39 / 124
本編3
39ハイキング4
しおりを挟む
ーーーーーーーーー
「ゴホッゴホッ」
いたたた……ここは何処だろうか……
気づいたら、辺りは薄暗くなっていて身体のを動かそうとすると節々が痛い。それに服がドロドロに濡れている。
そうだ……僕は崖から落ちて……
王子は??王子も一緒に崖から落ちてしまった筈。
王子は大丈夫だろうか……。
僕は崖から落ちる時に、自分から飛び降りる事を決めて飛び降りたし、リュックをクッションがわりにしていたので身体の痛みはあるものの、どこも怪我をしていなくて無事だった。
それに身体に忍ばせていた宝剣を確認すると、魔石が2つ粉々に砕かれていた。多分身につけている僕の危険を察知して護ってくれたのだろう……宝剣を持っておいて本当に良かった。
辺りを見渡すと、此処は渓谷になっていて山の崖からこの川に落ちて来たのが分かる。
落ちた高さをマジマジと確認するとゾッとする……下手をしたらダイルに立ち向かった方が生存率が高かったかも知れない。
だけどダイルの剣の実力が分からない状態で、もしダイルの仲間が隠れていたらと思うと無謀に立ち向かうより、宝剣もあったので崖から落ちた方が生存率が高いと今回は判断した。
だけどまさかエドワード王子まで落ちてしまうとはダイルも考えていなかっただろう……。
近くには荷物が散乱していて王子も川には流されなかったが、服はグッショリ濡れて倒れていた。僕の宝剣の魔石が2つ砕かれていたので、王子も宝剣が護ってくれた筈だ。
「ゴホゴホー!!」
(王子ー!!)
王子の意識はない。いくら宝剣が護ってくれた筈でも王子の身体がどんな状態でいるのかはっきりしない内は、なるべく動かさないようにして寝かせてあげなければ……
それからの僕は近くに崖が削れてできた洞窟を見つけて、王子を何とか運んで寝かせた。眠って貰っている間、枯れ木と枝を集めて焚火を起こす。
着替えも自分用に1着分用意していたから、それは王子の身体をタオルで拭いてから着せる事ができた。
王子の服と僕の服はグッショリ濡れて汚れてしまったので、僕も服を全部脱いで川で自分の身体汚れを落とし、服を洗ってから絞って木と木にロープをひっかけると、そこに服を干した。
「ゴホ……ゴホ……ゴホ」
(焚き火をしているけれど、流石に裸は少し寒い……)
着替えもタオルもロープも万が一の事を考えてちゃんと用意しておいて良かった……それにしてもダイルがあんな事をするなんて……僕は元より、王子までもこんな事になってしまったんだよ。
下手をしたら死んでたんだ。これは大問題だぞ……今頃大変な騒ぎになっている事だろう……
今この焚き火の煙で王宮の人達が気づいてくれると良いんだけど……。
それに、この声は戻るのだろうか……喉の痛みはないけれど、声を出そうとすると「ゴホゴホ」しか言えなくなってしまった。
ポーションで治るかも知れないけれど、実は崖から落ちた時にポーションは僕の荷物から出てしまい割れてしまったんだ。残りは1つしかないので、それはエドワード王子に飲ませたい。
「ハアハア……ハアハア……グゥッ」
火の番に集中していたら寝ている王子から苦しんでいる声が聞こえた!!王子!!
「ゴホゴホ??ゴホゴホ??」
(王子!!気づかれましたか??身体は?痛い所はありますか??)
王子??
王子をみるとまだ意識が朦朧としていた。顔を真っ赤にさせて顔から尋常じゃない汗が流れている!!先程王子用に用意して近くに置いていたタオルで王子の汗を拭ってあげたら、タオルがしっかり絞れていなかった為に、余計に王子の顔が濡れてしまった。御免なさい王子!!
急いでもう一度川で洗ってからしっかり絞ったタオルで拭いてあげる……すると「う……ん……アンドル……」と王子は薄目を開けて僕を見てくれた。良かった。王子の意識が戻った!!
「ゴホゴホ!!ゴホゴホ?」
(王子!!大丈夫ですか?)
「なん……だ?アンドルは声が出ないのか……?それにこの服……アンドルが着せてくれたのだな。そして焚き火と洗った服を干してくれて……まるで私達は新婚夫婦じゃないか……夢が叶った。ハアハア……ハアハア」
王子……今はそんな冗談を言っている場合じゃないでしょう?
「ゴホゴホ……」
(王子は熱がありますね……)
王子は意識が戻ってきてもまだ朦朧としていて、額に手を当てると熱があった。もしかしたら何処か怪我をしているかもしれない。身体を少し触らせて貰おう。
「ゴホゴホ、ゴホゴホ」
(王子、何処か痛い所がないか身体を触らせて貰いますね。痛かったら言って下さい)
「分かった」
僕の言葉は聞き取れないと思ったけれど一言そう言ったら王子が返事をくれた。
えっ??今の僕の言葉を聞き取れたの?でも僕が何か言ったから適当に返事をしてくれたのかも知れないし、と、とにかく今は王子の怪我の様子だ!!
ゆっくり王子の腕や頭、首、胸などを触っていくが、王子は「んあ……」とたまに声を出す程度で「痛い」とは言わなかった。そのまま下半身を触っていくと、右足首の部分で「痛い!!」と王子が叫んだ。
「ゴホゴホ、ゴホゴホ」
(右足首ですね。確認します)
「分かった。アンドル頼む」
まただ!!王子は僕の声が聞こえているみたいだ。その方が僕としてもやりやすいので、ここは王子が僕の言葉を聞けている程で進もう。
王子の右足首をみるとかなり腫れて熱がこもっていた。これは骨が折れているかも知れない。それで王子自身も発熱してしまった可能性が高いな。
僕はタオルを宝剣で長めに破り、足首をぐるぐる巻いて固定した。
そして王子にはポーションを用意した。
「ゴホゴホ、ゴホ…?」
(ポーションですけど……飲めますか?)
「飲む」
「ゴホゴホ!!!!」
(やっぱり王子は僕の声が聞き取れるんだ!!王子って凄い!!)
「それはアンドルが大好きだからさ」
「ゴホ……!」
今、アンドルが大好きだからと言われてちょっと王子にドキドキしてしまった。
それに今王子は大変なのに僕に気を使って……熱もあって右足首は多分骨折しているというのに……
あっそうだ!!王子にときめいている場合じゃないや……王子の荷物がまだ散乱しているから取りに行かなくちゃっ!!
「ゴホッゴホッ」
いたたた……ここは何処だろうか……
気づいたら、辺りは薄暗くなっていて身体のを動かそうとすると節々が痛い。それに服がドロドロに濡れている。
そうだ……僕は崖から落ちて……
王子は??王子も一緒に崖から落ちてしまった筈。
王子は大丈夫だろうか……。
僕は崖から落ちる時に、自分から飛び降りる事を決めて飛び降りたし、リュックをクッションがわりにしていたので身体の痛みはあるものの、どこも怪我をしていなくて無事だった。
それに身体に忍ばせていた宝剣を確認すると、魔石が2つ粉々に砕かれていた。多分身につけている僕の危険を察知して護ってくれたのだろう……宝剣を持っておいて本当に良かった。
辺りを見渡すと、此処は渓谷になっていて山の崖からこの川に落ちて来たのが分かる。
落ちた高さをマジマジと確認するとゾッとする……下手をしたらダイルに立ち向かった方が生存率が高かったかも知れない。
だけどダイルの剣の実力が分からない状態で、もしダイルの仲間が隠れていたらと思うと無謀に立ち向かうより、宝剣もあったので崖から落ちた方が生存率が高いと今回は判断した。
だけどまさかエドワード王子まで落ちてしまうとはダイルも考えていなかっただろう……。
近くには荷物が散乱していて王子も川には流されなかったが、服はグッショリ濡れて倒れていた。僕の宝剣の魔石が2つ砕かれていたので、王子も宝剣が護ってくれた筈だ。
「ゴホゴホー!!」
(王子ー!!)
王子の意識はない。いくら宝剣が護ってくれた筈でも王子の身体がどんな状態でいるのかはっきりしない内は、なるべく動かさないようにして寝かせてあげなければ……
それからの僕は近くに崖が削れてできた洞窟を見つけて、王子を何とか運んで寝かせた。眠って貰っている間、枯れ木と枝を集めて焚火を起こす。
着替えも自分用に1着分用意していたから、それは王子の身体をタオルで拭いてから着せる事ができた。
王子の服と僕の服はグッショリ濡れて汚れてしまったので、僕も服を全部脱いで川で自分の身体汚れを落とし、服を洗ってから絞って木と木にロープをひっかけると、そこに服を干した。
「ゴホ……ゴホ……ゴホ」
(焚き火をしているけれど、流石に裸は少し寒い……)
着替えもタオルもロープも万が一の事を考えてちゃんと用意しておいて良かった……それにしてもダイルがあんな事をするなんて……僕は元より、王子までもこんな事になってしまったんだよ。
下手をしたら死んでたんだ。これは大問題だぞ……今頃大変な騒ぎになっている事だろう……
今この焚き火の煙で王宮の人達が気づいてくれると良いんだけど……。
それに、この声は戻るのだろうか……喉の痛みはないけれど、声を出そうとすると「ゴホゴホ」しか言えなくなってしまった。
ポーションで治るかも知れないけれど、実は崖から落ちた時にポーションは僕の荷物から出てしまい割れてしまったんだ。残りは1つしかないので、それはエドワード王子に飲ませたい。
「ハアハア……ハアハア……グゥッ」
火の番に集中していたら寝ている王子から苦しんでいる声が聞こえた!!王子!!
「ゴホゴホ??ゴホゴホ??」
(王子!!気づかれましたか??身体は?痛い所はありますか??)
王子??
王子をみるとまだ意識が朦朧としていた。顔を真っ赤にさせて顔から尋常じゃない汗が流れている!!先程王子用に用意して近くに置いていたタオルで王子の汗を拭ってあげたら、タオルがしっかり絞れていなかった為に、余計に王子の顔が濡れてしまった。御免なさい王子!!
急いでもう一度川で洗ってからしっかり絞ったタオルで拭いてあげる……すると「う……ん……アンドル……」と王子は薄目を開けて僕を見てくれた。良かった。王子の意識が戻った!!
「ゴホゴホ!!ゴホゴホ?」
(王子!!大丈夫ですか?)
「なん……だ?アンドルは声が出ないのか……?それにこの服……アンドルが着せてくれたのだな。そして焚き火と洗った服を干してくれて……まるで私達は新婚夫婦じゃないか……夢が叶った。ハアハア……ハアハア」
王子……今はそんな冗談を言っている場合じゃないでしょう?
「ゴホゴホ……」
(王子は熱がありますね……)
王子は意識が戻ってきてもまだ朦朧としていて、額に手を当てると熱があった。もしかしたら何処か怪我をしているかもしれない。身体を少し触らせて貰おう。
「ゴホゴホ、ゴホゴホ」
(王子、何処か痛い所がないか身体を触らせて貰いますね。痛かったら言って下さい)
「分かった」
僕の言葉は聞き取れないと思ったけれど一言そう言ったら王子が返事をくれた。
えっ??今の僕の言葉を聞き取れたの?でも僕が何か言ったから適当に返事をしてくれたのかも知れないし、と、とにかく今は王子の怪我の様子だ!!
ゆっくり王子の腕や頭、首、胸などを触っていくが、王子は「んあ……」とたまに声を出す程度で「痛い」とは言わなかった。そのまま下半身を触っていくと、右足首の部分で「痛い!!」と王子が叫んだ。
「ゴホゴホ、ゴホゴホ」
(右足首ですね。確認します)
「分かった。アンドル頼む」
まただ!!王子は僕の声が聞こえているみたいだ。その方が僕としてもやりやすいので、ここは王子が僕の言葉を聞けている程で進もう。
王子の右足首をみるとかなり腫れて熱がこもっていた。これは骨が折れているかも知れない。それで王子自身も発熱してしまった可能性が高いな。
僕はタオルを宝剣で長めに破り、足首をぐるぐる巻いて固定した。
そして王子にはポーションを用意した。
「ゴホゴホ、ゴホ…?」
(ポーションですけど……飲めますか?)
「飲む」
「ゴホゴホ!!!!」
(やっぱり王子は僕の声が聞き取れるんだ!!王子って凄い!!)
「それはアンドルが大好きだからさ」
「ゴホ……!」
今、アンドルが大好きだからと言われてちょっと王子にドキドキしてしまった。
それに今王子は大変なのに僕に気を使って……熱もあって右足首は多分骨折しているというのに……
あっそうだ!!王子にときめいている場合じゃないや……王子の荷物がまだ散乱しているから取りに行かなくちゃっ!!
30
お気に入りに追加
715
あなたにおすすめの小説
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

俺の婚約者は悪役令息ですか?
SEKISUI
BL
結婚まで後1年
女性が好きで何とか婚約破棄したい子爵家のウルフロ一レン
ウルフローレンをこよなく愛する婚約者
ウルフローレンを好き好ぎて24時間一緒に居たい
そんな婚約者に振り回されるウルフローレンは突っ込みが止まらない

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる