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本編3
27僕の成果報告1
しおりを挟む「で、兄上!!今回のお茶会の成果はどうだったのですか?」
食事をしながら早速アンジュが僕に聞いてきた。
そりゃあそうだ。アンジュだってあれだけ僕に「おねだり法」を教えてくれたんだから、王子からどれだけ高価な物をゲットしたんだろうとワクワクしている事だろう……。
「それについてなんだけど……僕なりに頑張っておねだりしてみたんだけど、貰ったのが本一冊なんだ。本の内容については今食事中だから後で見せるね。王子からは王族と侯爵家との繋がりがある原本の複製だって言っていたよ。折角アンジュが色々教えてくれたのに高価な物じゃなくて……済まない……」
侯爵家は只今絶賛節約中だ。
それでも外面的には侯爵家の品位を保ってかないといけない。
父上とアンジュはそのバランスを見極めながらお金を出す時と出さないギリギリのラインを攻めつつ貴族の会合に参加しているのだから、かなり頑張っているのが分かっていた。
それなのに王子の婚約者という立場の僕は貴族の会合も参加しておらず何一つ貢献できていなくて情けない。
「アンドルが謝る必要はない。お前は自分の出来る事をやってきたのだろう?無理する必要は無いと言ったじゃないか。それにアンドルの場合は王子から高価な物を貰う事が本来の目的じゃないぞ」
父上が僕にそう言った。僕の場合は高価な物を貰う事が目的じゃないって??
「えっ??父上、私もアンジュと同じ様に節約をしながら王子から高価な物を貰って、少しでも侯爵家の借金の足しになればと思っていたのですが……」
「いや、私がアンドルにもう少し詳しく説明しておけば良かった。王族はアンドルをどうしても欲しいと思っている。その王族がお金が返せる程、侯爵家の財政が潤っていると分かったら逆に困るだろう……そこでアンドルが金目の物を貰おうとおねだりする事で、王族に対してお金が足りないと遠回しにアピールし続ける事が1番大切なんだ」
「父上……」
「そうですよ兄上。それに僕は才能もあって侯爵家の品位を損なわずに高価な物や服の装飾品を幾つも頂いていますが、それは相手を選んでいるからでもあるんです。兄上はあの王子から貰おうとしているのですよね……正直僕の見立てですと、難易度はA以上だと思います。まあ、あの王子が兄上の事が好きみたいですからそれを考慮して兄上なら難易度はCだと思ったんですけどね」
「アンジュ……」
意外にも父上もアンジュも役立たずな僕を叱るどころか、慰めてくれた。
そんな優しい家族に胸がいっぱいになってしまう。
「それにな、先週はマリアを迎えに行ったのだが、マリアの事業が予想以上に上手くいって忙しくなってしまい一緒に帰って来る事が出来なかったんだ。マリアはお前達の事を心配していたぞ。だから節約はしているが侯爵家が貧乏になった訳じゃないから安心して欲しい。しかし、対外的にお金がある事は言ってはいけないよ。あくまで節約はし続ける事。良いな?」
「はい!!」
「分かりました!!」
母上とは最近会っていないけれど、こうして僕達の事を心配してくれているんだと聞かされると少し嬉しくなる。そして少し寂しい気持ちにもなる。アンジュをチラッとみると姿勢を正して父上に元気な返事を返していた。僕より年下で母上と会えなくてもっと寂しい筈なのに偉いなぁ。
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