【完結】王子様の婚約者になった僕の話

うらひと

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本編2

20作戦失敗

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  王子は予備のパンツを用意して無かったようで、直にスボンを履くのを躊躇っていた。それに今王子は逸物がビンビンになっているから直スボンではかなりアレがモッコリして目立ってしまうだろう。


 すると王子は僕を見て言った。


「アンドル、すまないが私のパンツは君にプレゼントしたからアンドルのパンツを私にくれないか?」


「へっ??」


「流石に、このまま直にズボンを履くのははばかられる。だが、私のパンツはアンドルにプレゼントしたから返せとは言えない。だからアンドルのパンツを私が履こう。ハンカチには本を。パンツにはパンツを。プレゼント交換の品の数としては丁度同じになって良いだろう?」


 なっ何その理屈??何かよくわからない展開になってきたが、僕のパンツを王子に渡すの??


「すまないが、もう護衛がここに来るぞ!!早くパンツを渡して欲しい」


 王子が焦りながら言うので、僕も焦ってズボンとパンツを脱いだ。すると王子は「小さなアンドル久しぶりだな。有難う」と小さな声で呟いてから僕のパンツを履き出した。


 小さなアンドル??確かに僕の方がエドワード王子より背は低いけれども……??


 僕もパンツを……あっそうか。僕も着替え用のパンツがないから王子のパンツを履かなければならなくなったんだ。

 僕がそれに気づいた時には王子は既にズボンも履き終わっていて、僕の履く様子を何故か恍惚な表情になりながらガン見された。恥ずかしい。


   そして王子のパンツは僕のパンツより一回り大きくて何度かズリ落ちてしまい、その度に王子が大袈裟に「大丈夫か!!大丈夫か!!」と心配してくれた。


「そんなに心配しなくてもエドワード王子の大きなパンツもズボンと一緒にベルトで閉めるから大丈夫ですよ」


「そうか。小さなアンドルが風邪を引かないか心配してしまったよ」


   僕が「なんて事無いですよ」と笑顔で話すと、ようやく不安そうだったエドワード王子もホッとして笑顔になった。

   それにしても小さなアンドル??王子は僕の事を小さいと思っているのだろうか?最近の僕の身長は一時期同じ身長だった弟のアンジュより背が伸びて同じ年の平均身長位だけど……ともかく僕の事を心配してくれたんだから王子は優しいな。


「王子、僕も履き終わりました。王子はその……スボンからアレは目立ってないので安心してください」


 この年になると、男の子の生理現象はしょうがないんだ。僕も自分でも良くわからない時に突然勃つ事もあるから王子の現象も不思議な事じゃない。それに本人が1番恥ずかしいと思うし余り気にしないでいてあげないと……。


   王子の股間を確認すると僕のパンツのお陰なのか、王子の股間はモッコリしていないので安心した。


「ああ、アンドル心配してくれて有難う。アンドルのパンツは私のパンツより一回り小さいからキツキツだが、それが良い締め付けになって私の物をしっかり包んで離さないでいてくれている」


   王子が僕のパンツの感触を具体的に教えてくれた。なんか王子は普通に話しているのに、聞いている自分の方は生々しくて恥ずかしくなってくる。


「そ、それは良かったです」


「お茶会もそろそろ良い時間になってしまった。アンドル、ドアの鍵を開けるがいいか?」


「はい!!」

 王子がガチャッと鍵を開けると、既に護衛達と侍従達は部屋の外で待機をしていた。もし叫び声が少しでも聞こえたらドアを壊す予定だったらしい。

 しかし今回は何事もなく、王子の信頼を取り戻せたお茶会になったようだ。


 いやでも、部屋の中でパンツ交換してお互いのパンツを履いたんだけどね……はは。


 こうして僕は分厚い本を一冊貰い、初めて王子に見送られて帰っていった。

 今日の僕は結局金目の物を貰って帰る事ができなかったので馬車に揺られながら落ち込んでしまう……。お茶会を振り返ってみると、途中までは順調にいっていた筈なのに、何処で間違えて高価なプレゼントではなく本とパンツになってしまったんだろうか……。

   あんなにアンジュから教えて貰っていたのに申し訳ないや。

   はあー……。
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