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本編3
37ハイキング2
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ーーーーーーーー
「ダイル、私と腕組みをするのはやめてくれないか?」
王子が腕組みをしてくっついているダイルにそう言ったけれど、ダイルの方は僕をチラッと見て笑ってからそんなつもりはなかったと言わんばかりに言葉を返していた。
「エドすみません。婚約者のアンドルを差し置いてそんなつもりは!!でも私は直ぐ転びそうになっちゃって!!あっまたっ!!」
「大丈夫かっ!!」
ダイルは足がよくもつれるみたいで、エドワード王子にずっとしなだれかかっていた。王子もダイルが転んではいけないと心配はしている様で、結局腕組みをされている事をやめて欲しいとは言ってもそんなに無碍にはできない。
それを後ろから付いて歩いている僕はずっと見せられている。そしてダイルはチラッチラッと僕の方を見て「王子……アンドルが怖い顔をしてきます……」と王子に言う。
うえっ??僕そんな怖い顔してるかな??
王子はハッとして後ろを振り返ったので、「僕そんな顔してますか??」と聞いてみた。
「いや、アンドルはいつも通り可愛いよ。それでも婚約者が他の奴と腕組みをしていたら嫉妬するのかもしれないな。そうか……アンドルが嫉妬……」
「えっ!!いや僕は別に……ダイルが転びそうなると王子が助けているのを後ろから見ているだけで……」
僕がそう言い返したけれど、何故か王子の中では僕が嫉妬した事になってしまったようだ。それで「そうか……」と言って嬉しそうに何か考え込んでしまっている。
「エド!!エド!!早く行きましょうよ」
足が止まってしまった王子の腕をダイルがグイグイ引っ張っている。
「僕もダイルに賛成です。早くチェックポイントに行きましょう!!」
僕も王子にそう伝えると、王子は
「アンドル……実は私も足がよくもつれるんだ。あっまたっ!!アンドル助けてくれっ!!」
そう言って王子は僕の腕を掴んできた。そして尽かさずガッチリ腕組みをさせられてしまった。
はえっ??何これっ!!
ハイキングなのに3人が腕組みをして横一列になってしまった。こんな状態で歩いているなんて凄い歩きにくい……流石に歩きにくい事は伝えないと。
「あの……ちょっとこれでは歩きにくいのです。木の枝も避ける事ができないし……良かったら足のもつれる者同士で支えあった方が良いと思います。僕は後ろから2人を見守っていますから……」
すると王子は怒っている。
「嫌だ!!私が転んだらどうするんだ!!ダイル、私も転びそうだからお前は支えられない。お前もアンドルの腕にしろ!!」
へあっ??
王子ってたまに赤ちゃんみたいな駄々をこねる事があるな……。
王子は間髪を入れずに僕の意見にNOを叩きつけた上、ダイルには僕の腕をにしろと勧めてきた。そしてダイルはしぶしぶ王子と離れて反対側で僕と腕組みをしてくる。
ええっ?何これ??
こんな事ばかりしていたらハイキングが終わらないじゃないか!!我慢していた僕はとうとう爆発してしまった!!
「王子とダイル!!いい加減にして下さい!!
これではハイキングが終わらずに日が暮れてしまいます!!
ダイルも僕と腕組みしてからは1度もよろけて無いじゃないか!!
王子だって朝からスキップをしていたのを知っているんですよっ!!そんな軽快な動きができるのに転びそうなんて事ないですっ!!ハアハア……」
ああ……やってしまった……ついに怒ってしまった……正論だとしても王子は勿論、ダイルだって有力貴族でお近づきになりたかったのに、でもどうすれば良かったのだろう……。
「すみません……出過ぎた事を言ってしまいました。最初の状態で……王子とダイルが2人で歩いて私が後ろからついていくのが1番歩くペースが速かったので2人の後をついていきます」
「あ、アンドル……す、すまなかった」
王子はすぐ謝ってくれた。初めて怒りに任せて怒った僕を見て流石に驚いて腕も離してくれた。
ダイルも同じ様に片側の腕をさっさと離した。そしてダイルはまた王子の方に駆け寄っていって2人は腕組みをして前を歩いていく。
それを僕は黙って2人の後ろを付いて歩いていった。もうこれで良いんだ。
「ダイル、私と腕組みをするのはやめてくれないか?」
王子が腕組みをしてくっついているダイルにそう言ったけれど、ダイルの方は僕をチラッと見て笑ってからそんなつもりはなかったと言わんばかりに言葉を返していた。
「エドすみません。婚約者のアンドルを差し置いてそんなつもりは!!でも私は直ぐ転びそうになっちゃって!!あっまたっ!!」
「大丈夫かっ!!」
ダイルは足がよくもつれるみたいで、エドワード王子にずっとしなだれかかっていた。王子もダイルが転んではいけないと心配はしている様で、結局腕組みをされている事をやめて欲しいとは言ってもそんなに無碍にはできない。
それを後ろから付いて歩いている僕はずっと見せられている。そしてダイルはチラッチラッと僕の方を見て「王子……アンドルが怖い顔をしてきます……」と王子に言う。
うえっ??僕そんな怖い顔してるかな??
王子はハッとして後ろを振り返ったので、「僕そんな顔してますか??」と聞いてみた。
「いや、アンドルはいつも通り可愛いよ。それでも婚約者が他の奴と腕組みをしていたら嫉妬するのかもしれないな。そうか……アンドルが嫉妬……」
「えっ!!いや僕は別に……ダイルが転びそうなると王子が助けているのを後ろから見ているだけで……」
僕がそう言い返したけれど、何故か王子の中では僕が嫉妬した事になってしまったようだ。それで「そうか……」と言って嬉しそうに何か考え込んでしまっている。
「エド!!エド!!早く行きましょうよ」
足が止まってしまった王子の腕をダイルがグイグイ引っ張っている。
「僕もダイルに賛成です。早くチェックポイントに行きましょう!!」
僕も王子にそう伝えると、王子は
「アンドル……実は私も足がよくもつれるんだ。あっまたっ!!アンドル助けてくれっ!!」
そう言って王子は僕の腕を掴んできた。そして尽かさずガッチリ腕組みをさせられてしまった。
はえっ??何これっ!!
ハイキングなのに3人が腕組みをして横一列になってしまった。こんな状態で歩いているなんて凄い歩きにくい……流石に歩きにくい事は伝えないと。
「あの……ちょっとこれでは歩きにくいのです。木の枝も避ける事ができないし……良かったら足のもつれる者同士で支えあった方が良いと思います。僕は後ろから2人を見守っていますから……」
すると王子は怒っている。
「嫌だ!!私が転んだらどうするんだ!!ダイル、私も転びそうだからお前は支えられない。お前もアンドルの腕にしろ!!」
へあっ??
王子ってたまに赤ちゃんみたいな駄々をこねる事があるな……。
王子は間髪を入れずに僕の意見にNOを叩きつけた上、ダイルには僕の腕をにしろと勧めてきた。そしてダイルはしぶしぶ王子と離れて反対側で僕と腕組みをしてくる。
ええっ?何これ??
こんな事ばかりしていたらハイキングが終わらないじゃないか!!我慢していた僕はとうとう爆発してしまった!!
「王子とダイル!!いい加減にして下さい!!
これではハイキングが終わらずに日が暮れてしまいます!!
ダイルも僕と腕組みしてからは1度もよろけて無いじゃないか!!
王子だって朝からスキップをしていたのを知っているんですよっ!!そんな軽快な動きができるのに転びそうなんて事ないですっ!!ハアハア……」
ああ……やってしまった……ついに怒ってしまった……正論だとしても王子は勿論、ダイルだって有力貴族でお近づきになりたかったのに、でもどうすれば良かったのだろう……。
「すみません……出過ぎた事を言ってしまいました。最初の状態で……王子とダイルが2人で歩いて私が後ろからついていくのが1番歩くペースが速かったので2人の後をついていきます」
「あ、アンドル……す、すまなかった」
王子はすぐ謝ってくれた。初めて怒りに任せて怒った僕を見て流石に驚いて腕も離してくれた。
ダイルも同じ様に片側の腕をさっさと離した。そしてダイルはまた王子の方に駆け寄っていって2人は腕組みをして前を歩いていく。
それを僕は黙って2人の後ろを付いて歩いていった。もうこれで良いんだ。
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