【完結】王子様の婚約者になった僕の話

うらひと

文字の大きさ
上 下
12 / 124
〜王子side〜1

12エドワード王子の憂鬱3

しおりを挟む
 そして次のお茶会も予定通り行われ、アンドルは弟のアンジュを連れてやってきた。

 アンジュはアンドルの弟なだけあって良く似ているが……似ているのにどうしてこんなに自分の心がなびかないのだろうか……


 アンジュはよく喋った。

 話してみると、どうやらアンジュは私を振り向かせようとしていたし、自分にも自信満々だった。

 なんだろうな……どうしてアンジュはこんなに自信満々なんだ?
   君はアンドルよりどうみても外見は劣っているから性格をその分良くするとかだな、私の好みを把握してそれに寄せるとかだな、そう努力もしていないと言うのに……。

 直接言っても良かったが、それよりも途中からアンジュを視界に入れる事より、アンドルの表情を見ている事に忙しくなってしまい、アンジュが泣き出す迄ほっといてしまった。


「王子、幾ら王子でもアンジュが話をしていると言うのに、話をしている方以外の人と話すなんて酷いじゃありませんか?」

 そして泣いてしまったアンジュを庇ったアンドルが私に初めて意見をした。


 アンドルは先程まで、私とアンジュとの会話にあたふたしていただけだったと言うのに、状況を把握して言う時には物おじせずに意見が言えるとは……いい!!アンドルいいぞ!!

 しかも私を睨む顔!!何て可愛いんだ!!

 何だ?私を煽っているのか?私ならいつでもウエルカムなんだが、流石にちゃんとしたお茶会は初めての事だから、これ以上は煽らないでくれ……だが、握っている手くらいは舐めていいか?

 アンドルのあまりの可愛さに感動して泣いてしまっていると

「あ、あの……出過ぎた事を言ってしまい申し訳ありません!!」

 追い討ちをかける様にアンドルが悲しそうに謝ってきた。

 キュンッ


 駄目だ……落ち着け私……落ち着け……

 結局、私の気持ちが溢れ出てしまい、叫んでしまった。

 ああ……今回も怒られ案件だな。


 その後、侍従長からまたこっぴどく怒られるかと思っていたら、そんな事は無かった。


「どうしたんだ?何故怒らない?」


「王子に怒ったら治るんですか?治りそうにないですよ。もう王子のアンドル大好きは病気です病気。それよりも効果的な方法を実践して行った方が宜しいかと思いまして……」


「効果的な方法??……」


「そうです。王子はアンドル様の事になると、どうしても気持ちが前面に出てしまうので、コントロールをしていかなければなりません。それができなければ、アンドル様とは今後のお茶会の計画はしないのでそのつもりで」


「そんな!!アンドルは私の婚約者だぞ!!婚約者迄巻き込むな」


「巻き込みたくなければ、コントロールする事ですよ王子」


「くっ……分かった」


 侍従長は私の扱いにはたけていた。そして私自身もまだ未熟である事は自覚している。

 私の言う事より侍従長の話の方が父上である陛下や母上である王妃は信用しているのだ。

 私もアンドルには嘘をついて招待状を送ったりしていたので、とにかく自分の信用を少しづつ取り戻さないと。

 しかし身体測定をした事については全く後悔はしていない。

 あんなに仲良くなった小さなアンドルとも約束したんだ。

 何度でも会いに来るよって。

 私は小さなアンドルとの約束は必ず果たす。


しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

【完結】『ルカ』

瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。 倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。 クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。 そんなある日、クロを知る青年が現れ……? 貴族の青年×記憶喪失の青年です。 ※自サイトでも掲載しています。 2021年6月28日 本編完結

【完結】オーロラ魔法士と第3王子

N2O
BL
全16話 ※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。 ※2023.11.18 文章を整えました。 辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。 「なんで、僕?」 一人狼第3王子×黒髪美人魔法士 設定はふんわりです。 小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。 嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。 感想聞かせていただけると大変嬉しいです。 表紙絵 ⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

処理中です...