はるよ こい。

たみやえる

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はるよ こい。

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(も、声だけじゃん……)
「私のこと考えてるなら、なにもしないで、って、言うんだ。言い争いになって、階段から突き落とされた。でも俺は気を失っていただけだった」
 切れ切れに声が降る。
「俺が桜庭に教えた、長山の情報が」
 窓の外と、
「後から来た桜庭が倒れていた俺を見つけて。首を絞められた」
こちら側。
「俺が死んだことが」
(終わったんだよ……)と抱きしめたいのに、
「長山を桜庭に縛りつけることになった」
抱きしめたい相手はいない。
「卒業した長山に桜庭が興味を失っても」
 はじめから、
「長山の苦しみは終わらない」
いなかったなんて。
「俺が、罪なんだ……」
「それは違うよ」
 ようやく言ったアヤの言葉に、返る言葉はもうなかった。

(もう少し話したかったのになぁ)
 本名すら聞かされていない。
 後で学校に保管されている昔の卒アルを借りて確認してやろうか。
 変な名前だったら思い切り笑ってやろう。
 
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