はるよ こい。

たみやえる

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「違うよ。なんていうか。夏暑いとき、木陰の地面に、ほっぺたくっつけるとヒヤッとして気持ちいいでしょ」
「わからん。変なやつ。好き好んで地面に顔くっつけたりしねーもん」
なんて、憎たらしく言い返されてもむかっとこないから不思議だった。
 落ち着くから? なぜか今まで自分の中に閉じ込めていたことを吐き出したくなって。
 色んなことを喋った。
 話しているのは大体アヤの方で、カゲは聞き役に徹していた。
 一年の頃、少しだけ男子と付き合ったこと。
 クラスメイトに、「榊さんのこと、好きな奴がいてさ」と。「なんで?いい奴じゃん。付き合ってあげなよ」「そうだよ、せっかく告ってきたのにさ、付き合ってあげないと可哀想じゃん」
 名前しか知らない男子。(フッたら、悪いことしたことになるのか)とオッケイしたけれど、会って。形ばかりのデートに付き合って。
「どんどん気が重くなってさ」
「うん」
 手を握られたり、キスをされたりまでは我慢した。
「でも、それ以上を求められて」
「うん」
「すっごく、我慢したんだ」
「そうか」
「嫌な思いしたなら、忘れた方がいい。忘れられることなら」
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