上 下
212 / 318
一年生・秋の章<それぞれの一週間>

天然王子と性教育④★

しおりを挟む


 ライトニングがわざと誘惑をするわけがないのは、リーヴェスは理解していた。しかし、こうも無自覚に欲望のスイッチを押され続けると感情が揺さぶられって仕方がない。
 リーヴェスは許可無くライトニングにキスをし続け、それは次第にエスカレートしていった。
 手首を抑えつけながら、少し赤みのある健康的な唇に舌を這わせては軽く吸い付き、やがて開いた口に舌を滑り込ませていく。


「んっ、ぅ……んっ!」


 咥内に舌が入ると目を見開き涙を浮かべながら一瞬混乱するが、嫌悪などは全く無く次第に気持ち良さそうに受け入れていくライトニング。


「(抵抗しない……すんなりと受け入れてくれている)」


 自らを受け入れるライトニングに対し、無垢な花を一枚一枚引き剥がしていくような感覚がリーヴェスの中を駆けずり回った。
 しばらくキスで相手を蕩けさせた後、リーヴェスはそっと唇を離し真面目な表情でライトニングを見下ろすと頬を撫でる。


「王子、私だって年頃の男なんです」

「……?」


 ライトニングは撫でられると目を細め心地良さそうに認め、リーヴェスはどこまでも自身を受け入れる相手に優越感と安心感を覚えながらもさらに続けた。


「信頼して頂いてることは分かるのですが、何度もそう無防備に下半身を見せられては私だって正気ではいられません。
 こうやって無理やり唇を奪うほどには余裕で興奮してしまいます」


 眉を顰めながらそう言い放つリーヴェスに、ライトニングは戸惑いの表情を見せ視線を外す。


「……わ、私に興奮?」


 ライトニングは震える声で問いかけると、リーヴェスは「貴方ってひとは、どこまで鈍感なんですか」と呆れた表情をしてから、真っ直ぐにライトニングを見つめる。


「当たり前ですよ。欲情します、ものすごく。最近の王子はどんどんと色気を帯びてきましたね……周囲の者たちも噂していました。当然、私は良い気分ではなかったですけど」


 リーヴェスはそう言ってライトニングの蜂蜜色の髪の毛を一房優しく掴んで匂いを嗅いだ。


「っ……」

「貴方をそういう目で見て良いのは、私だけです」


 リーヴェスはライトニングの髪の毛を撫でて、甘く切なさを含んだ声色でそう言い放つと、ライトニングはかあぁっと顔を真っ赤にして瞳を泳がせる。


「……お前、そんな風に思っていたのか?」


 自分が性的な目で見られているということを実感し、リーヴェスに対して羞恥が芽生えたライトニングは上に着ていたシルクの寝間着を引っ張り下半身を隠すような素振りを見せた。


「そうですね……もう随分と前からそうかもしれません」

「っ……」


 ライトニングは完全に硬直し、顔を真っ赤にさせたまま動揺を隠せずにいると、リーヴェスは切なげに笑う。


「軽蔑しますか?」


 リーヴェスは少し不安げにライトニングに問いかけた。


「なっ……。お前を軽蔑などするわけがない。少し、驚いただけだ……。お前がそんな風に私を思っているとは思わなかったから……」


 ライトニングが恥ずかしそうにそう答えると、リーヴェスは少し微笑みながらライトニングの頬を撫でる。


「王子。私は側近だからとかそういうのではなく、純粋に貴方を愛してるんです。それをちゃんと分かってください」

「……あ、あいして、るのか」

「はい。愛してます」


 ハッキリと言葉で伝えるリーヴェスに対して、ライトニングは降り注がれる愛情の受け止め方が分からずただただ顔を赤くしたまま瞳を震わせる。


「何度だって言います。愛してます」


 リーヴェスはライトニングに言い聞かせ続けると、ライトニングは恥ずかしさで耐えきれなくなりリーヴェスの口を手で押さえた。


「ま、待てリーヴェス……わかった、わかったからっ……」

「……」


 口を塞がれたリーヴェスは、舌を出してライトニングの手をちろっと舐めた。


「ひゃっ」


 ライトニングは慌てて手を離すと、リーヴェスが不敵な笑みを浮かべ、三白眼をゆらりと妖しく揺らしながら自分を見ている。いつもの甲斐甲斐しくライトニングを世話する優しい雰囲気はそこにはなく、まるで肉食獣を思わせるような瞳はハッキリと夜を帯びていた。


「そ、そんな顔、初めて見た……」

「ん……どんな顔ですか?ちゃんと説明してください」


 リーヴェスは自身の髪を纏めていた細い紐を解くと、胸元まである髪はしっとりと解れてより妖艶な姿となる。


「その……なんというか、今にでも私を食べてしまいそうな顔だ……少し、怖いぞ……?」
 

 ライトニングはぷるぷると震えてリーヴェスを見上げ、不安げな表情を浮かべつつ下半身を隠すように服を引っ張って伸ばした。


「怖がらないでください……大丈夫ですよ、嫌なら嫌と言っていただければやめます」


 リーヴェスはそう言って服の上からライトニングの乳首を指で軽く刺激する。


「っ!?」


 ライトニングの乳首はすぐに反応を示し、あっという間にコリコリと硬さを帯びて服の上からでも分かるぐらいにぷっくりと浮き上がった。
 それを確認したリーヴェスは、服の上から片方の乳首に舌を這わせ始める。片方の乳首を指で引っ掻きつつ、もう片方の乳首はねっとりと表面を舐め上げ軽く吸い付いた。
 ライトニングはその刺激にビクッと強く反応を示して目を潤ませる。


「り、ゔぇすっ……ぁっ、ん」


 ライトニングは小さく喘ぎながらピクピクと何度も震えて息を上げ始め、リーヴェスは今度は甘く噛みながら刺激を送り始めた。シルクの寝間着は唾液でしっとりと濡れ、少し乳首が透けている状態になる。








しおりを挟む
感想 153

あなたにおすすめの小説

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

婚約者に会いに行ったらば

龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。 そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。 ショックでその場を逃げ出したミシェルは―― 何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。 そこには何やら事件も絡んできて? 傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

R指定はないけれど、なんでかゲームの攻略対象者になってしまったのだが(しかもBL)

黒崎由希
BL
   目覚めたら、姉にゴリ推しされたBLゲームの世界に転生してた。  しかも人気キャラの王子様って…どういうことっ? ✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻  …ええっと…  もう、アレです。 タイトル通りの内容ですので、ぬるっとご覧いただけましたら幸いです。m(_ _)m .

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

【BL】婚約破棄で『不能男』認定された公爵に憑依したから、やり返すことにした。~計画で元婚約者の相手を狙ったら溺愛された~

楠ノ木雫
BL
 俺が憑依したのは、容姿端麗で由緒正しい公爵家の当主だった。憑依する前日、婚約者に婚約破棄をされ『不能男認定』をされた、クズ公爵に。  これから俺がこの公爵として生きていくことになっしまったが、流石の俺も『不能男』にはキレたため、元婚約者に仕返しをする事を決意する。  計画のために、元婚約者の今の婚約者、第二皇子を狙うが……  ※以前作ったものを改稿しBL版にリメイクしました。  ※他のサイトにも投稿しています。

魔力なしの嫌われ者の俺が、なぜか冷徹王子に溺愛される

ぶんぐ
BL
社畜リーマンは、階段から落ちたと思ったら…なんと異世界に転移していた!みんな魔法が使える世界で、俺だけ全く魔法が使えず、おまけにみんなには避けられてしまう。それでも頑張るぞ!って思ってたら、なぜか冷徹王子から口説かれてるんだけど?── 嫌われ→愛され 不憫受け 美形×平凡 要素があります。 ※総愛され気味の描写が出てきますが、CPは1つだけです。

処理中です...