【完結】王子様の婚約者になった僕の話

うらひと

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本編4

49エディに決めた

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「父上、お願いがあるのです!!この羽の生えた黒猫なんですが……飼ってみたいのです!!父上……無理は承知です。お世話は僕が全部致しますから!!お願いします!!」


 そうして僕はお腹に隠していた羽の生えた黒猫を父上に見せてみると、父上は何故かこの子を見て驚き目を丸くしていた。


「アンドル!!それは!!マ、マルコじゃないか!!いや、そんな筈はないか……アンドル、その子を何処で見つけたんだ?」


「マルコ??この子の名前はマルコと言うのですか?何処からと言われても……この子は気づいたら僕の足元にいて、僕にも分からないのですが、羽が生えた黒猫だなんて不思議な生き物ではありますよね。本当に気づいたらいたのです」


   父上はこの子をよく見ながら少し考え込んで、それから言った。


「そうか……ずっと忘れていたよ。私にとって悲しい思い出だが、実はそれとソックリの生き物を私も昔飼った事があったんだ。その時の名前がマルコと名づけていてな。いつの間にかうちにいて飼っていたんだが、とても賢い子だった。しかし、いつの間にかいなくなってしまって悲しかった憶えがある」

   
   父上もこの子と似た子を飼った事があるなんて初耳だ!!それに、そのマルコもいつの間にかいただなんて、この子と全く一緒じゃないかっ!!


「父上も同じ生き物を飼っていてマルコと名づけたのですね。あの!!僕も飼わせて下さい!!お願いします!!」

   
   父上は特に考える事もなくニコっと笑って頷いた。


「ま、何十年も前の話だ。マルコとは違うだろう。私が飼っていた時は侯爵家で不幸な出来事も起こらなかったし、侯爵家にとって悪い生き物でも無かろう。その子は何のキメラだか知らないが飼っていいぞ!!」


 ま、まさか父上が直ぐ飼って良いと言ってくれるとは思わなかったので驚いてしまった。


「本当ですか!!嬉しいです!!父上ありがとう御座います!!やったなお前!!」


 僕は喜んでその子を見たら、何だかその子も理解したのか「んにゃっ」と言ってまた僕の唇をペロンと舐めた。うふふっ僕の唇が好きなんだね!!


 自分の部屋に戻ってから、トイレの場所だけ教えておくと直ぐにそこでする様になった。本当にこの子はとても賢いかも知れない。


「僕の名前はアンドルだよ。君はどんな名前が良いかな?父上の時と同じマルコにするかい?」


 そう言ってみたものの……黒猫の妖精はマルコという名前ではお気に召さなかったのかそっぽを向いてしまった。


   その名前はダメってことかな?するとどんな名前が良いだろう??……そういえば今日は王宮から使いの者が来て、エドワード王子が突然留学したと告げられたんだっけ……。

 
    いつ留学から帰って来るか分からないと言っていた。


「エドワード王子……僕にお別れの挨拶もさせてくれないままで寂しかったな」


   「にゃーん」


   その子に向かってそう呟いてみるとその子は何故か身体の力が抜けて僕に体重を預けてきた。
 この黒いモフモフした毛とブルーの瞳がエドワード王子の髪と瞳ににソックリで、折角だから、僕が王子に言ってみたかった名前を呼んでみる。


「僕にはエドワード王子っていう忠誠を誓っている婚約者がいてね、とってもカッコいい人なんだよ。君は王子にとても似ているから……君の名前は【エディ】でどうだい?」


「ニャニャン!!ニャンニャン!!」


 するとマルコでソッポを向いていた子が急に「ニャンニャン」と言い出し僕の唇をまたペロンペロンと沢山舐めた。

    はははっきっと僕の唇を舐めるのは「YES」っていうエディの意志表示なのかもしれない!!それからもエディは唇だけじゃなくて、僕の顔をいっぱいペロペロ舐めてしまった。



「あははっエディ余程エディが気に入ったのかい!!そんなペロペロされたらくすぐったいよーあはははっ」


「ニャンニャン」


 こうして黒猫の妖精の名前はエディに決定して僕は王子に対する悲しみを忘れさせてくれるように、エディと一緒に生活をする様になった。





  
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