【完結】王子様の婚約者になった僕の話

うらひと

文字の大きさ
上 下
8 / 124
本編1

8王子と弟と僕のお茶会

しおりを挟む
  

   今日はエドワード王子とのお茶会。僕とアンジュは一緒に王宮に来た。

   アンジュは珍しい物を見る様にキラキラした目で周りを見渡していてとても可愛いらしい。普段は僕に憎まれ口を叩いているアンジュだけど、こういう所は年相応だ。


「兄上~万が一ですけれどもしエドワード王子が兄上より僕の方が婚約者にしたいと心代わりしても王子を怒らないであげて下さいね」


 アンジュは王子を奪うつもりで意気揚々といているのか?自分に自信満々だなぁ。


「怒る事なんてないよ。アンジュは王子の事が好きなのかい?僕自身は婚約者だと言うのに王子の事をまだ知らないんだ。でも僕は婚約者であっても無くても王子の護衛のつもりでお守りしたいという気持ちはある。王子がアンジュの事を僕以上に好きになってもね」


「僕もまだ王子の事を好きとか無いんですよ。でもそうでもなくても王子が兄上より僕に心変わりしてしまう可能性もあるじゃないですか?
   それに、父上からもその可能性ならアンジュと王子を結ばせたいと言われたんですよ。そうしたら僕は王子の配偶者として王族の一員か~」


 アンジュがいつものごとく1番可愛い自分の話が始まったなと思っていたら、父上までもがアンジュに協力的だったとは……だから何とかアンジュも婚約者としてのお茶会に参加させたかった父上の行動は全て辻褄が合うのだが、兄弟で何故……?


「アンジュ、父上がそんな事言ったのか?それはどういう……」

「アンドル、久しぶりだな。今日は弟も一緒なんだね。歓迎するよ」


 アンジュの話に集中していたら、今回は部屋には通されず、直接中庭にセッティングされたお茶会の席に通され、エドワード王子が出迎えてくれた。

 前回、2人っきりにさせて僕がスッポンポンになっていたのが侍従や護衛達は大変反省したと聞いた。
 そこで、この中庭なら一見見えないけれど、360度監視できるって訳なんだろう。


「エドワード王子初めまして。弟のアンジュと申します。以後お見知り置きを」

 アンジュは僕より先に挨拶してしまった、普通なら一応婚約者の僕が挨拶をしてそれから僕がアンジュを紹介して、それからアンジュが挨拶するのに。

「アンジュ、慌てなくて良いんだよ。王子お久しぶりです。先にご挨拶した通り弟のアンジュです。今日は弟と一緒に宜しくお願い致します」


 そう言って、アンジュをそれとなく諌めたらキィーッっと僕を睨んできた。あはは……でも王子の前だし、今のはマナー違反だぞ。


「うん、宜しくね。ここは中庭だから丁度良い木漏れ日や日陰があって暑い日なんかは王宮の中では人気の場所なんだよ。さ、座って」


 王子は挨拶にケチをつける事も無く話を先に進めると、侍従達が席を引いてくれたので、誘導されるまま座った。

 そしてそこからアンジュと王子の会話がずっと続いた。その場には2人しかいないかの様に……僕は「あの」とか「その」とかしか言えず2人の会話の中に入る事が出来ないでいた。


「王子の好きな色は何ですか?」

「そうだなぁ……プラチナブロンドと緑の瞳かなぁ」



「王子あのっ」←僕



「ねえ、王子の好きな食べ物は?」

「この握っている手かな」



「そのっ」←僕



「……王子は普段どんな生活をしているのですか?」

「一般教養と王族としての勉強と剣術がほとんどだな」


「あ……」←僕


「そうなんですね。王子はとても頑張っていらっしゃる。ストレスとかプレッシャーとかは感じないんですか?」

「ああ、とても感じる事はあるよ」



「あの……」←僕



「やっぱり!!僕が頑張っている王子をお慰めして差し上げられたら良いなぁ~なんて」

「そう思ってくれるのかい?ありがとう」


「えっと」←僕

 
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!

古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます! 7/15よりレンタル切り替えとなります。 紙書籍版もよろしくお願いします! 妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。 成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた! これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。 「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」 「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」 「んもおおおっ!」 どうなる、俺の一人暮らし! いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど! ※読み直しナッシング書き溜め。 ※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。  

番だと言われて囲われました。

BL
戦時中のある日、特攻隊として選ばれた私は友人と別れて仲間と共に敵陣へ飛び込んだ。 死を覚悟したその時、光に包み込まれ機体ごと何かに引き寄せられて、異世界に。 そこは魔力持ちも世界であり、私を番いと呼ぶ物に囲われた。

女神の間違いで落とされた、乙女ゲームの世界でオレは愛を手に入れる。

にのまえ
BL
 バイト帰り、事故現場の近くを通ったオレは見知らぬ場所と女神に出会った。その女神は間違いだと気付かずオレを異世界へと落とす。  オレが落ちた異世界は、改変された獣人の世界が主体の乙女ゲーム。  獣人?  ウサギ族?   性別がオメガ?  訳のわからない異世界。  いきなり森に落とされ、さまよった。  はじめは、こんな世界に落としやがって! と女神を恨んでいたが。  この異世界でオレは。  熊クマ食堂のシンギとマヤ。  調合屋のサロンナばあさん。  公爵令嬢で、この世界に転生したロッサお嬢。  運命の番、フォルテに出会えた。  お読みいただきありがとうございます。  タイトル変更いたしまして。  改稿した物語に変更いたしました。

平民男子と騎士団長の行く末

きわ
BL
 平民のエリオットは貴族で騎士団長でもあるジェラルドと体だけの関係を持っていた。  ある日ジェラルドの見合い話を聞き、彼のためにも離れたほうがいいと決意する。  好きだという気持ちを隠したまま。  過去の出来事から貴族などの権力者が実は嫌いなエリオットと、エリオットのことが好きすぎて表からでは分からないように手を回す隠れ執着ジェラルドのお話です。  第十一回BL大賞参加作品です。

藤枝蕗は逃げている

木村木下
BL
七歳の誕生日を目前に控えたある日、蕗は異世界へ迷い込んでしまった。十五まで生き延びたものの、育ててくれた貴族の家が襲撃され、一人息子である赤ん坊を抱えて逃げることに。なんとか子供を守りつつ王都で暮らしていた。が、守った主人、ローランは年を経るごとに美しくなり、十六で成人を迎えるころには春の女神もかくやという美しさに育ってしまった。しかも、王家から「末姫さまの忘れ形見」と迎えまで来る。 美形王子ローラン×育て親異世界人蕗 ムーンライトノベルズ様でも投稿しています

何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない

てんつぶ
BL
 連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。  その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。  弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。  むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。  だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。  人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

処理中です...