20 / 124
本編2
20作戦失敗
しおりを挟む王子は予備のパンツを用意して無かったようで、直にスボンを履くのを躊躇っていた。それに今王子は逸物がビンビンになっているから直スボンではかなりアレがモッコリして目立ってしまうだろう。
すると王子は僕を見て言った。
「アンドル、すまないが私のパンツは君にプレゼントしたからアンドルのパンツを私にくれないか?」
「へっ??」
「流石に、このまま直にズボンを履くのは憚られる。だが、私のパンツはアンドルにプレゼントしたから返せとは言えない。だからアンドルのパンツを私が履こう。ハンカチには本を。パンツにはパンツを。プレゼント交換の品の数としては丁度同じになって良いだろう?」
なっ何その理屈??何かよくわからない展開になってきたが、僕のパンツを王子に渡すの??
「すまないが、もう護衛がここに来るぞ!!早くパンツを渡して欲しい」
王子が焦りながら言うので、僕も焦ってズボンとパンツを脱いだ。すると王子は「小さなアンドル久しぶりだな。有難う」と小さな声で呟いてから僕のパンツを履き出した。
小さなアンドル??確かに僕の方がエドワード王子より背は低いけれども……??
僕もパンツを……あっそうか。僕も着替え用のパンツがないから王子のパンツを履かなければならなくなったんだ。
僕がそれに気づいた時には王子は既にズボンも履き終わっていて、僕の履く様子を何故か恍惚な表情になりながらガン見された。恥ずかしい。
そして王子のパンツは僕のパンツより一回り大きくて何度かズリ落ちてしまい、その度に王子が大袈裟に「大丈夫か!!大丈夫か!!」と心配してくれた。
「そんなに心配しなくてもエドワード王子の大きなパンツもズボンと一緒にベルトで閉めるから大丈夫ですよ」
「そうか。小さなアンドルが風邪を引かないか心配してしまったよ」
僕が「なんて事無いですよ」と笑顔で話すと、ようやく不安そうだったエドワード王子もホッとして笑顔になった。
それにしても小さなアンドル??王子は僕の事を小さいと思っているのだろうか?最近の僕の身長は一時期同じ身長だった弟のアンジュより背が伸びて同じ年の平均身長位だけど……ともかく僕の事を心配してくれたんだから王子は優しいな。
「王子、僕も履き終わりました。王子はその……スボンからアレは目立ってないので安心してください」
この年になると、男の子の生理現象はしょうがないんだ。僕も自分でも良くわからない時に突然勃つ事もあるから王子の現象も不思議な事じゃない。それに本人が1番恥ずかしいと思うし余り気にしないでいてあげないと……。
王子の股間を確認すると僕のパンツのお陰なのか、王子の股間はモッコリしていないので安心した。
「ああ、アンドル心配してくれて有難う。アンドルのパンツは私のパンツより一回り小さいからキツキツだが、それが良い締め付けになって私の物をしっかり包んで離さないでいてくれている」
王子が僕のパンツの感触を具体的に教えてくれた。なんか王子は普通に話しているのに、聞いている自分の方は生々しくて恥ずかしくなってくる。
「そ、それは良かったです」
「お茶会もそろそろ良い時間になってしまった。アンドル、ドアの鍵を開けるがいいか?」
「はい!!」
王子がガチャッと鍵を開けると、既に護衛達と侍従達は部屋の外で待機をしていた。もし叫び声が少しでも聞こえたらドアを壊す予定だったらしい。
しかし今回は何事もなく、王子の信頼を取り戻せたお茶会になったようだ。
いやでも、部屋の中でパンツ交換してお互いのパンツを履いたんだけどね……はは。
こうして僕は分厚い本を一冊貰い、初めて王子に見送られて帰っていった。
今日の僕は結局金目の物を貰って帰る事ができなかったので馬車に揺られながら落ち込んでしまう……。お茶会を振り返ってみると、途中までは順調にいっていた筈なのに、何処で間違えて高価なプレゼントではなく本とパンツになってしまったんだろうか……。
あんなにアンジュから教えて貰っていたのに申し訳ないや。
はあー……。
49
お気に入りに追加
715
あなたにおすすめの小説
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる