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一年生・秋の章<それぞれの一週間>

うぉーあいにー⑦★

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「はぁ……はぁ……」


 それから何度か好き勝手にフォンゼルを蹂躙するように犯し続けたシャオランは、何度目かの射精でようやく目の色が戻り後孔から陰茎を引き抜くと、ごぽっと音を立てて白濁がどろどろと溢れ出る様を見届けた。


「すみません……途中から我を忘れてました」


 しばらく呼吸を荒げボーッとした表情を浮かべるフォンゼルに対し、シャオランは心配そうに声をかけた。


「フォンゼルさん……大丈夫ですか?」


 激しいセックスをした人とは思えないほどに優しくフォンゼルの頭を撫で様子を伺うシャオラン。
 フォンゼルの身体中には赤い印や歯形が付けられており、自分がどれだけ欲望をぶつけたのかを実感した。


「こ、こんぐらい、余裕やねんけど……?(ほんまはイきすぎて動けへん……)」


 フォンゼルは少し笑みを浮かべながら、おどけた様子でシャオランを見つめた。それでも紅潮した頬と汗が色気を放っており、シャオランは相手の横に移動して手で汗を拭いながら頬にキスをする。
 フォンゼルが少し強がっていることを察したシャオランは、宝物を扱うようにギュッと優しく抱き締めた。


「そうなんですか……?途中から“いや”、“あかん”、“やめて”って聞こえましたけど」


 クスッと笑うシャオラン。汗で湿ったフォンゼルの前髪をかき上げ、額にチュッと音を立ててキスをする。

 
「そ、そう言ったら、シャオくん喜ぶやんかぁ?」


 フォンゼルは演技だと言わんばかりにそう言って退けるも、見透かしているシャオランはクスクス笑ってフォンゼルの乳首をすりすり撫でた。


「んんっ!?ぁ、あかんてっ」


 反射的にそう言ったフォンゼル。言った後に顔を赤くしてシャオランを見上げた。


「ほら、言った」

「っ……うぅ、いじめんといてよー」

「ふふ、ごめんなさい。それにしても、僕が触りすぎて真っ赤ですね。明日ヒリヒリしちゃうかも」

「おくすり塗ったらすぐ治るで?アロエを原料にした魔法薬があんねん。うちの看板商品。この間もそれ塗ったら一発やった」

「そうなんですか?ならそれを貸してください。今塗ってあげます」


 シャオランは上体を起こしそう提案すると、フォンゼルもゆっくりと起き上がる。


「それよりシャワー先に浴びへん……?あと、部屋凄いことになっとるし……」


 フォンゼルが出した精液や尿は床に溢れ、ベッドも汗と精液だらけ。シャオランは苦笑いして頷いた。


「そうですね。僕が片付けますのでフォンゼルさんは先にお風呂へ……」

「大丈夫、お風呂入ってる間に片付けてくれるから」


 シャオランはそう言ってテーブルに置いてある杖を掴んで振ると、紳士的な執事が突如部屋に現れる。しかしながら、動きは少し機械的だったためシャオランは首を傾げる。


「……?」


 シャオランは目を見開いている間、セバスチャンはせっせと片付けをし始めた。


「中級ドールのセバスチャンやで!身の回りのお世話してくれてるんやけど、有能やねん」

「これが西方のドールですか。東方はドールの技術が遅れているので、こんな性能の良いドールは初めて見ましたよ」

「もっとすごい貴族は、ドールってわからんぐらいすごいモン持っとるんやで!侯爵家以上じゃないと、あんな高いモン買えへんけどな~」


 ケラケラと笑うフォンゼルは、ベッドから出ようと床に足をついて立ち上がろうとする。しかし、腰が抜けておりうまく立てなかったため、それを見たシャオランは慌ててフォンゼルを受け止めお姫様抱っこをした。


「あはは、ごめんなぁ、うまく立たれへんかった」


 フォンゼルは申し訳なさそうに笑みを浮かべてシャオランに体を預ける。


「いえ、僕のせいですから……お風呂はその扉の先ですか?」


 寝室から近い扉に視線を送りながら問いかけるシャオラン。


「そやでー。責任持ってボクのことキレーにしてな?シャオくん」


 フォンゼルが甘えた声でそう言うと、シャオランがクスッと優しい笑みを浮かべ頷く。二人はその後、お風呂に入りゆっくりと甘い時間を過ごした。







--------------------------------------------------



~次の日~



 耳に沢山のピアスをし、白と黒が基調の貴族服を着崩すフォンゼル。髪をかき上げオールバックにすると、いつもの外行きの格好で準備を終えた。


「フォンゼルさん、舌にはピアスはしないんですか?」

「あ、忘れてた。つけてー」


 フォンゼルは銀色の小さなピアスをシャオランに差し出す。シャオランはそれを受け取ると、キャッチャーを外して躊躇なくフォンゼルの顎を持った。


「へ」


 少しは躊躇するのかと思ったフォンゼルは、豆鉄砲を食らったような顔をした。


「?どうしたんです。口を開けてください」

「えー、びびらへんねや」


 フォンゼルはぱかーっと口を開いて舌をべっと出す。


「ビビりませんよ……それに、こんなこと他人じゃできないでしょう?嬉しいんです」

「……」


 シャオランが微笑みながら器用ピアスをつける姿を、フォンゼルはときめきながら見上げた。


「はい、付きましたよ」


 フォンゼルがそう言うと、シャオランはぱくんと相手の指ごと咥えて口を閉じた。


「……こら。悪戯っ子ですねもう」


 フォンゼルを笑顔で嗜めつつ舌を指で掴むシャオラン。


「あはは!ほな、初デートいこかあ」

「はい。ご案内よろしくお願いしますフォンゼルさん」
 
「いっぱい案内したるよぉ」


 二人は中心地に向かうべく馬車に乗るため、部屋の扉を開く。


「あ!」


 ちょうど部屋の前にいたティオボルド。フォンゼルはにこーっと笑みを浮かべて「おはようティオ」と挨拶をした。


「フォン、もう元気に……って、えぇ!?」


 ティオボルドはフォンゼルの後ろにいるシャオランを見ると目を見開く。


「お、お邪魔しております……」


 シャオランは後頭部にに手を当て申し訳なさそうに頭を下げると、ティオボルドは目をパチパチとさせ状況を理解し満面の笑みを浮かべた。


「なんやぁ、良かったやんフォン!会えたんやねぇ。どうやって慰めようか悩んでたんやけど……」


 安心したように胸を撫で下ろすティオボルド。






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