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本編1
8王子と弟と僕のお茶会
しおりを挟む今日はエドワード王子とのお茶会。僕とアンジュは一緒に王宮に来た。
アンジュは珍しい物を見る様にキラキラした目で周りを見渡していてとても可愛いらしい。普段は僕に憎まれ口を叩いているアンジュだけど、こういう所は年相応だ。
「兄上~万が一ですけれどもしエドワード王子が兄上より僕の方が婚約者にしたいと心代わりしても王子を怒らないであげて下さいね」
アンジュは王子を奪うつもりで意気揚々といているのか?自分に自信満々だなぁ。
「怒る事なんてないよ。アンジュは王子の事が好きなのかい?僕自身は婚約者だと言うのに王子の事をまだ知らないんだ。でも僕は婚約者であっても無くても王子の護衛のつもりでお守りしたいという気持ちはある。王子がアンジュの事を僕以上に好きになってもね」
「僕もまだ王子の事を好きとか無いんですよ。でもそうでもなくても王子が兄上より僕に心変わりしてしまう可能性もあるじゃないですか?
それに、父上からもその可能性ならアンジュと王子を結ばせたいと言われたんですよ。そうしたら僕は王子の配偶者として王族の一員か~」
アンジュがいつものごとく1番可愛い自分の話が始まったなと思っていたら、父上までもがアンジュに協力的だったとは……だから何とかアンジュも婚約者としてのお茶会に参加させたかった父上の行動は全て辻褄が合うのだが、兄弟で何故……?
「アンジュ、父上がそんな事言ったのか?それはどういう……」
「アンドル、久しぶりだな。今日は弟も一緒なんだね。歓迎するよ」
アンジュの話に集中していたら、今回は部屋には通されず、直接中庭にセッティングされたお茶会の席に通され、エドワード王子が出迎えてくれた。
前回、2人っきりにさせて僕がスッポンポンになっていたのが侍従や護衛達は大変反省したと聞いた。
そこで、この中庭なら一見見えないけれど、360度監視できるって訳なんだろう。
「エドワード王子初めまして。弟のアンジュと申します。以後お見知り置きを」
アンジュは僕より先に挨拶してしまった、普通なら一応婚約者の僕が挨拶をしてそれから僕がアンジュを紹介して、それからアンジュが挨拶するのに。
「アンジュ、慌てなくて良いんだよ。王子お久しぶりです。先にご挨拶した通り弟のアンジュです。今日は弟と一緒に宜しくお願い致します」
そう言って、アンジュをそれとなく諌めたらキィーッっと僕を睨んできた。あはは……でも王子の前だし、今のはマナー違反だぞ。
「うん、宜しくね。ここは中庭だから丁度良い木漏れ日や日陰があって暑い日なんかは王宮の中では人気の場所なんだよ。さ、座って」
王子は挨拶にケチをつける事も無く話を先に進めると、侍従達が席を引いてくれたので、誘導されるまま座った。
そしてそこからアンジュと王子の会話がずっと続いた。その場には2人しかいないかの様に……僕は「あの」とか「その」とかしか言えず2人の会話の中に入る事が出来ないでいた。
「王子の好きな色は何ですか?」
「そうだなぁ……プラチナブロンドと緑の瞳かなぁ」
「王子あのっ」←僕
「ねえ、王子の好きな食べ物は?」
「この握っている手かな」
「そのっ」←僕
「……王子は普段どんな生活をしているのですか?」
「一般教養と王族としての勉強と剣術がほとんどだな」
「あ……」←僕
「そうなんですね。王子はとても頑張っていらっしゃる。ストレスとかプレッシャーとかは感じないんですか?」
「ああ、とても感じる事はあるよ」
「あの……」←僕
「やっぱり!!僕が頑張っている王子をお慰めして差し上げられたら良いなぁ~なんて」
「そう思ってくれるのかい?ありがとう」
「えっと」←僕
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