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〜クラウスside〜
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しおりを挟むようやく卒業して伯爵家に帰って来た私は早速両親にリンゼ兄様の行方を聞いた。
しかし何年も経過しているのに手紙が未だに届かないという……そんなバカな!!
だから何でも言う事を聞いてくれる友人達にも協力して貰い、リンゼ兄様を一生懸命探したがそれでも見つからなかった。
両親も私に嘘を言っているのかと疑い、伯爵家の中でも隅々まで兄様の消息を探したが見つからない。
するとさすがに両親にも「私達まで疑わなくても良いでしょうがっ!!」と珍しく怒られてしまった。
「クソックソッ!!リンゼ兄様は何処に行ったんだ……まさか1人でいた為に事故や病気で死……そんなまさかっ!!」
不安な日々が続いたが、ようやくランゼルと言う名の手紙が届いた事を両親が教えてくれた。
筆跡を見ればリンゼお兄様だという事が一目瞭然だった。良かった!!生きている。
「お父様、お母様、俺は元気です。ようやく定住地に小さな家を建てました。今日もよっこらせっと畑を耕して、のんびり暮らしていますよ」
手紙には私の不安や執着心なんか吹き飛ぶようなのほほんとした内容が書かれており思わずズッコけそうになった。
ふはははっ!!これだっ!!これがリンゼ兄様だ。何年も会えていないのに、短い内容の手紙1つで兄様の性格と楽しそうに生きている事が分かって自然と笑みが浮かんでいた。
それを気持ち悪そうに両親が見ていたので、一睨みしておくと2人共何か言いたげだった口元がまた閉じて黙ったまま呆れ顔をしていた。
「父上、母上、私はリンゼ兄様を迎えに行きます。しっかり学び卒業してからも兄様の事が好きであるならば自由にして良いという約束でしたよね?」
「ああ……しかし会えない期間に諦めると思ったら無駄だったな。その執着心をどうにかしたかったのだが……どうせお前は私達が何を言っても聞かないじゃないか。そうしてリンゼを見つけて自分の物にする気だろう?」
「勿論です。それが何か?」
「いや……ただし約束してくれ。絶対にリンゼが幸せだと思うようにするんだぞ!!勿論お前も幸せに生きて欲しいと思っている」
「分かりました。兄様自身が幸せだと思って貰える様に努力します。勿論私が兄様をお支え致します」
そうして私は手紙を頼りに国の最果ての様な田舎までリンゼ兄様を迎えにいった。
いきなり訪問したら出てきたのは、日に焼けて地味な服装を着ても容姿の美しさは隠せていないリンゼ兄様が出てきた。
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