28 / 124
本編3
28僕の成果報告2
しおりを挟む「兄上??何僕にニヤニヤ笑いかけているんですか?」
「えっ?いや、アンジュはしっかりしていて僕の弟として誇らしい気持ちになったんだ」
「はあ??兄上はそんな当たり前の事を今更知ったのですか?もっと早く気づくべきですよ」
正直に自分の気持ちをアンジュに伝えてみると、アンジュは顔をみるみる真っ赤にして睨まれてしまった……。褒めたつもりなのに僕が怒られた様な感じになった。どうしてだ??
「ご、ごめん。僕もアンジュみたいにしっかりして、アンジュに迷惑をかけない様に頑張るよ」
「……しなくて良いです」
「えっ……?」
「兄上が色んな事を頑張ったり、我慢している事は知ってますから。そのままで充分ですからっ!!良いですねっ!!」
アンジュは畳み掛ける様に怒ってそう言った。もう何も反論するなという勢いだ。何故僕が怒られる様な感じになっているの??でも一応アンジュに僕褒められているんだよね??
「あ、アンジュ……ありがとう」
「ふんっ……」
アンジュは言いたい事だけ言ったらプイッっと僕から顔を逸らしてしまった。でも耳裏迄真っ赤だ。可愛いな。
食事も食べ終えて、紅茶が運ばれた時を見計らって僕は王子から貰った本を父上とアンジュに見せた。
「これが王子から貰った本です。食事の前に少し読んでみたのですが……僕達の先祖の女性が悪女の様に書かれていました。それにこの本によりますと僕が王族に嫁がないと僕が死んでこの王国も滅びる呪いがかけられたそうです」
「なっ!!兄上が死ぬのですか!!」
アンジュがびっくりして叫んだ。僕だってさっきこの本を読んだ時はびっくりしたよ。
「うん、そうみたいなんだ……どんな呪いなのかは僕が読んだ範囲ではわからなかったけれど」
「どれ、その本を私に見せてみなさい」
それまで僕達の話を聞いていた父上が本に興味を持ってくれて僕は本を渡した。父上はその本を手にとり、少し読み始めた所で身体がワナワナと震え出した。
「何だこれはっ!!」
「あの……父上、大丈夫ですか……?」
父上は暫く何も言わないで黙ったままだった。
そうなると僕もアンジュも何も話せなくなってシーンと静まり時間が止まった様な空間が出来上がった。そんな中で父上がようやく言葉を発した。
「いや、あまりに酷い内容だったので少し取り乱してしまって済まなかったな。アンドルはこの本を少し読んだのだな?私達の先祖であるアンはこんな人物ではないのだ。だからこの本は信憑性も無いし信用してはいけない。アンドル、この本は一旦私が預り、しっかり調べさせて貰うよ。そして調べた結果を2人にはまた伝えよう」
「はい」
「分かりました」
「じゃあお前達もゆっくり休んでくれ」
そう言って父上は本を持ったまま先に席を立って行ってしまった。
父上は本を調べて僕達に報告してくれると言ってくれたけれど、まだ本の内容に怒っているのか身体がワナワナ震えていて心此処にあらずな感じだった。
確かに本には僕達の先祖であるアンは悪女だし、僕は呪われて死ぬ運命だし、この国は滅びるとか書いてあったし……呪いって本当なのかな……。
32
お気に入りに追加
710
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
【完結】嘘はBLの始まり
紫紺(紗子)
BL
現在売り出し中の若手俳優、三條伊織。
突然のオファーは、話題のBL小説『最初で最後のボーイズラブ』の主演!しかもW主演の相手役は彼がずっと憧れていたイケメン俳優の越前享祐だった!
衝撃のBLドラマと現実が同時進行!
俳優同士、秘密のBLストーリーが始まった♡
※番外編を追加しました!(1/3)
4話追加しますのでよろしくお願いします。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした
ナイトウ
BL
BL小説大賞にご協力ありがとうございました!!
CP:不器用受ガチ勢伯爵夫攻め、女形役者受け
相手役は第11話から出てきます。
ロストリア帝国の首都セレンで女形の売れっ子役者をしていたルネは、皇帝エルドヴァルの為に公式愛妾を装い王宮に出仕し、王妃マリーズの代わりに貴族の反感を一手に受ける役割を引き受けた。
役目は無事終わり追放されたルネ。所属していた劇団に戻りまた役者業を再開しようとするも公式愛妾になるために偽装結婚したリリック伯爵に阻まれる。
そこで仕方なく、顔もろくに知らない夫と離婚し役者に戻るために彼の屋敷に向かうのだった。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)
悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる