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本編2
18おねだり実行
しおりを挟む「そうだ王子、僕今日は王子の為にプレゼントを用意してきたんです」
「アンドルが私の為にプレゼントを用意してきただとっ!!」
僕がプレゼントの話をしたら、王子が思った以上に食いついてきて身を乗り出している。
プレゼント作戦はアンジュから教えて貰った初心者向け「おねだり法」である。僕が「王子に対しておねだりばかりをすると僕自身も気が引けるなぁ」と言ったらアンジュは
「じゃあ、プレゼント交換にしたらどうですか?兄上もプレゼントを用意するのです。勿論安い物で構いません。そうして相手からそれ以上の高価な品物を貰うんです。それなら兄上だって気が引けないでしょう?」
「なるほど!!そうだな。アンジュいつも有難う!!」
「ふんっ出来が悪い兄上をお支えするのも弟の務めだと思う事にします」
「本当にアンジュは頼りになるよ!!」
「そ、そんなに褒めても何も出ませんからねっふふっ」
最近のアンジュは僕に笑ってくれる様になった。
そうして僕は考えた末にハンカチをプレゼントする事にしたんだ。一応王族へのプレゼントだから高級なハンカチを買った。決して安くは無かったけれどアンジュも父上に頼んでくれたお陰で購入資金が得られた。
そしてそのハンカチに一生懸命刺繍を施した。これは使用人の1人が刺繍が得意だった為教えて貰ったんだ。
高級ハンカチに僕のお手製の刺繍が加わって付加価値が付いた事で更に王子から高価なプレゼントが貰いやすくなったという計算だ。
「王子、そうなんです。王子の為に心を込めて刺繍を施したハンカチなんですけど……良かったら使ってくれませんか?」
僕は少し上目遣いをしながらおずおずと綺麗に包装したハンカチを王子に渡した。アンジュが言うには人に渡す時はそんなに重々しい雰囲気は御法度だそうだ。しかしやっぱり緊張はする。いくら王子から金目の物を欲しがる為とは言え一生懸命刺繍したし、喜んでくれると良いのだけど。
王子は僕から渡されたプレセントに目を輝かせて見ていた。
「アンドル、開けてみていいか……?」
「はいっ!!」
王子は包装を破らない様に綺麗に開けていきハンカチを取り出した。そして刺繍の部分を何度も自分の指でなぞっている。
「あの、それは王家の家紋である鷹とライオンです。うちの使用人の1人が刺繍の得意な者がおりましたので、その者から一生懸命教わりました」
「……これ、本当にアンドルがやったのか!!よく出来ている……素晴らしい出来だよ」
「本当ですか!!嬉しいです!!」
「ああ、ずっと……一生大切にするよ。こんな素敵なサプライズプレゼントを用意してくれるとは何処まで私を喜ばせれば気が済むんだ?アンドル有難う!!」
「勿体無いお言葉です」
エドワード王子はとても喜んでずっと刺繍を眺めたり、触ったり、ハンカチを畳んだり、また開いだりして嬉しそうにしていた。一生大切にするとはちょっと重いとは思ったけれど……気に入ってくれたみたいで僕迄嬉しくなる。
王子が僕のプレゼントを喜んだから侯爵家の使命を果たしやすくなったかもしれない。よし、頑張るぞ!!
「王子……それで僕からもお願いがあるんです」
「ん?なんだ?アンドルからのお願いなんか初めてじゃないか?何でも言ってごらん」
王子は顔を綻ばせながら僕にそう言った。さっきからニヤニヤが止まらなくなったのかずっと嬉しそうだけど、アルカイックスマイルはどこに置いてきた?でも叫んだりはしなくなったんだな。
「僕も王子から……プレゼントが欲しいなって」
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