58 / 124
本編5
58陛下と僕の初対面2
しおりを挟む
やはり陛下はエドワード王子の事で僕と話したかったんだ。
できればこの機会に王子の詳しい情報を陛下から教えて貰えないだろうか……
「有難うございます。この度入学できました事を心より嬉しく思っております。この学校の生徒としての誇りを胸に精一杯学業に励みながら、充実した学生生活を送れる様に精進したいと思います」
「うむ。良い学校生活が送れる様に私も祈っているよ」
「はい。有難うございます」
僕は失礼の無いお礼の言葉を伝える事が出来た。よしっ!!今が王子の事を聞けるチャンスだ!!
「あの陛下……私から王子について質問しても宜しいでしょうか?」
僕は勇気を振り絞って陛下に聞いてみた。すると
「良いが……君からエドワードの質問をされても私は何も答えられないだろう。ただ1つ言える事はエドワードの留学中は君はそのまま婚約者だという事だ」
「えっあ……」
僕が王子の事を聞こうと質問したら、陛下が先回りして王子について何も答えられないだろうと言われてしまった……そして僕は婚約者のままだという……。
そんな……せめて……
「へ、陛下、せ、せめてエドワード王子がお元気かどうかだけでも教えて頂け無いでしょうか?
王子も突然の留学で誰とも連絡を取らないとは異国の地で大変なご苦労をされていらっしゃるかもしれません。
せめて元気でいらっしゃると分かれば、僕はこの国で王子のご無事をお祈りしながら生活していきたいと思っております」
ほんのつい最近まであんなに王子を身近に感じていたのに、今では王子の事を何一つ教えて貰えず、王子の行方も分からない状態なのに僕は婚約者のままでいるというのだ。
じゃあ……せめて王子がお元気かどうかくらい教えて貰えても良いじゃ無いかっ!!
思いきって陛下にそう訴えてみたけれど、陛下は少し黙ったまま何もお答えにはならなかった。
そして、
「私も君に聞きたい事があるのだが……最近何かを飼い始めたり、一緒に生活し始めた者は侯爵家におるか?」
「えっ……?」
何かを飼い始めたかだって……!?
僕は今迄、エディを飼う迄は生き物なんて飼った事は無かった。
本当にたまたまエディを見つけて……可愛くて勢いで飼う事になったのだけれど、陛下は何故、僕がエディを飼い始めた滅多に無いタイミングでそんな質問をするのだろうか……!!
「はい。最近飼い始めた生き物がおりますが……陛下は何故僕が生き物を飼い始めたのを知っていらっしゃるのですか?」
陛下に返事をしてから僕が逆に質問を返すと、陛下が一瞬とても驚いた表情をした後、またいつもの陛下に戻った。だけどフーッと静かに息を殺して吐いている??
「そうか……そうか。いや……たまたま侯爵家には所有している馬以外の生き物はいるのか聞いただけだ。して、その生き物は元気か?」
えっ陛下がエディに興味を持っている??何故??
何だか分からないけれど、とにかく返事をしなければ……
「はい。とても元気です。
僕が飼い始めたのは黒猫なんですが、僕に懐いてとても可愛く賢い子です。
家にいる時はいつも一緒に過ごしております。
ずっと僕からくっついて離れないので一緒にシャワーを浴びたり、寝る時も毎日一緒に寝て過ごしております。
朝には目覚まし時計の様に毎日唇をペロペロ舐めて、僕を起こしてくれる優しい子です。
……えあっ!!陛下……!!
僕の飼っている生き物の話ばかりしてしまい、大変申し訳ありませんでした!!」
いくら陛下からエディの事を聞かれたからって、エディの事を思い出しながらついつい楽しくエディの事を長く語ってしまった。
そのせいで微笑んでいた陛下が途中から急に片手で顔を覆って項垂れてしまった。ああ……僕は喋り過ぎちゃった。
エディの詳しい話迄は必要なかったみたいだ……。
できればこの機会に王子の詳しい情報を陛下から教えて貰えないだろうか……
「有難うございます。この度入学できました事を心より嬉しく思っております。この学校の生徒としての誇りを胸に精一杯学業に励みながら、充実した学生生活を送れる様に精進したいと思います」
「うむ。良い学校生活が送れる様に私も祈っているよ」
「はい。有難うございます」
僕は失礼の無いお礼の言葉を伝える事が出来た。よしっ!!今が王子の事を聞けるチャンスだ!!
「あの陛下……私から王子について質問しても宜しいでしょうか?」
僕は勇気を振り絞って陛下に聞いてみた。すると
「良いが……君からエドワードの質問をされても私は何も答えられないだろう。ただ1つ言える事はエドワードの留学中は君はそのまま婚約者だという事だ」
「えっあ……」
僕が王子の事を聞こうと質問したら、陛下が先回りして王子について何も答えられないだろうと言われてしまった……そして僕は婚約者のままだという……。
そんな……せめて……
「へ、陛下、せ、せめてエドワード王子がお元気かどうかだけでも教えて頂け無いでしょうか?
王子も突然の留学で誰とも連絡を取らないとは異国の地で大変なご苦労をされていらっしゃるかもしれません。
せめて元気でいらっしゃると分かれば、僕はこの国で王子のご無事をお祈りしながら生活していきたいと思っております」
ほんのつい最近まであんなに王子を身近に感じていたのに、今では王子の事を何一つ教えて貰えず、王子の行方も分からない状態なのに僕は婚約者のままでいるというのだ。
じゃあ……せめて王子がお元気かどうかくらい教えて貰えても良いじゃ無いかっ!!
思いきって陛下にそう訴えてみたけれど、陛下は少し黙ったまま何もお答えにはならなかった。
そして、
「私も君に聞きたい事があるのだが……最近何かを飼い始めたり、一緒に生活し始めた者は侯爵家におるか?」
「えっ……?」
何かを飼い始めたかだって……!?
僕は今迄、エディを飼う迄は生き物なんて飼った事は無かった。
本当にたまたまエディを見つけて……可愛くて勢いで飼う事になったのだけれど、陛下は何故、僕がエディを飼い始めた滅多に無いタイミングでそんな質問をするのだろうか……!!
「はい。最近飼い始めた生き物がおりますが……陛下は何故僕が生き物を飼い始めたのを知っていらっしゃるのですか?」
陛下に返事をしてから僕が逆に質問を返すと、陛下が一瞬とても驚いた表情をした後、またいつもの陛下に戻った。だけどフーッと静かに息を殺して吐いている??
「そうか……そうか。いや……たまたま侯爵家には所有している馬以外の生き物はいるのか聞いただけだ。して、その生き物は元気か?」
えっ陛下がエディに興味を持っている??何故??
何だか分からないけれど、とにかく返事をしなければ……
「はい。とても元気です。
僕が飼い始めたのは黒猫なんですが、僕に懐いてとても可愛く賢い子です。
家にいる時はいつも一緒に過ごしております。
ずっと僕からくっついて離れないので一緒にシャワーを浴びたり、寝る時も毎日一緒に寝て過ごしております。
朝には目覚まし時計の様に毎日唇をペロペロ舐めて、僕を起こしてくれる優しい子です。
……えあっ!!陛下……!!
僕の飼っている生き物の話ばかりしてしまい、大変申し訳ありませんでした!!」
いくら陛下からエディの事を聞かれたからって、エディの事を思い出しながらついつい楽しくエディの事を長く語ってしまった。
そのせいで微笑んでいた陛下が途中から急に片手で顔を覆って項垂れてしまった。ああ……僕は喋り過ぎちゃった。
エディの詳しい話迄は必要なかったみたいだ……。
22
お気に入りに追加
715
あなたにおすすめの小説
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる