はるよ こい。

はるよ こい。

７

　蝋梅の幹は細い。もたれたりしたら折ってしまう。告白されて尻餅をつくなんてのは、醜態なような気がする、というのもある。それに大体、このモテモテな二人から告られるというシチュエーションを受け入れたら……もし、いたずらで誰かがどこかから見ているとしたら、本気にとったらただただもぉ恥ずかしいではないか。
「え？　えぇ？　あの……」
　誰か潜んで見てるんじゃないかとあたりを見回し、キュッと眉を寄せていると、
「「どうか、好きになって。付き合ってください！」」
と、陽菜と桂木が握ってくるから二度びっくりしてしまう。
　ぎゃ、とおかしな声をあげてしまったアヤを四つの瞳が期待を込めて見つめてくる。
「友達から、なら」
と言ってみた。
「二人とも、一緒に……てことで」
とも言ってみる。
　それでもぴたりと射抜いてくるふたつの視線が揺らがないから、（二人とも、まさか本気なのかしらん）と、変な汗が背中に滲み出る。
「……あの、私ね。もう少しだけ、独りがいいんだ」
　歯切れ悪く言うと、
「好きな人がいるの？」
「いるのかっ」
とすかさず質問が飛んできた。
「うーん、まぁ、いるというか、いたというか」