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一年生・冬の章
あったかくて幸せ①★
しおりを挟む「あったかくてしあわせー」
泡風呂の湯船にゆっくりと浸かるフィンは、広々とした湯船をすいすいと移動しながら幸せそうに笑う。髪を銀のヘアクリップで纏めたリヒトも、湯船にゆっくりと入っていった。
「(ひよこ!)」
背が大きいリヒトが入るとお湯が一気に溢れていくため、フィンは湯船に浮かべたひよこのおもちゃが流れ出ないように必死に追いかける。リヒトは一つ逸れたひよこをキャッチすると、そのままフィンの近くに行くように小さな魔法で飛ばした。
フィンは嬉しそうにそれをキャッチすると、「ありがとー」と無邪気に笑ってひよこを水面で整列させる。リヒトはそれを見守りながら肩まで浸かって一息ついた。
「ふぅ……」
ここ最近は王族特務会議に向けた資料の準備や、ライトニングが襲われた事件の後始末に追われてフィンとゆっくり入浴が出来ていなかったリヒト。
思えば同じタイミングでフィンとベッドに入ることも最近はめっきり減っており、こうしてゆっくり過ごすのは久しぶりだった。
「フィン、こっちに来て」
アヒルのおもちゃを並べていたフィンは、リヒトの呼びかけにすぐ反応してすいすいと泳ぐように近寄り笑みを見せる。リヒトはフィンの脇腹を掴んでくるりと回し、後ろから抱きしめるように密着した。
「つかまえた」
「つかまった」
フィンはにこーっと笑みを浮かべ、リヒトの肩に頭を乗せて見上げる。
「お湯、暑くない?」
「ちょうど良いよ」
「良かった」
リヒトはフィンの髪を耳にかけてあげながらじっと顔を眺める。フィンの頬は血行が良くなったことでほんのり赤く色づき、それが色っぽさを感じさせた。
リヒトはフィンの耳にキスをしてから、切なげな表情で口を開く。
「最近構ってあげられなくてごめんね」
「んーん……リヒトお仕事大変そうだったね。疲れてない?ちゃんと寝てる?お腹、すいてない?」
フィンは心配そうな声で問いかける。
「ふふ、質問たくさん。フィン不足ってこと以外は問題ないよ」
リヒトはそう言ってフィンを強く抱き締めると、水中ですりすりと相手の体を撫でて滑らかな感触を楽しむ。
太ももや背中、お腹の辺りを撫でられたフィンはくすぐったさにピクピクと反応して笑った。
「んへへ、くすぐったいよリヒト」
リヒトは脇腹をふにふにと揉みながら様子を伺う。
「んん、あはは、そこだめーっ」
無邪気に笑うフィンをよそに、リヒトは次第に触り方を変えていった。
「んふふっ……んっ」
「……」
リヒトはフィンの反応を見て何かのスイッチが入ったのようにそのまま黙ると、今度は両手で胸を撫で回し始める。
フィンは明らかに表情を変えて反応を示し、今度はぴくんっと大きく震えるようになった。
「んっ……」
執拗に撫でられると、胸の突起は明らかに反応を示し硬さを増していく。
「っ(なんか、えっちな触り方……)」
くすぐったさとはまた別の感覚が込み上げるフィンに対し、追い討ちをかけるように乳首をキュッと指で摘む。
「ぁっ」
思わず声を漏らしたフィンは、慌ててリヒトの方を見て瞳を潤ませた。
「リヒトっ……?」
少し動いたことで、フィンは背中に違和感を覚え動きを止める。
「(あれ……?背中に、あたってる)」
鈍感なフィンでも、背中に当たっている硬いモノの正体はすぐに分かった。興奮したリヒトの肉棒が意図的に擦り付けられており、フィンはどう反応したら良いか分からず黙って俯く。
「……(気付いてるな)」
リヒトはフィンの腰を掴み引き寄せると、わざとらしく肉棒を押し付け形を分からせるように擦った。
フィンは顔を真っ赤にさせ小さく震える。
「……っ(どんどんおっきくなってる。僕の体に擦り付けて興奮してる)」
フィンは瞳を震わせ恐る恐る再び振り返ると、リヒトは何食わぬ顔で小さく笑った。
「どうした?泣きそうな顔をして」
まるで何事も無かったかのように振る舞うリヒトだが、その瞳には欲情が宿っている。フィンはその視線に縛られたように体を硬直させ、息を飲んだ。
「……な、なんでもない」
フィンは動揺しつつ返答し前を向くと、リヒトは悪戯めいた笑みを浮かべ今度はフィンの腰を持ち上げ、亀頭を後孔に擦り付けるように動かし始める。
「ぁっ」
リヒトはフィンの柔らかな後孔の感触を味わうように亀頭を何度も何度も擦り付け、その快感で表情を歪めていた。
そこまでされればフィンも指摘せざるを得ず、押し付けられる感触に悶えながら言葉を振り絞る。
「ひ、うぅ、リヒトっ……ぁ、おしりにあたってるっ」
フィンは顔を真っ赤にさせながら仰け反り狼狽えるが、リヒトは腰を強く掴み半ば強引に引き寄せてそれを繰り返した。
「ん、何が……?」
ここまで来てもとぼけるリヒト。フィンは目をぎゅっと瞑りながら答える。
「リヒトの、っ」
「俺の?何?」
リヒトの行為はエスカレートしていき、お湯の中ということもあり滑りの良い状態で先端をぐりぐり押し付けているため、このまま腰を持つ手を離すとそのまま挿入されていくことは間違いなかった。
「ぁっ、ううっ……りひ、とのっ……おちんちんが、おしりにはいっちゃっ、あ」
先端からぬるぬると我慢汁を放出させながら擦り付けるリヒト。強制的に発情させられたフィンは自身の肉棒も硬くさせ、お湯の中でとろとろと我慢汁を放出させていった。
リヒトはニヤッと厭らしい笑みを浮かべて興奮を示し、フィンの腰を持って自身の肉棒に押し付けるように下に押していく。
「そうだね……お湯のおかげですぐ柔らかくなって、ほら、先っぽ飲み込もうとしてるよ」
次第に呼吸を荒くし、後孔はリヒトの肉棒を受け入れたがっているかのようにくぱくぱと緩み始める。リヒトは解すように亀頭でぐりぐり刺激を送ると、突然亀頭部分を挿入して様子を伺った。
「っっっ~!」
フィンは突然の挿入にビクンッと強く震え目を見開くと、熱っぽい息を吐いてぎゅっと後孔に力を入れる。
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