5 / 124
本編1
5医師は嘘
しおりを挟む「……違います。王子は医者ではありません」
ええ??王子は医者じゃない?じゃあ今日の身体測定は一体何だったのだろうか……。
「ええっ!!じゃ、じゃあどうしてそんな嘘を……」
「王子はアンドル様とお医者さんごっこがしたかったんでしょう……まったくアンドル様にとんだご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした」
「えっ……でも今日は身体測定があるからと王宮に参りましたのに」
「何と!!アンドル様の所には今日は王子とのお茶会で招待状を出したのですが、身体測定という内容のお手紙にすり替わっていたのですね……どこまでもクソ王子め」
王子の護衛達は一応王子の婚約者の僕を前にして堂々と悪口を言っているのだけど、この護衛達は大丈夫なんだろうか……それでクビになっちゃう事もあるよね。
「あの……状況がよく掴めていないのですが……王子の事をクソとか言うのはあまり良い事だとは思えないのですが…」
そう言ってみると護衛達は僕に同情する表情をして言った。
「いいんです。王子周辺でお世話をしている侍従と護衛については陛下からクソ王子と呼んでいいと許可が降りております。ちなみにアンドル様、貴方様にも婚約者として同じ許可が……」
「ええっ?」
クソ王子と呼んで良いなんて許可があるんだ!!でもそんな事はとてもじゃ無いけれど言えないな……
結局その日は身体測定というのはエドワード王子の嘘だった。
医者というのも嘘。本当は2人でお茶会をする予定で準備をしていたのに、一向に部屋から出ない2人をどうしたものかと様子を見に行ったら僕は裸だった事に驚いていたようだ。
「でも何であのエドワード王子がそんな嘘をついたんだろうか……」
王子が嘘をつくような理由もないし、嘘つきな噂も立った事も無い。エドワード王子は外見も麗しく、性格も良くて、しかも頭も良いと聞いていた。
「アンドル様の事が大好きなんでしょう」
護衛達は優しい口調で僕を慰めてくれたけれど、その表情は何故がとても生温かかったのは気のせいだろうか……
今日はお茶会も流れてしまい、連れて行かれたエドワード王子と会える事もなかった。
護衛の方達が何度も僕に謝って丁重に侯爵家まで送って貰い終わった。折角のお茶会だったのだからもっと落ち着いてエドワード王子とお話をしてみたかったな。
後日王子から反省のお手紙と僕宛の服が大量に贈られてきた。
奇しくもあの身体測定で僕のサイズが色々と分かったようで、お出かけ用の服どころか、下着も大量に贈られてきた。
どれも王族御用達の品々で、一級品だ。
別に、侯爵家の服が悪い訳じゃ無いけれど、下着1枚でも肌触りが良くて、とても気持ちがよかった。
それに王子からの手紙には反省文と僕の事を大切に思っている気持ちが沢山書いてあって嬉しくなったし、僕もお返事のお手紙と何か贈り物を贈ってみよう。
そして今回送った服で下着であっても破れたり、小さくなって使えなくなってしまった物は新しい服と交換してくれるそうだ。
交換する時は使えなくなった服を王宮に持ってくれば、いつでも交換するなんて!!なんて太っ腹!!
しかし、この大量の服や下着がこの後少しだけ兄弟間で問題を起こすとは思わなかった。
59
お気に入りに追加
715
あなたにおすすめの小説
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる