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本編3
28僕の成果報告2
しおりを挟む「兄上??何僕にニヤニヤ笑いかけているんですか?」
「えっ?いや、アンジュはしっかりしていて僕の弟として誇らしい気持ちになったんだ」
「はあ??兄上はそんな当たり前の事を今更知ったのですか?もっと早く気づくべきですよ」
正直に自分の気持ちをアンジュに伝えてみると、アンジュは顔をみるみる真っ赤にして睨まれてしまった……。褒めたつもりなのに僕が怒られた様な感じになった。どうしてだ??
「ご、ごめん。僕もアンジュみたいにしっかりして、アンジュに迷惑をかけない様に頑張るよ」
「……しなくて良いです」
「えっ……?」
「兄上が色んな事を頑張ったり、我慢している事は知ってますから。そのままで充分ですからっ!!良いですねっ!!」
アンジュは畳み掛ける様に怒ってそう言った。もう何も反論するなという勢いだ。何故僕が怒られる様な感じになっているの??でも一応アンジュに僕褒められているんだよね??
「あ、アンジュ……ありがとう」
「ふんっ……」
アンジュは言いたい事だけ言ったらプイッっと僕から顔を逸らしてしまった。でも耳裏迄真っ赤だ。可愛いな。
食事も食べ終えて、紅茶が運ばれた時を見計らって僕は王子から貰った本を父上とアンジュに見せた。
「これが王子から貰った本です。食事の前に少し読んでみたのですが……僕達の先祖の女性が悪女の様に書かれていました。それにこの本によりますと僕が王族に嫁がないと僕が死んでこの王国も滅びる呪いがかけられたそうです」
「なっ!!兄上が死ぬのですか!!」
アンジュがびっくりして叫んだ。僕だってさっきこの本を読んだ時はびっくりしたよ。
「うん、そうみたいなんだ……どんな呪いなのかは僕が読んだ範囲ではわからなかったけれど」
「どれ、その本を私に見せてみなさい」
それまで僕達の話を聞いていた父上が本に興味を持ってくれて僕は本を渡した。父上はその本を手にとり、少し読み始めた所で身体がワナワナと震え出した。
「何だこれはっ!!」
「あの……父上、大丈夫ですか……?」
父上は暫く何も言わないで黙ったままだった。
そうなると僕もアンジュも何も話せなくなってシーンと静まり時間が止まった様な空間が出来上がった。そんな中で父上がようやく言葉を発した。
「いや、あまりに酷い内容だったので少し取り乱してしまって済まなかったな。アンドルはこの本を少し読んだのだな?私達の先祖であるアンはこんな人物ではないのだ。だからこの本は信憑性も無いし信用してはいけない。アンドル、この本は一旦私が預り、しっかり調べさせて貰うよ。そして調べた結果を2人にはまた伝えよう」
「はい」
「分かりました」
「じゃあお前達もゆっくり休んでくれ」
そう言って父上は本を持ったまま先に席を立って行ってしまった。
父上は本を調べて僕達に報告してくれると言ってくれたけれど、まだ本の内容に怒っているのか身体がワナワナ震えていて心此処にあらずな感じだった。
確かに本には僕達の先祖であるアンは悪女だし、僕は呪われて死ぬ運命だし、この国は滅びるとか書いてあったし……呪いって本当なのかな……。
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