【完結】王子様の婚約者になった僕の話

うらひと

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〜王子side〜4

55エドワード王子の呪い5

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 私は本当に調子に乗っている。今日もノリノリだ。


 日中はアンドルの行動を邪魔しない様にしている為、夜の食事が終わってから眠る迄のアンドルのプライベートタイムが私のベリーグッドタイム。


 毎日アンドルとコミュニケーション(という名のキス)をし合って、首や鎖骨を舐め上げて、さらにメインディッシュである待望の乳首に到達するの迄の険しい挑戦がいつもの日課である。


 しかしアンドルも最初こそ戸惑って私に翻弄されていたが、今では先回りして私の首根っこを掴む様になった。
 だから乳首に到達する成功率は五分五分と言った所か……。


 それでも到達した時の喜びは何者にも変え難く、素晴らしい体験を味わえるとあればこの数々のトラップを乗り越える難しい挑戦にも励んでいる訳だ。



 そうしている内にとうとうアンドルが勘違いを起こしてしまった。



「ふあっああんっま、待って、エディ!!そんなに僕の乳首を吸っても僕はミルクが出ないんだ。ごめんね」



「ニャンニャン」
(私はただアンドルの乳首を吸いたいだけだから、ミルクが出ないのは知っているよ)



 どうやら私の姿が子猫だからミルクが飲みたくなっていると思ったらしい。
 するとアンドルはお皿にミルクを入れてくれたりしたが、特に飲みたくはないとアピールする為に飲まないでおく。


「ニャンニャン」
(ミルクはいらないよ。私が欲しいのはアンドルの乳首だよ)


 アンドルには私の姿が見えているがやはり言葉は通じ無かった。しかしまあ、会話が成立している時もあるから、普通に話してしまうな。



 そしてとうとうアンドルは何を思ったのか赤ん坊に飲ませる様な哺乳瓶迄用意して、私にミルクを飲ませようとしてきた。


「ニャンニャン」
(アンドル……別にそこまでしてミルクは……)



 私をゆりかごの中にいるように抱きしめて、「よーしよーしエディは良い子だなぁ」と言いながら笑顔のままで哺乳瓶を近づけてくる。



 ふぅ……流石にそこまでされたら飲むしかないか……しかし私が赤ん坊のマネなど……チュパ……



 こ、これは!!



   「よーしよし、エディはオッパイが好きだったんだねぇーやっと気づいてあげられて良かったよ」



 チュパチュパチュパ



 アンドルの身体の中に包まれた私は目の前で微笑んでいるアンドルに見つめられながら美味しくミルクを飲んでいく。


 なんだこの新感覚の多幸感は……


 これは……凄い……


 最高か……!!




 アンドルが聖母の様に私を包み込み、私の不安や苦しみを全て取り除いてくれる様な多幸感が味わえるのだ。


 私はとうとう新しい扉を開いた様な気がした。



「ミルクを飲んだら人間の赤ちゃんみたいにゲップを促した方がいいのかな?背中ポンポンするのかなぁ?ポンポン、ポンポン、エディはいい子いい子」



 アンドルのそんな子守唄にしか聞こえない声を聞きながら、今日もアンドルの肩に乗って深い眠りへ誘われていく。



 まさか乳首へ到達する挑戦にアンドル自らこんな凄いトラップを仕掛けて来るとは思わなかった。



 ぐぬぬぬ……これはアンドルから私への挑戦状じゃないか。


    こうしてそれからの私はアンドルトラップのせいで乳首への到達成功率はかなり下がってしまったのである。



 しかし、私は負けない。いつか必ずアンドルトラップの攻略法を見つけてやる。



   そして乳首必勝ルートを見つける迄はこの熱き戦いは続けていくからな。



 そして夜中は本当に私だけのプライベートタイムだ。



 これも呪いの影響なのか、この姿の私は夜中も1時間位は目が冴えてしまう。



 私も今の自分は何者なのか分からないし、アンジュが言っていた「悪魔の使者」と言うのはあながち間違ってはいないかもな。



 人間ならば朝迄グッスリ寝てしまうだろうし、例に漏れずアンドルはいつも一度寝付いたら朝迄起きない事が多い。


 そうすると構ってくれる人もいない為、スヤスヤ寝ているアンドルの観察時間にしている。


 私は子猫の為軽い。体重を感じる筈のアンドルの上に乗っても寝ている時は気づかれずに寝ているアンドル。


 私はそっとアンドルにキスをした。


 本当はもっと情熱的な舌と舌を絡め合うキスがしたいのだが、今の私ではいくら舌を使ってアンドルの口を強引に開けようと試みてもペロペロと舐めるだけで口を開ける事は出来なかった。



 そして最近の私は驚くべき事にすっかりアンドルのパンツが嫌いになってしまった。






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