くると看板があったのでどんなお店なのか確認するとその看板には
『天使の羽がついている黒猫達の呪いの墓場(酒場)』
と書いてあった。
(何だ?羽がある黒猫達で呪いというのも今の私の事ではないか……)
恐る恐る……入口のドアノブを前足で引っ掛けてみるとギィーっとドアが開いた!!
すると今まで外迄聞こえていた声達が急に静まり返っている。
まあでもこの家を訪問するしか私には残された道が無い気がするしな。
「ニャー」
(こんにちは……)
「……」
静まり返っていた酒場の様な店内だったが、そこには私と同じ羽の生えた黒猫達がわんさかいて、一斉に私を睨んできた。
(えっ!!私と同じ姿がいっぱいいる!!)
私がびっくりして店内を見渡してみると私より大きな黒猫が私の方に寄ってきた。
「ニャーニャー」
(ようこそ!!私達の子孫よ)
(子孫?!っというかニャーと言っているのに話が分かるのか?)
(ああ……ここでは皆ニャーニャー語で話しているが、黒猫同士普通に話せるよ。君は……その小さな姿という事は呪いで黒猫の姿のまま不幸な事故に遭って死んだのかな?)
大きな黒猫が代表して私に話しているが、背後には沢山の黒猫が私と大きな黒猫の話を固唾を飲んで見守っている様だ。
(私の事を子孫と言う事は……貴方様達は歴代のご先祖様である王族なんですか?)
(そうなんだよ。私達は生きている間に一度黒猫の呪いにかかってしまった王族のなれの果て達だよ。この黒猫の姿のまま死んだ者も、黒猫期間を生き抜いて一旦人間としての生を全うした者も死んだ後に何故か黒猫に戻ってここに留まっているんだ。呪いは死んでも続いていてね)
(そんな!!)
何て事だ!!
この大きな黒猫の方もそうだが、店内にいる沢山の黒猫達も私の先祖である歴代の王族達だった。
それにもう一つは一度この姿から人間に戻ったとしても死んだらまたこの姿に戻ってこの場所で永遠に過ごしていると言うのか?
本当の意味で解決しない限り未来永劫呪い続けると……そう考えるとブルッと身体が震えてしまった。
(まあまあ……こんな入口で話し込むのも何だから、店内に入って語り合おうか!!なーに!!時間はいっぱいあるんだからね。新しい黒猫メンバーが増えて嬉しいよ!!)
大きな黒猫は人間の様に二本足で立って私の背中を前足で押しながらグイグイ店内に入れてくれた。
ーーーーーー
次話はまたアンドルsideに戻ります。
エディside
「ニャー?」
(ここは……夜?)
気がつくと一面薄暗い場所だった。
身体は黒猫のまんまか……もしかして私が元の姿に戻るヒントがあるかも知れないと思っていたがそんな都合良くは無かったな。
魔法陣が真っ黒な渦に変わってアンドルを取り込み始めた時、アンドルは私を離して助けようとしてくれた。
「エディだけは助かって!!ミルク飲んで元気に過ごすんだよ!!」
「ニャーニャー!!」
(何言っているんだアンドル!!私達はいつも一緒だろう?勝手に決めるな!!)
そう思っている内にアンドルの身体がどんどん魔法陣に吸い込まれていくのが見えるが、私は突然の出来事に理解が及ばずどうすれば良いかとパニックになっていると、アンドルが急に何か諦めた顔をして私に言った。
「エディ……元気で……」
「ニャー!!」
(アンドル!!諦めるなー!!)
そう思って咄嗟に落ちていた哺乳瓶ミルクを咥えて私もアンドルを吸い込んでく魔法陣に飛び込んだんだが……
辺りを見回してもアンドルは居ない。
こう言っちゃ何だが、この姿の私はペットとしてアンドルにとても愛されているから、アンドルが私を置いて何処かに行く事はまず無いだろう。
そう考察するとアンドルと私は離れ離れになってしまったと考えるのが妥当だ。
間に合ったと思ったんだがここにあるのはミルクだけ……。
必死になって哺乳瓶のミルクを咥えたから人工の乳首は私の牙で少し穴が開いてしまったけれど、ちゃんと飲めそうだ。
遠い異国の地では「腹が減っては戦は出来ぬ」と言う言葉があるくらいだし、お腹が減っているのは気持ちも沈んでしまうからとりあえずミルクを飲もう。
チュウチュウチュウチュウ……
ぷはっ
私は倒れていた場所で座り直してミルクを飲んだ。
アンドルはいつも抱き締めてミルクを飲ませてくれるが、本当は1人でも人間の様に座って飲むことが出来る。
だがアンドルに抱き締められながら飲ませてくれる多幸感には何よりも変え難く、アンドルが飲ませてくれなきゃ1人では飲めない可愛い黒猫のフリして今に至る訳だ。
「ニャーー」
(ふぅーーー美味しかった)
この姿になってから私も随分と性格が図太くなったと感じる。
そもそもアンドル以外の事に関してなら余程の事がない限りパニックになった事もなく冷静に対処できるのだが、どうしてもアンドルに対しては自分の気持ちが全面に溢れ出てしまって、冷静さに欠けてしまうのはやはり私の反省点ではあるな。
お腹が満たされると、薄暗い周りの景色も随分と落ち着いて見渡せる様になった。
すると、向こうの方に明かりがついた一軒家が見える。
どうやらそこ以外には家は見当たらないから、あの家に今の状況が分かるヒントがあるかも知れないな。
「ニャーー」
(あの家に行ってみるか……)
そう独り言を呟いて猫のまま歩き出した。
その一軒家の近くに着くと、外からでも家の中では騒がしくしていて、話声や歌を歌っている様な陽気な声まで声が漏れ出ていた。
(何かの酒場か……?)
そのまま入口近く迄くると看板があったのでどんなお店なのか確認するとその看板には
『天使の羽がついている黒猫達の呪いの墓場(酒場)』
と書いてあった。
(何だ?羽がある黒猫達で呪いというのも今の私の事ではないか……)
恐る恐る……入口のドアノブを前足で引っ掛けてみるとギィーっとドアが開いた!!
すると今まで外迄聞こえていた声達が急に静まり返っている。
まあでもこの家を訪問するしか私には残された道が無い気がするしな。
「ニャー」
(こんにちは……)
「……」
静まり返っていた酒場の様な店内だったが、そこには私と同じ羽の生えた黒猫達がわんさかいて、一斉に私を睨んできた。
(えっ!!私と同じ姿がいっぱいいる!!)
私がびっくりして店内を見渡してみると私より大きな黒猫が私の方に寄ってきた。
「ニャーニャー」
(ようこそ!!私達の子孫よ)
(子孫?!っというかニャーと言っているのに話が分かるのか?)
(ああ……ここでは皆ニャーニャー語で話しているが、黒猫同士普通に話せるよ。君は……その小さな姿という事は呪いで黒猫の姿のまま不幸な事故に遭って死んだのかな?)
大きな黒猫が代表して私に話しているが、背後には沢山の黒猫が私と大きな黒猫の話を固唾を飲んで見守っている様だ。
(私の事を子孫と言う事は……貴方様達は歴代のご先祖様である王族なんですか?)
(そうなんだよ。私達は生きている間に一度黒猫の呪いにかかってしまった王族のなれの果て達だよ。この黒猫の姿のまま死んだ者も、黒猫期間を生き抜いて一旦人間としての生を全うした者も死んだ後に何故か黒猫に戻ってここに留まっているんだ。呪いは死んでも続いていてね)
(そんな!!)
何て事だ!!
この大きな黒猫の方もそうだが、店内にいる沢山の黒猫達も私の先祖である歴代の王族達だった。
それにもう一つは一度この姿から人間に戻ったとしても死んだらまたこの姿に戻ってこの場所で永遠に過ごしていると言うのか?
本当の意味で解決しない限り未来永劫呪い続けると……そう考えるとブルッと身体が震えてしまった。
(まあまあ……こんな入口で話し込むのも何だから、店内に入って語り合おうか!!なーに!!時間はいっぱいあるんだからね。新しい黒猫メンバーが増えて嬉しいよ!!)
大きな黒猫は人間の様に二本足で立って私の背中を前足で押しながらグイグイ店内に入れてくれた。
ーーーーーー
次話はまたアンドルsideに戻ります。
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