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本編3
35王子のご学友
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ーーーーーーーーーーー
「アンドルーおはよー!!俺はまだねみーわ!!」
「サックおはよう!!今日は朝から早いもんね!!」
今日は合同のプレスクールの日なので、侯爵家に王宮からのお迎えの馬車が来る。
サックは僕と一緒にその馬車に乗っていく予定なので僕の家に来てくれた。
デニーの方はと言うと昨日には父親と一緒に近衛寮に泊まってハイキングの当日は現地集合するって言っていた。
「おい、それにしてもお前すげー荷物だなぁ。ハイキングとは思えない量の荷物じゃないか。そんな荷物持ってハイキングできるのか?」
迎えの馬車に乗って揺られながらサックが僕の荷物の大きさに驚いている。確かにサックの荷物より2倍の大きさになってしまった。
「あはは。これでも荷物を少なくしたんだけどなあ。それに大きいけれど、見た目程重くないんだよ、ほらっ!!」
「うわっ急に荷物寄越さないでくれって……あれっ??マジか……本当にそんなに重く無いわ。アンドルはかさばる物ばかり入れてきたんだな」
「へへへっそうなんだ!!」
実はかさばる物を入れているんじゃなくて、本当にただ単に荷物が多くなってしまっただけだった。そうはいっても水とポーションが大半だけど……。
今回は心配性の家族のお陰で沢山の荷物を用意する事になってしまったけれど、宝剣を持って来ているから荷物が軽くなった。でもサックに宝剣を持ってるなんて言えないもんね。
宝剣には飾り用の宝剣と実用性の高い宝剣がある。今日僕が持ってきたのは実用性の高い宝剣の方だ。
侯爵家は現在、飾り用の宝剣は全部売ってしまっていて、レプリカになっているからね……。
僕の荷物の中に入っている宝剣は見た目は何処にでもある短剣に見えるのだけれど、持ち手の所には隠し魔石が10 個程埋め込まれている。その魔石にはそれぞれ機能がついていて荷物の重さを軽くしてくれるのもその1つだった。
サックと話をしていたらいつの間にか馬車が王宮領に到着した。
馬車の扉が開くと、いきなりエドワード王子が手を差し伸べてきたので驚いた。
「アンドルおはよう!!体調は万全にしてきたか??」
「エドワード王子。おはようございます!!僕は元気ですよ。わざわざお迎え下さったのですか!!有難うございます。王子の体調はいかがですか?」
僕がそう言うと、後ろにいたサックも王子に挨拶をしてから会釈していた。
「私は元気過ぎて少し寝不足になってしまったよ。それだけアンドルと一緒にハイキングするのがたのしみだったんだ」
そう言った王子はアルカイックスマイルはやめたのか、今日は眩しい程の大きな笑顔だった。こんな朝早くから爽やかな笑顔ができるなんて王子は流石だな。
「有難うございます!!僕も王子達のプレスクールを楽しみにしていました!!」
「そうか!!やはり私達は……」
「王子!!既に皆集まりました。ハイキングの時間が圧してしまいますので、アンドル様とサック様を馬車から降りられる様に王子は馬車の扉を塞がないで下さい」
王子の後ろに控えていた侍従長が痺れを切らして王子に伝えている。そうなんだ。王子は僕達を降ろそうとしてくれたんだろうけど、話している内に扉を塞いで出してくれなかった。しかしようやく王子は扉からどいてくれて僕とサックは降りる事ができた。
すると王子と共にプレスクールに参加していたと思われる5人の姿が見えた。その中には僕も何となく見覚えがある人もいる。あ、あれは宰相のご子息と騎士団長のご子息もいるぞ。
王子が「こっちだよ」と言ってその5人が集まっている人達の所まで僕達を誘導してくれた。
「紹介しよう。私と一緒に王宮のプレスクールに参加している者達だ。そしてこちらが私の婚約者のアンドルと王宮に勤める文官の息子のサックだ。後もう1名のデニーはお前達も会った事があるだろう?皆仲良くしておくれ」
王子は僕達がスムーズに仲間に加われる様に紹介してくれたのでそれに僕は答える様に挨拶をする。
「ご存知の方もいらっしゃると思いますが、侯爵家子息で王子の婚約者のアンドルです。今日はどうぞ宜しくお願い致します」
「アンドルさん!!宜しく!!」「アンドルさんこちらこそ!!」
僕が挨拶をしたら次々に返事をしてくれて、何だか皆良い人達ばっかりじゃないか!!良かった。陰湿な人達だと思ったけど、仲良くやっていけそうだよ。王子はニコリと笑って、「侍従長に呼ばれているから少し側を離れるね」と行ってしまった。
「私はサックと申します。今日はどうぞ宜しくお願い致します」
『…………』
僕の挨拶の後はサックが皆に挨拶していた。しかし皆誰も挨拶を返そうとする者がいなくて急にその場がシーンとなる。いつものサックはお喋りな筈なのにそれ以上何も言えなくなってしまって俯いてしまった。
「えっ……?」
何で皆サックには挨拶を返さないの??それどころか、サックに対しての目線が厳しい。嘘でしょ!!王子は今丁度今日の予定地を侍従長と確認している所だった。これがこの王宮のプレスクールなの?こんなのイジメじゃないか!!
僕が意を決して5人のご学友達に一言言ってやろうと思っていたら隣にいたサックが僕の服の袖を引っ張り「何も言うな。今日だけ乗り越えるだけだから」と言われて押し黙ってしまった。
サック……君はそれで良いのかい??
「アンドルーおはよー!!俺はまだねみーわ!!」
「サックおはよう!!今日は朝から早いもんね!!」
今日は合同のプレスクールの日なので、侯爵家に王宮からのお迎えの馬車が来る。
サックは僕と一緒にその馬車に乗っていく予定なので僕の家に来てくれた。
デニーの方はと言うと昨日には父親と一緒に近衛寮に泊まってハイキングの当日は現地集合するって言っていた。
「おい、それにしてもお前すげー荷物だなぁ。ハイキングとは思えない量の荷物じゃないか。そんな荷物持ってハイキングできるのか?」
迎えの馬車に乗って揺られながらサックが僕の荷物の大きさに驚いている。確かにサックの荷物より2倍の大きさになってしまった。
「あはは。これでも荷物を少なくしたんだけどなあ。それに大きいけれど、見た目程重くないんだよ、ほらっ!!」
「うわっ急に荷物寄越さないでくれって……あれっ??マジか……本当にそんなに重く無いわ。アンドルはかさばる物ばかり入れてきたんだな」
「へへへっそうなんだ!!」
実はかさばる物を入れているんじゃなくて、本当にただ単に荷物が多くなってしまっただけだった。そうはいっても水とポーションが大半だけど……。
今回は心配性の家族のお陰で沢山の荷物を用意する事になってしまったけれど、宝剣を持って来ているから荷物が軽くなった。でもサックに宝剣を持ってるなんて言えないもんね。
宝剣には飾り用の宝剣と実用性の高い宝剣がある。今日僕が持ってきたのは実用性の高い宝剣の方だ。
侯爵家は現在、飾り用の宝剣は全部売ってしまっていて、レプリカになっているからね……。
僕の荷物の中に入っている宝剣は見た目は何処にでもある短剣に見えるのだけれど、持ち手の所には隠し魔石が10 個程埋め込まれている。その魔石にはそれぞれ機能がついていて荷物の重さを軽くしてくれるのもその1つだった。
サックと話をしていたらいつの間にか馬車が王宮領に到着した。
馬車の扉が開くと、いきなりエドワード王子が手を差し伸べてきたので驚いた。
「アンドルおはよう!!体調は万全にしてきたか??」
「エドワード王子。おはようございます!!僕は元気ですよ。わざわざお迎え下さったのですか!!有難うございます。王子の体調はいかがですか?」
僕がそう言うと、後ろにいたサックも王子に挨拶をしてから会釈していた。
「私は元気過ぎて少し寝不足になってしまったよ。それだけアンドルと一緒にハイキングするのがたのしみだったんだ」
そう言った王子はアルカイックスマイルはやめたのか、今日は眩しい程の大きな笑顔だった。こんな朝早くから爽やかな笑顔ができるなんて王子は流石だな。
「有難うございます!!僕も王子達のプレスクールを楽しみにしていました!!」
「そうか!!やはり私達は……」
「王子!!既に皆集まりました。ハイキングの時間が圧してしまいますので、アンドル様とサック様を馬車から降りられる様に王子は馬車の扉を塞がないで下さい」
王子の後ろに控えていた侍従長が痺れを切らして王子に伝えている。そうなんだ。王子は僕達を降ろそうとしてくれたんだろうけど、話している内に扉を塞いで出してくれなかった。しかしようやく王子は扉からどいてくれて僕とサックは降りる事ができた。
すると王子と共にプレスクールに参加していたと思われる5人の姿が見えた。その中には僕も何となく見覚えがある人もいる。あ、あれは宰相のご子息と騎士団長のご子息もいるぞ。
王子が「こっちだよ」と言ってその5人が集まっている人達の所まで僕達を誘導してくれた。
「紹介しよう。私と一緒に王宮のプレスクールに参加している者達だ。そしてこちらが私の婚約者のアンドルと王宮に勤める文官の息子のサックだ。後もう1名のデニーはお前達も会った事があるだろう?皆仲良くしておくれ」
王子は僕達がスムーズに仲間に加われる様に紹介してくれたのでそれに僕は答える様に挨拶をする。
「ご存知の方もいらっしゃると思いますが、侯爵家子息で王子の婚約者のアンドルです。今日はどうぞ宜しくお願い致します」
「アンドルさん!!宜しく!!」「アンドルさんこちらこそ!!」
僕が挨拶をしたら次々に返事をしてくれて、何だか皆良い人達ばっかりじゃないか!!良かった。陰湿な人達だと思ったけど、仲良くやっていけそうだよ。王子はニコリと笑って、「侍従長に呼ばれているから少し側を離れるね」と行ってしまった。
「私はサックと申します。今日はどうぞ宜しくお願い致します」
『…………』
僕の挨拶の後はサックが皆に挨拶していた。しかし皆誰も挨拶を返そうとする者がいなくて急にその場がシーンとなる。いつものサックはお喋りな筈なのにそれ以上何も言えなくなってしまって俯いてしまった。
「えっ……?」
何で皆サックには挨拶を返さないの??それどころか、サックに対しての目線が厳しい。嘘でしょ!!王子は今丁度今日の予定地を侍従長と確認している所だった。これがこの王宮のプレスクールなの?こんなのイジメじゃないか!!
僕が意を決して5人のご学友達に一言言ってやろうと思っていたら隣にいたサックが僕の服の袖を引っ張り「何も言うな。今日だけ乗り越えるだけだから」と言われて押し黙ってしまった。
サック……君はそれで良いのかい??
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