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〜王子side〜2
21エドワード王子の歓喜1
しおりを挟むあれからアンドルとのお茶会は延期されていた。侍従長からは私の感情コントロールの為に準備を進めているのだという……
とにかく私がアンドルと会う為にやる事はアンドルを見て興奮を爆発させない事と、侍従長や護衛達の信頼を取り戻す事だ。
特に侍従長から信頼を勝ち取れば父上や母上からの信頼も得られるだろう。
「エドワード王子、来年度の貴族学校に向けてご学友達と交流を持つプレスクールが王宮で始まります。こちらが、そのご学友のリストでございます」
見せられたリストには5名の名前が書いてあった。この者た達は騎士団長の子息や宰相の子息、それに有力貴族の子息の者達ばかりだった。
この5名は学校入学後も私の護衛も兼ねており共に行動する予定になる。
しかしそこにアンドルの名前は無かった。
「アンドルは一緒にプレスクールには参加しないのか?」
「そうですね。本来ならば婚約者であるアンドル様もプレスクールに参加して貰いたい所なんですが、王子のテンションがおかしくなった所をアンドル様だけじゃなく、他のご学友にもお見せになるつもりですか?」
「ぐぅっ……」
「アンドル様は婚約者ですし弁えていらっしゃいますから、クソ王子の部分を見せても王子の醜聞を他人に晒す事は無いでしょう。しかしご学友が増えれば増えるほど王子の足を引っ張ろうとする者がいるかも知れません。ですから信頼を寄せる迄はプレスクールであってもしっかりとなさって欲しいのです。クソ王子と言ってしまいましたが、アンドル様さえ関わっていなければ、本来王子は真面目で優秀な部類に入る人間ですよ」
くっ……侍従長が私を貶しながら誉めた。こういう所が私を上手く扱えるのだろう……アンドルとプレスクールで会いたかったが、私のせいでアンドルが参加できなくなってしまったんだな。アンドル自身も高位貴族で本来なら参加出来た筈なのに、交流の機会を失わせて申し訳ない。
「分かった。プレスクールはしっかりやる。しかしアンドルの交流機会を減らしてしまったのはどう埋め合わせするんだ?アンドルは私の婚約者に決定してから貴族達のパーティーの参加も見合わせて王族の配偶者教育をさせているんだろう?」
アンドルは私の婚約者にならなければ、侯爵家の嫡男として貴族の会合には父親と参加し、顔を覚えて貰っている年齢だ。しかしその交流を減らして配偶者教育をし、弟のアンジュが父親と行動を共にしていると言う……。
「それにつきましては考えてあります。アンドル様も将来の王族の一員になるお方ですから、ご学友を2人派遣して侯爵家でプレスクールを行なって頂く予定です」
「何だと!!その者達は私よりアンドルと一緒の時間を過ごすのか?」
「まあ、そうなりますね。しかし王子のプレスクールの様子次第では、後半はアンドル様達にもここ王宮のプレスクールに合流して頂く事も考えておりますから。王子次第です」
全部私次第じゃないか!!私が評価されればアンドルと会える機会が増えるというのか……侍従長も良く考えたな。
「分かった。私も王子として期待に応えられる様に励むよ」
「王子……今まで嘘をついたり、人を欺いて自分の欲望に忠実でいたのに正々堂々と課題を乗り越えようとするとは……少し成長されましたね!!」
「まあ……な。アンドルに会える最短を計算したら、私の信頼を回復した方が早くアンドルに会えると思ったからだ」
「王子そうなんですよ!!ようやく王子も分かってくれましたか!!王子自身の評価が上がればアンドル様と会う日も時間も増えますからね!!頑張って下さい!!」
侍従長は私の言葉に目頭を熱くさせたようだ。幼い時から私の性格を知り尽くしている筈だからどれだけ私が心配させていたのか分かる。
では侍従長の期待にも応えなければならないな……というか正直侍従長の期待に応えるより早くアンドルに会いたい。
そうして王宮でプレスクールが開催された。5名の者達は緊張して臨んでいたから、その緊張を和らげるのも私の役割だ。
4名の者は昔から父親とも交流があったので子供同士でも知った仲だったが、1人だけ知らない人物がいたが分け隔てなく接する事ができていたので、プレスクールに参加した者達も和気あいあいと出来たと思う。
そうして侍従長からも私の行動や立ち振る舞いには感心したそうで、「アンドル様さえ絡まなければ良い王子なのに……」と呟かれてしまった。
ああ、また私のせいか。アンドルのせいにならない様にアンドルとの交流でも私はしっかりしなければならない。
そして極めに極めたのがアルカイックスマイルだ。
自分の頭で考えている事をそのまま行動してしまうと侍従達や護衛達にクソ王子と言われるばかりだから、頭で考える事と表情を完全に切り離せる様にした。
そして延期になっていたアンドルとのお茶会がようやく開催される事になった。やっとだ。やっとアンドルと会えるぞ。
嬉しくて飛び上がりそうなのを我慢してアルカイックスマイルをすると周りにいた者達は「ほう……」と感心してくれるまでになった。
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