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一年生・秋の章<それぞれの一週間>
天然王子と性教育⑧★
しおりを挟む「ぅぅっ……げほっ!んぐっ……けほっ」
「王子、大丈夫ですかっ!?すみません、出しすぎてしまいました。全て飲ませるなんて酷でしたね……」
咥内から陰茎を引き抜かれたライトニングは、急激に酸素を吸ったことで咳き込んだため、リーヴェスが慌ててライトニングの背中を撫でる。
「問題ない、少しむせただけだ。だが……」
ライトニングはしばらく複雑そうな表情で目を閉じて考え込む。
「?」
リーヴェスが首を傾げていると、ライトニングはぱちっと目を開いた。
「まずいぞ……苦いではないか」
ライトニングは精液の味をようやく認識したのか、顔を歪めてじとーっとリーヴェスを見ながら舌を出す。その表情は子供っぽく、ライトニングの幼少期を彷彿とさせる姿だった。
「……」
リーヴェスは一瞬キョトンとした顔を浮かべると、思わず吹き出し口を手で押さえる。
「ふはっ……!」
「!?」
ライトニングは突然笑うリーヴェスに狼狽えるも、ぷくっと頬を膨らませた。
「何がおかしいのだ!?リーヴェス、精液は美味しいと言ったではないか!騙したのか?」
「いえ、ちがっ……ふふっ……昔のことを思い出したのです。幼少期に初めてピーマンを食べた時の顔と一緒だったので、つい。あの時も、食べさせるために私が“美味しいですよ”と言ったばかりに。ふふ」
「そ、そんな昔のことは覚えていない!」
ライトニングは眉を顰め顔を赤らめながらそう言うと、リーヴェスは愛おしそうに笑いながら相手を抱き締め優しく髪を撫でた。
「私は覚えてるんです。些細なことも全て」
「っ」
「物心ついた時から、貴方を想わない日はありませんでした」
「っな、……急に、恥ずかしいではないか……」
ライトニングは顔を赤くし、リーヴェスの心臓の音を聞きながらそっと抱きしめ返す。
抱き締め返されたことに嬉しくなったリーヴェスは、愛おしい気持ちがさらに溢れてライトニングの額にキスをした。
「可愛い私の王子。苦いものを飲ませてしまってごめんなさい。でも嬉しかったですよ」
愛でたくて仕方がないといった声色でそう言ったリーヴェスに対し、ライトニングは少し目を見開き喉奥が熱くなる感覚に襲われる。
リーヴェスは精液の味を美味しいと思っている訳ではなく、ライトニングのだからこそ美味しいと思えると伝えたかったのだろう。それは愛情から生まれる感情だ。
ライトニングはそれを理解し、瞳を震わせ顔を赤くしながら俯き加減で口を開いた。
「た、確かに精液は苦いが……お前のなら飲めなくもない」
「……!」
リーヴェスはじっとライトニングを見つめ少し驚いた表情を見せる。
「お前が私の精液を飲んで美味しいと表現した理由、分かった気がする……」
自身が与えた快楽で果てたのなら尚更、精液までもが愛おしい。全て受け止められた嬉しさがあるのであれば、受け止める嬉しさもある。
ライトニングは舌舐めずりをして唇に残る精液の味をもう一度確かめながらリーヴェスを見た。
「私にしか分からぬ、お前の味なのだな」
ライトニングは優越感を覚え、ニコッと笑みを浮かべるとリーヴェスの頬にキスをする。
「っ!」
リーヴェスは頬を赤らめ目を細めていると、ライトニングは何か考えている様子だったため首を傾げた。
「王子、どうかしましたか?」
「先程はお前の手を煩わせたから、舐める練習をしようと思う……お前は自分の力で私を射精させたのだから、私もそうしたいのだ。上手になればお前も気持ち良いだろう?」
ライトニングは真剣な表情で人差し指を立ててそう言うと、リーヴェスは困った表情を浮かべる。
「王子、心遣いは嬉しいですが、私は別にそんなことは気にしていません……そもそも練習って一体どんな……」
「もちろん実践だ!だが、お前のばかりでは負担だろう?王城にいる男を選び私の練習台にす」
「王子!!!!!」
リーヴェスはカッとなり思わず話途中のライトニングの口を手で塞いで睨み付ける。鬼気迫る雰囲気に圧倒されたライトニングは、プルプルと震えながら固まった。
「…………?」
「そんなこと、絶対に許しませんよ」
リーヴェスはこめかみに血管を浮き上がらせて真剣な表情を浮かべると、ライトニングはすぐさま大きく頷く。
「まったく……本当に王子は」
リーヴェスはパッと手を離し不機嫌な様子で腕を組むと、ライトニングから目を逸らし溜息を吐いた。
「お、怒っているのか……?」
ライトニングはわなわなと震えながら焦ったように問いかける。
「当たり前です」
リーヴェスは即答で肯定した。
「何故だ?」
ライトニングはリーヴェスの様子を伺いながらおずおずと問いかけると、リーヴェスはずいっと顔を近付けてライトニングの額に指をトンッと当てる。
「では、私が王子以外とこんなことしても良いんですか?」
リーヴェスがそう問いかけると、ライトニングは想像をして顔を青ざめさせた。
「(やっと気付いた……この方は想像力が足りないところがある。こうやってちゃんと気付かせないと)」
ライトニングはぎゅっとリーヴェスの手を握り、焦った表情で相手を見上げる。
「リ、リーヴェス……私としかこんなこと、してはだめだ……」
「……仰せのままに。王子、貴方も私だけと言ってください」
リーヴェスはライトニングの手を握り返し、真顔でさらに続けた。
「私を安心させてください王子。いくら貴方が線引きをするなと言っても、そうはいかないこともあるのです。
私は王族である貴方とはまるで違う。貴方が私をいらないと拒めば、私はもう貴方に近付くことすら出来ない」
リーヴェスは不安げな声でそう嘆くと、ライトニングは目を見開き思わずリーヴェスを胸元で強く抱き締めた。
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