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本編3
33小さなプレスクール
しおりを挟む王子とのお茶会が終わった頃、王宮から派遣されている家庭教師から「侯爵家でも小規模ですが、プレスクールを行いますよ」と教えて貰った。
正直とても嬉しい!!
王子から王宮でプレスクールを行なっていると聞いた時から学校に行く前に友達が作れるなんて羨ましいと思ってたから!!
「週2日になりますが、アンドル様のご学友2人がこの侯爵家で授業や課外学習の模擬学習に参加させていただきます」
「本当ですかっ!!嬉しいです!!」
「今日はその2人を連れて来ていますので、挨拶をさせて頂きますね。デニーとサックおいでー!!」
2人は部屋の外で待機していた様で、直ぐ部屋に入って来た。
「アンドル様、私はデニーと申します。宜しくお願い申し上げます」
「あれっ君は何処かで……」
デニーは僕やエドワード王子よりも背が高く、太ってはいないが筋肉質のガッチリタイプの人間だった。それに貴族達の会合にも出席していない僕でもデニーは何処かで見た事があるような……
「覚えてらっしゃいますか?私も昔王宮のお茶会に出席した事があります。それに私の父は王宮の近衛隊長を務めておりますので、アンドル様は父の方が馴染みがあるかも知れません」
そうなんだ!!そう言われてみると……王子の護衛達の中でも一際筋肉質の大柄な人がいたのを思い出す。
「もしかして……君の父はダニーさん?」
「そうです!!父はたまにエドワード王子の護衛も務めておりますので、お茶会のアンドル様の話も聞かせて頂いてました」
僕が父の名前を知っていると分かったデニーは少し緊張がほぐれたのか、嬉しそうに頷いて色々話してくれた。
「デニー!!私の自己紹介が終わっていないのだからお話はそのくらいにしてよ。アンドル様、どうも!!私もご学友としてアンドル様と一緒にプレスクールに参加できる事になりました」
「サック!!君も一緒に参加してくれるなんて僕も嬉しいよ。宜しくね」
サックは今日来てくれている家庭教師の息子だ。前に家庭教師から同い年の息子がいると聞いた時、僕は良かったら友達になって欲しいとダメ元で聞いた事があった。
それからは家庭教師はサックをたまに連れて来てくれて、一緒に授業を受けたり、一緒におしゃべりしてくれる唯一の友人だった。
そういう訳で、僕は友達が2人できた。
2人とは最初は堅苦しい感じだったので、プレスクールに参加中はタメ口で話そうと言う事になった。するとみるみる僕との距離が縮まって今では冗談を言い合える仲になっている。
元々2人の性格は温厚な上、お喋りだったみたいだ。2人がとにかくよく喋るので僕は聞き役に回ってしまうけれどとっても楽しくて僕はプレスクールが楽しみになった。
「アンドル!!お前結構乗馬が上手いなぁー!!」
「そうかな?有難う!!でもやっぱり乗馬はデニーが1番乗り慣れていて上手だね!!」
「ハァ~何で2人ともそんなに乗れてるんだよー!!焦るー」
今日は乗馬の予習授業。
父が王宮の近衛隊長のデニーは小さい時から乗馬訓練をしているだけあって自由自在に乗りこなせている。
僕もデニー程じゃないけど、朝は自主訓練がてら馬達と戯れているので侯爵家の馬限定だけど上手く乗りこなせている。
サックは馬を所有していない為、ちゃんとした練習は初めてなんだそう。
「乗馬も定期的に乗っていないと、腹と内腿が筋肉痛になるんだよなぁ~明日は身体が痛くなるわこりゃ」
サックがそう話しながら自分のお腹と内腿をセルフマッサージしていた。明日の筋肉痛が少しでもマシになるように今の休憩時間中もモミモミして頑張っている。
今日のプレスクールも終わり、家庭教師と生徒の3人でお茶とお菓子で今日の振り返りをしながらお喋りをしている時間。僕はいつもこの時間が好きだ。
「そうそう、次回は王宮のプレスクールに合流する事になりました。王宮では王子を含めて6名がプレスクールを行なってますので、合計9名になりますね」
「えっ!!そうなんですかっ!!」
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