【完結】王子様の婚約者になった僕の話

うらひと

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本編1

5医師は嘘

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「……違います。王子は医者ではありません」

ええ??王子は医者じゃない?じゃあ今日の身体測定は一体何だったのだろうか……。

「ええっ!!じゃ、じゃあどうしてそんな嘘を……」

「王子はアンドル様とお医者さんごっこがしたかったんでしょう……まったくアンドル様にとんだご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした」

「えっ……でも今日は身体測定があるからと王宮に参りましたのに」


「何と!!アンドル様の所には今日は王子とのお茶会で招待状を出したのですが、身体測定という内容のお手紙にすり替わっていたのですね……どこまでもクソ王子め」

王子の護衛達は一応王子の婚約者の僕を前にして堂々と悪口を言っているのだけど、この護衛達は大丈夫なんだろうか……それでクビになっちゃう事もあるよね。

「あの……状況がよく掴めていないのですが……王子の事をクソとか言うのはあまり良い事だとは思えないのですが…」

 そう言ってみると護衛達は僕に同情する表情をして言った。

「いいんです。王子周辺でお世話をしている侍従と護衛については陛下からクソ王子と呼んでいいと許可が降りております。ちなみにアンドル様、貴方様にも婚約者として同じ許可が……」


「ええっ?」


 クソ王子と呼んで良いなんて許可があるんだ!!でもそんな事はとてもじゃ無いけれど言えないな……

 結局その日は身体測定というのはエドワード王子の嘘だった。

 医者というのも嘘。本当は2人でお茶会をする予定で準備をしていたのに、一向に部屋から出ない2人をどうしたものかと様子を見に行ったら僕は裸だった事に驚いていたようだ。

「でも何であのエドワード王子がそんな嘘をついたんだろうか……」

 王子が嘘をつくような理由もないし、嘘つきな噂も立った事も無い。エドワード王子は外見も麗しく、性格も良くて、しかも頭も良いと聞いていた。

「アンドル様の事が大好きなんでしょう」

 護衛達は優しい口調で僕を慰めてくれたけれど、その表情は何故がとても生温かかったのは気のせいだろうか……

 今日はお茶会も流れてしまい、連れて行かれたエドワード王子と会える事もなかった。
 護衛の方達が何度も僕に謝って丁重に侯爵家まで送って貰い終わった。折角のお茶会だったのだからもっと落ち着いてエドワード王子とお話をしてみたかったな。



 後日王子から反省のお手紙と僕宛の服が大量に贈られてきた。

 奇しくもあの身体測定で僕のサイズが色々と分かったようで、お出かけ用の服どころか、下着も大量に贈られてきた。

 どれも王族御用達の品々で、一級品だ。


 別に、侯爵家の服が悪い訳じゃ無いけれど、下着1枚でも肌触りが良くて、とても気持ちがよかった。


 それに王子からの手紙には反省文と僕の事を大切に思っている気持ちが沢山書いてあって嬉しくなったし、僕もお返事のお手紙と何か贈り物を贈ってみよう。


 そして今回送った服で下着であっても破れたり、小さくなって使えなくなってしまった物は新しい服と交換してくれるそうだ。
 交換する時は使えなくなった服を王宮に持ってくれば、いつでも交換するなんて!!なんて太っ腹!!

 しかし、この大量の服や下着がこの後少しだけ兄弟間で問題を起こすとは思わなかった。



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