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本編2
16アンジュの凄い才能
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「ほらっ兄上、そこで両手をグーにして口元に持っていくんです」
「こ、こうか?」
「まあ良いでしょう。はいっその格好を維持したまま上目遣いを!!足は内股にして!!これが「ぶりっ子ポーズ」です」
今僕はアンジュから「人に上手くおねだりする方法」をレクチャーして貰っている。
アンジュは父上の言っていた通り、人に甘える才能があった。
天性の才能というのか、必要以上の見返りを求めなさそうな人を見抜き、自然に甘えてお願いできるのだ。
すると相手はアンジュにプレゼントしてしまうのだけれど、アンジュの凄い所は相手はお金を使った側なのにアンジュの喜ぶ反応を見て得した気分になっているそうだ。
最近昼のパーティーに父上はアンジュを連れて参加している。だから、プレゼントしてくれる相手は貴族達だ。女性でも男性でも、可愛いアンジュは大人気なようだ。
父上からアンジュの様子を聞いた僕は思い切ってアンジュに「王子におねだりできる様になりたいんだが教えてくれないか?」っと頼んでみた。
するとアンジュは最初とても驚いて僕をみていたけれど、
「ったくしょうがない兄上だなぁ。仕方が無いから僕が教えてあげますよ、ったく……」
と引き受けてくれたんだ。
その時何故か顔が物凄く嬉しそうに破顔していたけれど……とにかく僕にもテクニックを教えてくれる事になって「有難うアンジュ」と言うと
「べ、別に兄上の為じゃありません。婚約破棄されるまでは兄上が王子と上手くいってないと僕が迷惑だからです」
と、またいつものアンジュに戻ってしまったけれど。
それからアンジュと僕は空いている時間はよく一緒にいるようになった。
「兄上、その姿勢を忘れないで下さい。そのままこう言うんです「わぁ~素敵なプレゼントを有難う!!ずっと大切にしますね!!」と、言ってみて下さい。さん、はいっ!!」
「わ、わーす、すてきなプレゼントをありがとーずっと大切にしますねー」
「兄様!!気持ちが入ってません!!もう一度さん、はいっ!!」
スパルタで細かい指導をしてくれるアンジュには有難いと思っているけど、セリフが恥ずかしいんだ。でも、僕はやるしか無い。
「わぁ~素敵なプレゼントを有難う!!ずっと大切にしますね!!」
アンジュが根気良く教えてくれているんだ。頑張らないと……
「まあ……及第点でしょう。そのセリフを言う時には目をウルウルさせるともっと良くなりますが、兄上にしてはまあまあよく出来たと思います」
アンジュは僕に「おねだり法」を教える為に僕と一緒にいる事が多くなると僕に対する雰囲気が柔らかくなった。僕もアンジュの事をいつも尊敬の眼差しでみているから、満更でもないのかもしれない。
「有難う!!アンジュは何でも知っているんだなぁ。僕もアンジュ迄はいかないけれど王子から何か金目の物をプレゼントして貰える様に頑張るよ!!」
アンジュにお礼を言うとアンジュは顔を真っ赤にさせて「せいぜいエドワード王子から分取って来て下さい」と言われた。
「あっそうそう兄上、これだけは必ず守って下さい。プレゼントは時として自分にとって要らない物もあるんです。それでも感謝を忘れずに先程伝えた言葉を言うんですよ!!そうすれば、相手は喜んでまた次のプレゼントを運んでくれるでしょう。次のプレゼントに賭けるのです」
なるほど!!だからアンジュは何度も何度もプレゼントを貰えたりするんだな。今アンジュの身につけている服や飾りも殆どがプレゼントで補える様になっている。アンジュも人に感謝できる良い子になったのだな。どんなプレゼントにも感謝かぁ。僕も頑張ろう!!
「ああ分かった。どんな物を貰っても感謝の気持ちを伝える様に頑張るよ!!」
「そうですね。そして心から喜んで下さいね!!」
「ああ!!」
こうしてアンジュから丁寧に「おねだり法」のレクチャーを受け続けて王子のお茶会に備えた。
暫くお茶会は延期が続き少し間が空いたけれど、王宮からようやく王子とのお茶会の招待状が届いた。
よし、頑張って王子から金目の物をおねだりするぞ!!
「こ、こうか?」
「まあ良いでしょう。はいっその格好を維持したまま上目遣いを!!足は内股にして!!これが「ぶりっ子ポーズ」です」
今僕はアンジュから「人に上手くおねだりする方法」をレクチャーして貰っている。
アンジュは父上の言っていた通り、人に甘える才能があった。
天性の才能というのか、必要以上の見返りを求めなさそうな人を見抜き、自然に甘えてお願いできるのだ。
すると相手はアンジュにプレゼントしてしまうのだけれど、アンジュの凄い所は相手はお金を使った側なのにアンジュの喜ぶ反応を見て得した気分になっているそうだ。
最近昼のパーティーに父上はアンジュを連れて参加している。だから、プレゼントしてくれる相手は貴族達だ。女性でも男性でも、可愛いアンジュは大人気なようだ。
父上からアンジュの様子を聞いた僕は思い切ってアンジュに「王子におねだりできる様になりたいんだが教えてくれないか?」っと頼んでみた。
するとアンジュは最初とても驚いて僕をみていたけれど、
「ったくしょうがない兄上だなぁ。仕方が無いから僕が教えてあげますよ、ったく……」
と引き受けてくれたんだ。
その時何故か顔が物凄く嬉しそうに破顔していたけれど……とにかく僕にもテクニックを教えてくれる事になって「有難うアンジュ」と言うと
「べ、別に兄上の為じゃありません。婚約破棄されるまでは兄上が王子と上手くいってないと僕が迷惑だからです」
と、またいつものアンジュに戻ってしまったけれど。
それからアンジュと僕は空いている時間はよく一緒にいるようになった。
「兄上、その姿勢を忘れないで下さい。そのままこう言うんです「わぁ~素敵なプレゼントを有難う!!ずっと大切にしますね!!」と、言ってみて下さい。さん、はいっ!!」
「わ、わーす、すてきなプレゼントをありがとーずっと大切にしますねー」
「兄様!!気持ちが入ってません!!もう一度さん、はいっ!!」
スパルタで細かい指導をしてくれるアンジュには有難いと思っているけど、セリフが恥ずかしいんだ。でも、僕はやるしか無い。
「わぁ~素敵なプレゼントを有難う!!ずっと大切にしますね!!」
アンジュが根気良く教えてくれているんだ。頑張らないと……
「まあ……及第点でしょう。そのセリフを言う時には目をウルウルさせるともっと良くなりますが、兄上にしてはまあまあよく出来たと思います」
アンジュは僕に「おねだり法」を教える為に僕と一緒にいる事が多くなると僕に対する雰囲気が柔らかくなった。僕もアンジュの事をいつも尊敬の眼差しでみているから、満更でもないのかもしれない。
「有難う!!アンジュは何でも知っているんだなぁ。僕もアンジュ迄はいかないけれど王子から何か金目の物をプレゼントして貰える様に頑張るよ!!」
アンジュにお礼を言うとアンジュは顔を真っ赤にさせて「せいぜいエドワード王子から分取って来て下さい」と言われた。
「あっそうそう兄上、これだけは必ず守って下さい。プレゼントは時として自分にとって要らない物もあるんです。それでも感謝を忘れずに先程伝えた言葉を言うんですよ!!そうすれば、相手は喜んでまた次のプレゼントを運んでくれるでしょう。次のプレゼントに賭けるのです」
なるほど!!だからアンジュは何度も何度もプレゼントを貰えたりするんだな。今アンジュの身につけている服や飾りも殆どがプレゼントで補える様になっている。アンジュも人に感謝できる良い子になったのだな。どんなプレゼントにも感謝かぁ。僕も頑張ろう!!
「ああ分かった。どんな物を貰っても感謝の気持ちを伝える様に頑張るよ!!」
「そうですね。そして心から喜んで下さいね!!」
「ああ!!」
こうしてアンジュから丁寧に「おねだり法」のレクチャーを受け続けて王子のお茶会に備えた。
暫くお茶会は延期が続き少し間が空いたけれど、王宮からようやく王子とのお茶会の招待状が届いた。
よし、頑張って王子から金目の物をおねだりするぞ!!
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