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林は内心、久々に会ったこの親友のことが羨ましくて仕方ない。
「……おめでとう。廣木のハートを射止めたのはどんな女性だ? 教えろよ」
ライチタイム、ガチャガチャと賑わう店内。この店に来る客の八割が注文するという名物のカレーを頬張ったカウンター席。肘でつつくと、廣木がへにゃ、と笑み崩れた。スプーンを置いて顔をゴシゴシこすりながら照れている。
「何だ。惚気か?」
「いや……若い女はいいぞ」
林は思わず鼻白んだ。
惚気に当てられたからではない。つい我がことを振り返ってしまったからだ。林はうら若き女性に対して性的興味がわかない。若さを弾けさせた伸びやかで触れればこちらの指を弾いてしまいそうな肢体を目にしても心が動かぬ。それでも誘われるまま請われるまま致してしまったことも、あるにはある。だが、何しろ自分を叱咤鼓舞せねば己の分身が反応してくれない。もしかしていわゆる不能なのかと数年前まで本気で怖れていたものだ。
だが今の会社に就職して。新入社員の歓迎会の流れで上司(念のため、女性だ)とうっかり入ったラブホテル、組み敷かれたときに開眼した。
「……おめでとう。廣木のハートを射止めたのはどんな女性だ? 教えろよ」
ライチタイム、ガチャガチャと賑わう店内。この店に来る客の八割が注文するという名物のカレーを頬張ったカウンター席。肘でつつくと、廣木がへにゃ、と笑み崩れた。スプーンを置いて顔をゴシゴシこすりながら照れている。
「何だ。惚気か?」
「いや……若い女はいいぞ」
林は思わず鼻白んだ。
惚気に当てられたからではない。つい我がことを振り返ってしまったからだ。林はうら若き女性に対して性的興味がわかない。若さを弾けさせた伸びやかで触れればこちらの指を弾いてしまいそうな肢体を目にしても心が動かぬ。それでも誘われるまま請われるまま致してしまったことも、あるにはある。だが、何しろ自分を叱咤鼓舞せねば己の分身が反応してくれない。もしかしていわゆる不能なのかと数年前まで本気で怖れていたものだ。
だが今の会社に就職して。新入社員の歓迎会の流れで上司(念のため、女性だ)とうっかり入ったラブホテル、組み敷かれたときに開眼した。
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