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本編3
26呪いの発動
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王族の一員としての品位も損なう可能性が出てきた弟の処遇に困っていた兄の陛下だったが、丁度、弟のエドも部屋にずっと引きこもる様になったそうだ。
あまり外に出てこなくなったので、トラブルを引き起こすよりはいいかと陛下は最低限の生活の世話をしながら見守っていたら……隣国に嫁いでいたアンが亡くなったと風の便りが入った。
アンが亡くなった事を知らない筈のエドは突然部屋から出てきて兄に会いにいったそうだ。その当時の2人の会話がそのまま書き出してあった。
「陛下……私は呪いを完成させてアンを殺し、アンの魂と私の魂を縛りつけました。今後侯爵家でアンと同じ姿の者が現れた時、その者が王族にならなければその者も呪い殺し、この王国も滅ぶでしょう」
「弟よ。何だってそんな呪いをかけるのだ……アンが全部悪いのだから侯爵家だけ呪えば良いだろう?」
おいおい……僕のご先祖のアンは悪いかもしれないけど、侯爵家だけ呪えって……僕か侯爵家の一員だからかも知れないけれど、陛下の言葉もあんまりじゃないかっ
「陛下……いや兄上、私は知っているのですよ。兄上がアンを側妃にしようとしていた事を……その為に年頃の貴族を派遣して私の部屋まで入らせていた事を」
えっ?エドの兄である陛下も悪女だったアンに骨抜きにされていたの?
それで側妃にしたくて別の女性を弟のエドに当てがおうとしていたって?
「……一体何の事やら……弟よ……証拠も無いのに想像だけで話をするんじゃない!!」
「今となってはどうでも良い事です。私も結局そんな女性の色仕掛けと媚薬を使われ、私はアンの目の前で過ちを犯してしまったのですから……。しかし兄上とその直系王族には私の命をもって恨みと呪いをかけますから……さようなら兄様……グハッ!!」
「エド!!エドーー!!」
エドは陛下の前で自分の心臓に王族の宝剣を突き立てて死んでしまった。
そして……王弟であったエドの呪いは発動された。
ここで恋愛小説の様な話は終わっていた。
そしてどんな呪いが発動されたんだろうと思ってページをめくるが、それからは辺り触りのない王族の歴史が書いてあったり、所々黒塗りになっていて読めないページもあって詳しい呪いの内容は一切書いていない。
だけど僕は王族に嫁がないと死ぬ事は分かった。父上の言っていた僕の命が何たらとか、呪い返しとかの事はこの事だったのか。
それにしても僕の先祖のアンって悪女だったのかぁ。
恋愛に自由奔放で王弟と陛下を手玉にとった上に隣国の大貴族に嫁いでいったんだ。
最初は王族の恋愛小説みたいな感覚で楽しく読み始めた本だったけど、自分の先祖がこんな人だったのかと思ってショックだった。
その時、コンコンとノックの音が聞こえ、僕の家の侍従が「アンドル様そろそろお食事ですよ」と呼びに来てくれた。
もうこんな時間か。
僕はプレゼントされた本の内容がショックだった事と、王子から金目の物が貰えなくて父上とアンジュの期待に応えられなかった事をどう言おうかと……落ち込みながらダイニングへ向かった。
あまり外に出てこなくなったので、トラブルを引き起こすよりはいいかと陛下は最低限の生活の世話をしながら見守っていたら……隣国に嫁いでいたアンが亡くなったと風の便りが入った。
アンが亡くなった事を知らない筈のエドは突然部屋から出てきて兄に会いにいったそうだ。その当時の2人の会話がそのまま書き出してあった。
「陛下……私は呪いを完成させてアンを殺し、アンの魂と私の魂を縛りつけました。今後侯爵家でアンと同じ姿の者が現れた時、その者が王族にならなければその者も呪い殺し、この王国も滅ぶでしょう」
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おいおい……僕のご先祖のアンは悪いかもしれないけど、侯爵家だけ呪えって……僕か侯爵家の一員だからかも知れないけれど、陛下の言葉もあんまりじゃないかっ
「陛下……いや兄上、私は知っているのですよ。兄上がアンを側妃にしようとしていた事を……その為に年頃の貴族を派遣して私の部屋まで入らせていた事を」
えっ?エドの兄である陛下も悪女だったアンに骨抜きにされていたの?
それで側妃にしたくて別の女性を弟のエドに当てがおうとしていたって?
「……一体何の事やら……弟よ……証拠も無いのに想像だけで話をするんじゃない!!」
「今となってはどうでも良い事です。私も結局そんな女性の色仕掛けと媚薬を使われ、私はアンの目の前で過ちを犯してしまったのですから……。しかし兄上とその直系王族には私の命をもって恨みと呪いをかけますから……さようなら兄様……グハッ!!」
「エド!!エドーー!!」
エドは陛下の前で自分の心臓に王族の宝剣を突き立てて死んでしまった。
そして……王弟であったエドの呪いは発動された。
ここで恋愛小説の様な話は終わっていた。
そしてどんな呪いが発動されたんだろうと思ってページをめくるが、それからは辺り触りのない王族の歴史が書いてあったり、所々黒塗りになっていて読めないページもあって詳しい呪いの内容は一切書いていない。
だけど僕は王族に嫁がないと死ぬ事は分かった。父上の言っていた僕の命が何たらとか、呪い返しとかの事はこの事だったのか。
それにしても僕の先祖のアンって悪女だったのかぁ。
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最初は王族の恋愛小説みたいな感覚で楽しく読み始めた本だったけど、自分の先祖がこんな人だったのかと思ってショックだった。
その時、コンコンとノックの音が聞こえ、僕の家の侍従が「アンドル様そろそろお食事ですよ」と呼びに来てくれた。
もうこんな時間か。
僕はプレゼントされた本の内容がショックだった事と、王子から金目の物が貰えなくて父上とアンジュの期待に応えられなかった事をどう言おうかと……落ち込みながらダイニングへ向かった。
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