【完結】家族の為に身を引いたのに、優秀な異母弟が追いかけてきて捕まりました。あれっ何で?

うらひと

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〜リンゼside〜

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何だかんだで先に産まれてしまったのは俺だから伯爵家を将来継ぐのは俺になってしまう。でも両親は優秀なクラウスに継がせたいと思っている筈だ。

 しかし世間の風評というのも怖いのだ。

 母は継母であるから余計に「自分の子供に伯爵家を継がせたかった為にリンゼ様を虐めたんだわっ」なーんて一度そんな噂が広がれば、伯爵家の世間の風当たりは酷くなり、貴族同士の交流や自分達の商売にたちまち影響が出てしまうから俺の為に家族が頭を悩ませてしまう。

 俺のせいだよな……姿だけ貴族っぽく産まれたのに中身が残念で御免なさいと両親には心から謝りたい。

 ちなみに俺がクラウスの事を溺愛しているせいか義理母との関係も良好だと思っている。
 たまに両親が2人でパーティーに出かける時は、メイドより俺の方がクラウスが懐いているという理由で、俺にクラウスの子守りを毎回お願いされるし、俺も嬉々としてやっているし。

 それにしても伯爵家の将来を考えたら、出来が悪い俺なんかよりクラウスが継ぐのが1番なんだよなぁ……

 俺は全然継ぎたいとも思ってないし、俺の将来はそうだなあ……たまたま貴族で産まれてしまったけれど、自分で畑でも耕してスローライフでも送れればそれで良いんだ。

 だって争い事も苦手だもん。

 そういう事をぼちぼち考えてクラウスを寝かせた後、帰って来た両親に俺は今後この家を出たいと打ち明けてみた。

「お前は残念な性格だとは思っていたが向上心までないんだなあ……だからといってこの家を出て1人で暮らしたいだなんて寂しいじゃないか。お前は勉強も運動も何にも出来ないが、見た目だけは良いし、いつも怒らず温厚な性格はみんなから愛されていて私も愛しているんだ」

 お父様……ちょっ本人を前にそんなに残念さを伝えなくても良いではないかっ!!でも俺の事は本当に残念に思っていたけれど、一応とても愛してくれていたらしい。

 義理母様は

「クラウスをとても可愛いがってくれて嬉しかったけれど、伯爵家を継ぐのは貴方の方が良いと思うわ?それでクラウスと一緒にこの伯爵家を発展させても良いのじゃないかしら?私やクラウスに気を使わなくて良いのよ?」


 ……と、義理母まで俺に気を使ってくれている。俺は自分が思っていたより両親から愛されていたみたいだ。

「私は勉強も運動も才能の欠片もなくて……このまま伯爵家を継いでも貴族社会からバカにされるだけですので、優秀なクラウスに譲ります。私も……クラウスには会えないのは寂しいですが、遠くの村でひっそり生活する事を望みます」

 両親は何故か見捨てられた子犬の様な悲しい顔をして2人で相談し合った後に、もう一度私を見つめていた。

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